サバさらに高騰漁獲枠8割減検討
当時、価格が安いアジやサバを、はるか欧州から輸入するなどとは考えられませんでしたが、国内資源の減少と円高といった要因が輸入の背中を押す結果となりました。
さらに、北欧の漁業関係者と話した際には「マイワシはマサバのエサだよね」と言われました。「何でエサからマサバが逃げるの?」とますますマイワシのせいにはできなくなってしまいます(笑)。
タチウオは横にも泳ぎますが、その名の通り立っているようにエサを狙いながら上を向いて泳いでいる魚です(太刀に似ているからという由来もあります)。サバやアジなど横に泳ぐ魚と異なり、群れを見つけたら漁獲しやすい魚といえます。
サバは、カレイやタラなどのように常に海底に住む底魚ではなく「浮き魚」です。だから巻き網で漁獲されます。「巻き網が届かないところにいるから獲れない」が「非現実的」なことはデータを基に明確に後述します。
塩サバ・缶詰といった加工品に向けられるのは、サバ類の内のマサバ(太平洋系群)となります。最も影響が大きい、その資源についてフォーカスしましょう。
なお、大西洋でのサバやニシンなどの漁も、EU、ノルウェーなどの漁船が入り乱れて操業しています。例えばノルウェーなどは水産資源の約9割を他国と共有しています。欧州は国の数が多くロシアも加わり、様々な思惑が絡み日本近海より複雑です。
「深く潜っているからサバが獲れない」が理由にならないことを、データで説明しましょう。上の表は北部太平洋における日本とロシアのサバの漁獲量を比較したものです。
そもそも、日本で冷凍されたサバ、サンマなど国内販売される冷凍原料には、生産日すらケース毎に付ける習慣がありませんでした。これではトレースができるはずはありません。
“庶民の魚”どうなる? サバ漁獲枠「8割減」検討 さらに高騰の可能性「900円にも」
2024年1月に水産庁はマサバ太平洋系群の資源評価が過大だったことを認め、親魚量の資源評価を引き下げました。このブログ以外のWEBでの発信を含め研究者に影響を与えています。実際には35%よりさらに低い可能性が極めて高くなっています。埋蔵金(魚)があるかの如く甘い資源評価をすれば、漁業者からの不満は出ないものの、ザルのような漁獲枠を設定する根拠になってしまい乱獲が進んで漁業者・消費者を含めた社会が大迷惑します。
マイワシの資源が多くてマサバが来遊しないという説があるようです???ところが、上のグラフをご覧下さい。マイワシの漁獲量が、現在よりもはるかに多かった1980年代の中ごろは、マサバの漁獲量は現在よりもはるかに多かったことがわかります。
「そんなことはないので頼みます。」と言いながら学びましたが「結局日本のサバ資源は回復しなかったね。」と当時のことを回想して言われました。もっとも習い始めてから数年で、回復はないと思ったのか、質問には必ず答えてくれるようになっていました。
英国がEUから離脱した際には、漁業で最後までもめていました。英国としては、同国内のEEZで操業していたEU諸国やノルウェーを排除したい意向があります。このためBrexit 後、ノルウェー漁船がそれまで漁獲の中心であった英国のEEZ内でサバ漁が出来なくなり、漁獲時期の繰り上げなど操業パターンにも影響を与えました(英国・ノルウェーは2023年にサバの操業に関して合意)。
上のグラフはマサバ(太平洋系群)の親魚資源量の推移を示しています。親魚量は大量に獲れていた1980年前後より多いというデータです。さらに4歳以上で、成熟割合100%の大きなサバが多いというデータになっています。ところが不漁です。サバはいるのに獲れないのでしょうか?さらに検証していきましょう。
日本では、資源管理上マサバとゴマサバをひとまとめにされてしまっていますが別種です。日本では一般的にマサバの方が評価が高いですが、海外のマサバ(系)とゴマサバ(系)も同様です。
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