ユーロ/円の2月見通し「トランプ関税『近いうちに』」

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ユーロ/円の2月見通し「トランプ関税『近いうちに』」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 1月の推移
・1月の各市場
・1月のユーロ/円ポジション動向
・2月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 2月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 1月の推移

1月のユーロ/円相場は159.727~164.551円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約1.3%下落した(ユーロ安・円高)。ユーロ/ドルがほぼ横ばいだったためドル/円の下落に追随したが、前月のレンジ(156.170~164.900円)内での値動きにとどまった。ドル/円が158円台を回復した7日には164.55円前後まで上昇する場面もあったが、ユーロ圏景気の先行きに不透明感がくすぶる中で上値は重かった。その後、日銀が24日に利上げに動くとの見方が強まる中で17日には159.73円前後まで下落したが、2年2カ月ぶりの安値を13日に付けたユーロ/ドルが反発基調となる中で下値は堅かった。その後も一進一退の展開が続き、独1月購買担当者景気指数(PMI)・速報値が予想を上回った24日には164円台を一時的に回復したが、再び伸び悩むと27日の米ハイテク株急落(ディープシーク・ショック)で反落。ユーロ/ドルの反発が1.05ドル台で一巡したこともあって、月末にかけて軟調推移が続き31日には一時160円台を割り込む場面も見られた。

始値 高値 安値 終値
162.717 164.551 159.727 160.768

出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

6日
独12月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+2.6%と市場予想(+2.4%)を上回り前月(+2.2%)から伸びが加速した。欧州連合(EU)基準のCPIも前年比+2.9%に加速した(予想+2.6%、前月+2.4%)。

7日
欧州中銀(ECB)が発表した11月の消費者期待インフレ率は1年先が2.6%で前月(2.5%)から上昇、3年先も2.4%と前月(2.1%)から上昇した。 その後に発表されたユーロ圏12月CPI・速報値は前年比+2.4%と市場予想通りに前月(+2.2%)から加速。食品やエネルギーなどを除いたコアCPIは前年比+2.7%と市場予想通りで前月と同じ伸び率だった。

8日
独11月小売売上高は市場予想(前月比+0.5%)に反して-0.6%と大幅な落ち込みになった。同時に発表された、独11月製造業受注は前月比-5.4%と市場予想(-0.2%)を大きく下回った。

13日
ユーロ/ドルが節目の1.02000ドルを割り込んで急落。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退する一方、ECBは利下げを継続するとの見方から、2年2カ月ぶりに1.0177ドル前後まで下値を切り下げた。これにつれてユーロ/円も、昨年12月19日以来の安値となる160.03円前後まで下落した。なおこの日、レーンECB専務理事兼主任エコノミストは「政策金利の方向性は明白だ」として、利下げ継続を主張した。

16日
ECBは3会合連続で利下げを決めた2024年12月の理事会の議事要旨を公表。インフレ鈍化が想定通りに進めば「金融引き締めの段階的な巻き戻しが適切になる」として、利下げの継続を示唆した。12月理事会では一部の理事会メンバーからは50bp(0.50%ポイント)の大幅利下げの検討を求める声も出たが「景気減速のかなりの部分は金融政策では対処できない構造的な要因による可能性が高く、政府が対処すべきだ」として25bpの利下げにとどめたことがわかった。

20日
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)はトランプ次期米大統領が就任初日に関税政策の発動を見送る方針と伝えた。トランプ氏はその後の就任演説で、米国民の利益を優先する「米国第一」を掲げ「黄金時代」を築くと語ったが、関税については報道通りに具体的な言及を避けた。

21日
独1月ZEW景気期待指数は10.3と前回(15.7)から低下。市場予想(15.1)も下回った。欧州経済センター(ZEW)は「個人消費の減少と建設部門の需要低迷により、独経済は停滞が続いている」との見解を示した。

24日
独1月PMI・速報値は、製造業44.1、サービス業52.5と、いずれも市場予想(42.7、51.0)を上回った。その後に発表されたユーロ圏1月PMI・速報値は製造業が46.1と予想(45.4)を上回った一方、サービス業は51.4とわずかに市場予想(51.5)に届かなかった。

30日
独10-12月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比-0.2%と市場予想(-0.1%)を下回った。これより後に発表されたユーロ圏10-12月期GDP・速報値は前期比±0.0%だった(予想+0.1%、7-9月期+0.4%)。ECBは予想通りに政策金利である預金ファシリティ金利を3.00%から2.75%に引き下げた。声明では「理事会の金利決定は入手する経済・金融データ、基調的なインフレの動向、金融政策の波及の強さを考慮したインフレ見通しの評価に基づいて行われる」とあらためて表明した。その後の会見でラガルド総裁は、利下げについて「向かっている方向は明らかで、今回の決定は全会一致だった」と説明。一方で先行きについては、「確固としたフォワードガイダンスを得たいと考えている向きには、そのようなものは非現実的だと言いたい。現時点で重大な不確実性があるからだ。不確実性はおそらく強まっている」と語った。

1月の各市場

1月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

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  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

2月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 2月の見通し

 ユーロ/円は2月3日のアジア・オセアニア市場で158.30円台まで下落する場面があった。米国のトランプ大統領がメキシコとカナダ及び中国への関税賦課を正式に発動したことでドルが急騰する中、ユーロ/ドルの下落につれておよそ2カ月ぶりのユーロ安・円高水準を付けた。なお、トランプ米大統領は2日、欧州連合(EU)に対し新たな関税を「間違いなく」課すことになるだろうと発言。「タイムラインがあるとは言えないが、近いうちになるだろう」とも述べている。実際の関税発動後に、メキシコペソやカナダドルがユーロより大きく下落していることを踏まえると、仮にトランプ関税がEU向けに発動されれば、ユーロ/円はさらに下値を探る動きになる可能性が高そうだ。なお、トランプ米大統領の言い分はこうだ。「本当に(アメリカを)いいように利用してきた」「この国の車を受け入れず、この国の農産物も受け入れない。向こうはこちらからほとんど何も受け入れないのに、こちらは何百万台もの車や大量の食料と農産物など、なんでもかんでも受け入れている」。対EU関税については、トランプ米大統領が得意とする対米貿易黒字の削減に向けた「ディール」の切り札に位置付けている可能性もある。先行きはきわめて不透明ではあるが、仮に「ディール」が成立し関税発動が回避されるようなら、ユーロ/円は相応の反発を見せるだろう。2月のユーロ/円相場は、トランプ関税というキーワードに敏感に反応せざるを得ず、神経質な相場展開が見込まれる。
(予想レンジ:154.500~164.000円)

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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル ユーロ/円の2月見通し「トランプ関税『近いうちに』」

ユーロはドルに対して1ユーロ=1.0411から12ドルでした

午後5時時点の円相場は21日と比べて37銭円安ドル高の1ドル=156円4銭から6銭でした。また、ユーロに対しては、98銭円安ユーロ高の1ユーロ=162円46銭から50銭でした。ユーロはドルに対して1ユーロ=1.0411から12ドルでした。市場関係者は「アメリカのトランプ大統領が、中国からの輸入品に10%の追加関税を課すことを検討していることが明らかになり、インフレが再加速することへの警戒感からドルを買って円を売る動きが出た。一方、日銀があすから開く金融政策決定会合で、追加の利上げをするのではないかという見方もあり、円を買ってドルを売る動きも出て、円相場はドルに対して小幅に値下がりした」と話しています。

円の強さは他の主要通貨と比べても際立っている。24日の終値と30日終値の比較では、円はドルに対して1.11%強くなる一方、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は1.66%安と大きく下落。同様に、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)は1.01%のユーロ安、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)は0.52%のポンド安に振れている。

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