ヤマトと日本郵便 協業破談の経緯
どんなに人手不足であろうとキャパオーバーな体制であろうと、会社を存続、成長させるためには営業活動は不可欠。物流崩壊危機の中でも、ヤマト運輸の営業所によっては、グループごとに営業成績が社内に貼り出され、上司から叱咤激励される日々である。
ヤマトは12月2日付の文書で、前年6月に基本合意した計画は暫定的なもので、守る必要などないと主張。計画を見直すのは、日本郵便の不当営業などが協業の精神に反するためだと唱えた。これが協業破談の決定打になった。
日本郵便側はヤマトが収益を確保するための一方的な要望だと受け止め、損失を補塡(ほてん)して自社都合による見直しだと公表するよう求めた。
ヤマト運輸が薄型荷物の配達委託を計画どおりに進めず、日本郵便が損害賠償を求めて提訴した問題で、詳しい経緯が裁判資料などで判明した。ヤマトは昨秋、赤字に転落する4~9月期の決算をまとめる過程で計画の見直しに言及。見直す理由の説明を変遷させ、日本郵便の不信と怒りを買うこととなった。
ヤマトは12月18日のニュースリリースでは、配達委託で配達日数が延びることが見直しの理由だとしている。朝日新聞の取材には、「協業で配達日数を縮めるには追加投資が必要。業績が厳しく(10月ごろに)難しいと判断した」(担当幹部)と説明している。
両社は物流のひっ迫への対応として、去年6月、ヤマト運輸のメール便と薄型荷物の配達を日本郵便に委託する形で協業することで合意しました。このうち薄型荷物「クロネコゆうパケット」の配達の委託について、ヤマト運輸は来年3月をめどに、配達業務の移行を完了するとした計画を見直すよう求める申し入れをしたことを明らかにしています。これに対して日本郵便は、協業の見直しで損害が生じるとして、ヤマト運輸を相手取り、23日、損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしたと発表しました。ヤマト運輸が合意に沿って業務を委託すべき義務があることの確認を求めるとともに、協業の準備のための費用や委託で得られるはずだった利益の補填(ほてん)など120億円の支払いを求めるとしています。日本郵便の五味儀裕執行役員はオンラインで開いた会見で「一方的な事情で誠意ある協議がなく、会社間の約束が否定されたことは極めて残念だ」と述べました。これについてヤマト運輸は「訴状を受け取っておらず、詳細な内容を確認していないのでコメントは控える」と話しています。
このヤマト運輸の試みは、会社規模ではなく物流業界全体を「分業制」という流れに変えようとしているのか。いずれにせよ、会社の思惑がそれぞれあると思うが、物流危機に陥っても利用者のために最低限の宅配便の品質を維持しようとしているには違いない。
業界内の分業制の前にヤマト運輸の一部の営業所では、宅配ドライバーの分業制を試験的に導入している。
日本郵便は、ヤマト運輸が去年結んだ協業の見直しを求めていることについて、会社を相手取って損害賠償を求める訴えを起こしたと発表しました。
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