ドル円午前の為替予想、「貿易戦争」による下値リスクを警戒 2025/2/3

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ドル円午前の為替予想、「貿易戦争」による下値リスクを警戒 2025/2/3

午前の為替予想は… 「貿易戦争」による下値リスクを警戒

作成日時 :2025年2月3日7時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

ドル円予想レンジ

153.900-155.800円

前日の振り返りとドル円予想

米国のトランプ大統領は1日(日本時間2日)、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国製品に10%の上乗せ関税を賦課する大統領令に署名した。関税の標的になった国々からは一斉に批判の声が挙がっており、中でもカナダは早々に1550億カナダドル相当の米国製品に対する25%の報復関税を課す方針を発表した。米国の関税は同国のインフレを押し上げ長期金利を高止まりさせるとの見方からドル高要因となるが、世界的な「貿易戦争」に発展すれば市場のリスク回避の動きが強まりかねず、円高要因にもなり得ると考えられている。
ドル/円は、本日早朝のオセアニア市場で154.70円台に下落する場面があった。世界的な「貿易戦争」の様相を呈しつつある現状を踏まえると、もう一段の円高方向への動きを警戒する必要があろう。もっとも、上記の関税が発効するのは4日24時01分(日本時間4日14時01分)で、僅かではあるが再協議の時間が残されていることになる。再協議が実際に行われるかについては不明だが、関連報道には十分な注意が必要だろう。

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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル ドル円午前の為替予想、「貿易戦争」による下値リスクを警戒 2025/2/3

ドル円午前の為替予想 貿易戦争 による下値リスクを警戒

コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「3日のアジア市場再開時にはペソとカナダ・ドルに売り圧力がかかると予想されるが、それがどれほど深刻なものになるか評価するのは難しい」とし、「市場参加者がトランプ氏の言動を真剣かつ文字通り受け止め始めるのに伴い、金融市場は今後数週間、痛みを伴う調整プロセスを経験する可能性がある」と語った。

ドルの強気ポジションの背景には、関税がインフレ圧力を強めて米国の金利を高止まりさせる一方、世界経済には打撃となることで安全資産としてのドルの妙味は高まるとの見方がある。

マーケット>レポート>225の『ココがPOINT!> 円安・ドル高がPERの上昇、株価上昇につながる強い追い風になる!?

ユーリゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者(CEO)は「他の国々が米国の政策に報復したり追随したりするのを政治的に余儀なくされるため、短期的に貿易摩擦がエスカレートする可能性がある」と指摘。「これは短期的には、ドル高と米国債利回りの上昇を支えるはずだ」と語った。

ただ、コロンビア・スレッドニードル・インベストメントのエド・アルフセイニ氏は、トランプ氏が今や「報復の可能性が高い、最も危険な関税戦略に乗り出した」と指摘。「金融情勢の引き締まりが見込まれ、株価の下落や信用スプレッドの拡大があるだろう」と述べた。

連休明け後の東京株式市場は、円安の一服や佳境を迎える決算発表を控え、小動きとなっているように見受けられます。ただ、決算発表は今週がピークで、次第に買い持ち高を増やしやすくなると考えられます。しかし、日経平均株価がさらに上昇するためには、市場心理が上向き、予想PERが上昇することが必要かもしれません。その意味で、円安・ドル高基調が強まってきたことは強い追い風になるとみられます。

株式市場では、貿易戦争の最前線に位置するとみられるセクターへの警戒感が強まっている。

日経平均株価は、その予想EPS(一株利益)と予想PER(株価収益率)を掛け合わせた結果として求められます。(日経平均株価)=(予想EPS)×(予想PER)予想EPSは日経平均採用銘柄(上場企業)の業績(純利益)を反映し、予想PERは株式市場の心理を表しています。したがって、単純化すれば(株価)=(企業業績)×(市場心理)と表現することができます。日経平均株価の予想PERは、過去200日の平均では14.1倍(5/7現在)と計算されています。大雑把に考えれば、日経平均株価の予想PERは約14倍を平均として上下に動いていると考えることができます。図4をみればおわかり頂けるように、日経平均株価は予想PER12.5倍から15.5倍に相当する株価の間で行ったり来たりしていると考えることができます。ただ、2016年6月を底に、日経平均の予想EPSが上昇トレンドに転じており、株価のトレンドもおおむね上向きとなっています。5/7(月)現在、日経平均株価の予想EPSは1,717円67銭と計算されます。4/27(金)に付けた1,719円04銭より下回っていますが、おおむね過去最高水準となっています。5/7(月)の予想PERは13.08倍であり、それと予想EPSを掛け合わせると、下のように、日経平均株価の5/7(月)終値(四捨五入の関係で若干誤差が出ます)になります。22,467円16銭(日経平均)=1,717円67銭(予想EPS)×13.08倍(予想PER)しかし、もし予想PERが14倍とか15.5倍であれば、・1,717円67銭×14倍=24,047円38銭 ・1,717円67銭×15.5倍=26,623円89銭となり、日経平均株価の水準がもっと高くなっていることは図4からも視覚的にご理解頂けると思います。このように、予想PERが今より高くなるためには、言い換えれば、市場心理が上向くためにはどうなればよいのでしょうか。図5をみる限り、日経平均株価の予想EPSは外為相場の影響をある程度、強めに受けていると考えられます。外為市場で円安・ドル高が進めば、企業業績に対する楽観的な見方が広がり、予想PERは上昇しやすいことになります。一時に比べ、円安・ドル高の勢いは一服したとはいえ、米金利の先高観は根強いとみられます。今後も、円安・ドル高が市場心理を上向かせ、予想PERの上昇を経て、日経平均株価を上昇させる可能性がありそうです。もっとも、図5の赤線で囲んだ部分では、円高・ドル安の勢い以上に株価が下落しているように見受けられます。この辺は、国内政治不安や世界的な通商問題が影響している可能性があります。逆に言えば、国内政治不安や通商問題が鎮静化し、外為市場で円安・ドル高が続くなど、好材料が重なった場合、上の方でご説明した予想PER15.5倍に相当する水準まで、日経平均株価が上昇しても不思議ではないと思います。

4月の東京株式市場では、日経平均株価の月末終値が22,467円87銭となり、前月末比4.7%の上昇となりました。世界的な貿易戦争への懸念が後退したことや、円安・ドル高が進み、企業業績の先行きに対する不安が後退したことが追い風になりました。テクニカル的には、上値抵抗ラインとなっていた100日移動平均線を上回った所で月末を迎える形になりました。月が替わり、5/1(火)の日経平均株価は前営業日比40円16銭高と3日続伸し、前営業日に上回った100日移動平均線を維持したのみならず、2/27(火)の取引時間中に付けた高値22,502円05銭を上回って取引を終えました。外為市場で円安・ドル高が進んだことに加え、決算発表の最初のヤマ場となった前週末を総じて無難に通過し、企業業績への不安が後退したことが要因とみられます。ただ、連休後半を控えた5/2(水)の日経平均株価は持ち高調整も手伝い、35円25銭安と反落しました。東京市場が連休後半で休場となっていた間、米国市場ではダウ平均が累計で163.46ドル高となりました。5/2(水)はドル高が嫌気され、NYダウは4日続落となる174.07ドル安。5/3(木)も米中交渉の難航を警戒し、一時393ドル安となりましたが、200日移動平均を維持して上昇に転換しました。5/4(金)は好業績に自社株買い、バフェット氏による買い増しなど、好材料の相次いだアップルが上昇して上場来高値を更新し、市場心理が好転してNYダウは332.36ドルの大幅高になりました。雇用統計(4月)で賃金が伸び悩み、利上げ加速の材料にならなかったこともプラス材料になりました。なお、3月末に1ドル106円台前半となっていたドル・円相場は、4月末には109円台前半まで円安・ドル高が進み、株高をもたらしました。5/2(水)まで開催されていたFOMC(米連邦公開市場委員会)後のパウエルFRB議長による記者会見は、物価見通しを引き上げ「さらなる利上げ」を正当化する内容と理解され、ドル・円相場はこの日、一時1ドル110円台に乗せる場面がみられました。しかし、目標達成感に加え、上述したように、米雇用統計(4月)で賃金が伸び悩み、利上げ加速の材料にならなかったことから、ドル・円相場は1ドル108円台後半まで押し戻され「円安・ドル高一服」となりました。これを受け、連休明け後の5/7(月)の東京株式市場では、日経平均株価が5円62銭安と小幅続落になりました。ただ、円高・ドル安が加速する兆しをみせなかったこともあり、5/8(火)の日経平均株価は41円53銭高と反発し、22,500円台を回復しました。

ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は「株式市場で売りが強まれば、投資家は安全な債券に群がることになろう。関税引き上げによるインフレの影響は、インフレ期待の高まりとイールドカーブのフラット化につながる可能性がある」と語った。

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