執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年2月7日 12時10分
ドライバーは関税の話題、リスク回避志向の中での動きが継続か
米ドル/円、一時150円台
米ドル/円は150円台へ下落。カナダ・メキシコ・中国に対する関税賦課が宣言されたものの、カナダとメキシコとは関税発動を1カ月延期されることでまとまり、貿易戦争激化が先送りされたことで、投資家心理が少し改善し、米ドル/円は155.880円までの戻りを試しました。ただ、投資家心理が完全に戻しきらないうちに、本邦の実質賃金の2カ月連続プラスを受けて日銀の追加利上げへの思惑が燻ったほか、さえない米経済指標もあり、米ドル/円は150.958円まで下げ幅を広げました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米中対話次第だが、その次も控える
来週は、12日に米国で1月消費者物価指数CPIや14日に小売売上高が発表されますが、マーケットはトランプ関税を中心とした相場展開で、経済指標は脇役といった感じです。トランプ大統領が進めようとしている関税策によるインフレへの影響は気になりますが、中古自動車価格の下落や住宅価格の伸びが抑制されている点で、インフレ動向は落ち着いていると言えそうです(悪天候による生鮮食品などの価格は上がりそうですが)。
10日発動の中国の対米報復関税を巡り、米中対話が進むかどうかが相場のメインドライバーになりそうです。もっとも、中国との対話が進んでも根本的な解決はまだ先になるほか、米国のEUへの関税やすべての国を対象にした一律関税などの話題は残り、本格的にリスクテイクする動きにはつながりづらいように見受けられます。貿易戦争がエスカレートしなかったことによる安堵感から、一時的にリスク回避ポジションの巻き戻しはあっても、ざっくり言ってしまえばまだリスク回避志向の中での動きと言え、こうした点で、米ドル/円は上値の重い展開が続き易いのではないでしょうか。
ネガティブ材料が増加(テクニカル分析)
米ドル/円は、昨年9月16日安値139.576円を起点としたフィボナッチファンの下抜け、日足一目均衡表での三役逆転、強弱判断に使われる200日移動平均線の下抜けとネガティブな材料が重なり、下方向を試す動きが続いています。週足一目均衡表の雲が辛うじて下方向をサポートしていますが、雲の厚みも薄いためサポート力は限定されていると感じます。終値ベースで週足一目雲下限となる151.102円を下回れば、さらに下方向への圧力が増し、心理的な節目の150.00円や昨年12月3日安値の148.644円を目指すのではないかと、見ています。
【米ドル/円チャート 日足】
【米ドル/円チャート 週足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:148.500-154.500
2/10 週のイベント:
一言コメント
カナダやメキシコに対する関税賦課は一時的に小康状態になりました。しかし、本筋は貿易不均衡の是正と思っていたのですが、そうした部分での協議はほとんど聞かれず、不法移民や麻酔薬に対する協議に留まった点は違和感があります。小出しに次から次へと要求を増やしてくるのではとの、不安があります。
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来週の為替予想 米ドル 円
2028年5月のドル円予想。当月始値 186.00、最低 186.00、当月最高 191.72。平均 188.15。月末 188.89。変更 1.6%。
より強い経済が、より強い通貨に結びつきます。自国の通貨を強くしたい政府は、雇用創出、投資拡大、輸出増加などの政策を打ち出します。先に示した曲線は、両国の定期的な経済成長に伴う、米ドルと日本円の推移を表したものです。
政治情勢が安定している政府は、多くの投資家を惹きつけるため、その国の通貨は強くなります。米国と日本は、どちらも政治的に安定しています。両国にみられる僅かな為替レート変動の違いは、経済の安定性に関係しています。世界の貿易 は米ドルで取引されており、これが米ドルが日本円よりも優位となる要因です。
2028年3月のドル円予想。当月始値 186.14、最低 183.13、当月最高 188.71。平均 185.98。月末 185.92。変更 -0.1%。
2027年5月のドル円予想。当月始値 172.82、最低 165.13、当月最高 172.82。平均 169.60。月末 167.64。変更 -3.0%。
この日発表された第3四半期の米国のGDP(国内総生産)は上方修正、雇用関連のデータも改善するなどして米長期金利は5月30日以来の高水準4.59%前後まで強含んだ。155円台そして156円台をブレークしても円安の勢いは止まらず、未明には7月16日の高値(157.86円)に迫る157.81円まで円安に動いた。24時間のレンジ幅は3.38円。
2028年6月のドル円見通し。当月始値 188.89、最低 184.78、当月最高 190.40。平均 187.92。月末 187.59。変更 -0.7%。
2027年10月のドル円見通し。当月始値 177.30、最低 171.42、当月最高 177.30。平均 175.01。月末 174.03。変更 -1.8%。
10年後の2010年、日本のインフレ率は0.72%まで上昇しましたが、米国は1.64%にまで下がっています。ドル/円相場は1ドル87.78円まで下落しました。現在のインフレ率は、日本0.23%、米国0.62%、ドル/円相場は 107円となっています。このことから言えることは、インフレ率は為替レートに影響を与えるものの、それ以外の様々な要因も関係していることを明らかにしています。
輸出額が輸入額を下回ると、その国の通貨は弱くなります。これは貿易赤字と呼ばれ、中国のように自国通貨を強くし「仕事を家に持ち帰る」国と米国との間で、近年繰り広げられている貿易戦争の原因となっています。日本は自動車、工業用 品、その他関連部品など、アメリカへの輸出量を増やしています。現在、日本の対米貿易収支は685億ドルの黒字、サービス収支は105億ドルの赤字となっています。2010年、米国と日本の貿易収支が600億ドルの赤字だったとき、ドル/円は 87.78円でした。
2028年2月のドル円見通し。当月始値 180.72、最低 180.72、当月最高 188.93。平均 184.13。月末 186.14。変更 3.0%。
第一週 2月10日(月曜日)のドル円予想: 為替レート 154.28、 最高 156.59、最低 151.97。 2月11日(火曜日)のドル円見通し: 為替レート 153.83、 最高 156.14、最低 151.52。 2月12日(水曜日)のドル円予想: 為替レート 154.87、 最高 157.19、最低 152.55。 2月13日(木曜日)のドル円見通し: 為替レート 154.72、 最高 157.04、最低 152.40。 2月14日(金曜日)のドル円予想: 為替レート 154.07、 最高 156.38、最低 151.76。
2029年1月のドル円予想。当月始値 195.78、最低 190.43、当月最高 196.23。平均 193.94。月末 193.33。変更 -1.3%。
2028年7月のドル円予想。当月始値 187.59、最低 187.59、当月最高 195.19。平均 190.67。月末 192.31。変更 2.5%。
インフレ率が高くなると、外国為替市場での通貨は弱くなります。1990年のインフレ率は、日本は3.08%、米国は5.40%でした。その年のドル対円相場は、年末までに1ドル160円から135円にまで下落しています。2000年のインフ レ率は日本は-0.68%、米国では3.4%と、ドル対円相場は107.8円にまで下がっています。
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