動画配信期間:公開日から2週間
動画の内容をギュッと要約
【トランプ政権の政策と影響】
1. 二大政策の評価
– 関税政策:世界的な悪影響が顕著になりつつある。特に米国内の自動車産業(GM、フォード、テスラ)が打撃を受け、約10%の株価下落
– 米行財政改革:無駄を省く取り組みとして評価できる。
2. 市場動向への影響
– ドル相場:当初予想されたドル高・金利上昇と逆の展開となり、12通貨中8位と弱含み
– 米国株式市場:全体的には上昇も、自動車セクターは大幅下落
– 金利:長期金利は低下傾向。住宅ローン金利低下はプラス要因だが、住宅価格上昇で相殺
– 物価:鉱物資源価格が上昇し、インフレ圧力が継続
【世界各国・地域の状況】
1. 欧州
– ドイツ株が10%以上上昇するなど欧州株式市場は好調
– しかし実体経済は弱く、ドイツは3年連続マイナス成長の予想
– ECBは金融緩和継続の姿勢
2. アジア・オセアニア
– オーストラリア:米国との関税交渉で免除の方向
– 中国:関税の影響を受けつつも、AI開発など技術革新で対応
– ニュージーランド:移民政策の緩和など、経済活性化策を模索
【日本市場への影響】
1. 日経平均など株式市場
– 世界的に見て最も弱い展開(-2.7%)
– 円高の影響を強く受ける
2. 為替市場
– 日本円は主にリスク回避の動きで買われる
– テクニカル分析では、ドル円が「雲」の下に突入
3. 機関投資家への影響
– GPIFは円高・株安の影響で運用パフォーマンスに懸念
– 外貨投信の動向も注目される
【今後の展望と課題】
1. 市場の注目点
– 関税政策の行方と各国への影響
– インフレ動向と金融政策の方向性
– 不確実性の高まりによるリスク回避の動き
2. 懸念事項
– 自動車産業への影響の深刻化
– 世界的な貿易摩擦の拡大リスク
– 各国の報復措置の可能性
総じて、トランプ政権の関税政策を中心とした保護主義的な動きが、世界経済に不確実性をもたらしており、市場は引き続き不安定な展開が予想されます。特に、関税政策の影響と各国の対応、そして実体経済への影響を注視する必要があります。
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野村雅道 氏
FX湘南投資グループ代表 1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。 87年米系銀行へ転出。外資系銀行を経て欧州系銀行外国為替部市場部長。外国為替トレーディング業務ヴァイスプレジデントチーフディーラーとして活躍。 財務省、日銀および日銀政策委員会などの金融当局との関係が深く、テレビ・ラジオ・新聞などの国際経済のコメンテイターとして活躍中。為替を中心とした国際経済、日本経済の実践的な捉え方の講演会を全国的に行っている。現在、FX湘南投資グループ代表。
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トランプ関税が逆効果米ドルが強くなれない理由とは 2月12日 水
そうした中で、トランプ大統領は2024年7月、共和党の全国大会で、中国の自動車や自動車部品のメーカーが米国で生産を行い、米国で販売するのは規制しないと発言。AIや量子コンピューター等の戦略的産業は除くかもしれないが、中国企業の対米投資を許容するという奥の手を見せる可能性がないとは言えない。
こうした中で、米中はぎりぎりまで粘り強く交渉を重ね、落としどころを探る展開になると思われるが、限界点を超えることで、さらなる摩擦を引き起こす可能性もないとは言えない。一方では、トランプ大統領と習近平主席の決断により、中国の自動車メーカーや車載用電池メーカーの対米進出が実現するかもしれない。そして、これに続くグランドバーゲンもあり得るかもしれない。
中国においては、不動産不況等に伴う国内の消費の低迷に加え、米国による中国製品に対する60%を超える高関税が賦課されれば、一段の経済成長率の低下が予想される。つまり、トランプ大統領が中国の対米投資を受け入れるならば、中国が米国での自動車や車載用電池等の現地生産を進めることはあり得ないことではない。
トランプ大統領は、2024年の大統領選挙で、予想を覆して圧勝した。その結果、トランプ大統領が選挙キャンペーンの早い時期から言及していた大幅な関税引き上げや移民対策等は、実施し易くなったと考えられる。
トランプ大統領の高関税政策は、外国からの輸入に障壁を設け、国内製品の販売を促進するという意味において、アメリカ・ファーストに基づく自国中心の手段である。そして、米国の産業を保護すると同時に、財政赤字を削減するための方策でもあり、極めて政治色の強い政策である。
トランプ大統領は関税を発動するギリギリの時点まで交渉する等、相手の譲歩を引き出す戦術を実行し、その時の判断で着地点を探る可能性がある。つまり、相手の対応次第で追加関税は品目別にも柔軟に設定されることもあり得る。
・先週の米ドル/円は高値更新が続いたが、「トランプ関税」をめぐる報道や米国株急落をきっかけに何度か反落する場面もみられた。
また、これ以外の通商関連のトランプ大統領の要求として、中国への恒久的正常貿易関係(PNTR)廃止、2026年USMCA見直し等での原産地規則の改正、IPEFからの離脱、日本等を対象にした米国の貿易赤字の削減、等を挙げることができる。様々な関税の引き上げ策にこれらを含めるならば、トランプ大統領の各国への通商関連の要求は、より複雑に絡んだスパゲッティのようになると思われる。
同様に、トランプ大統領は通常の米国のEUへの直接投資を抑え込んだりはしない。逆に、EUから米国への投資も国家安全保障等に大きく関わる案件を除いて規制することはないと考えられる。
そして、通商法122条には関税率が15%を超えてはならないという制限があり、150日間の時限立法となる。議会の承認を得ることで、この時限立法を延長することは可能であり、トリプルレッドを達成したトランプ政権は、議会でその延長法案を可決することが容易になったと思われる。
ただし、カナダ・メキシコに対する移民・麻薬の流入を起因とする25%の関税賦課は、USMCAを活用し無税での輸入が進展している北米の貿易の枠組みに大きなダメージを与えるため、トランプ大統領はその適用前に交渉の終結を図る可能性がある。また、発動されても迅速な交渉の合意により早めに適用が中止される可能性がある。
トランプ大統領はフェイクニュースだとして即座に否定したものの、この報道はトランプ政権移行チームを含むトランプ第二次政権の中において、依然としてユニバーサル・ベースライン関税や60%の対中関税等の方向性に関する議論が定まっていないことを示すものと考えられる。
今後、トランプ政権の正式なスタートに伴い、関税の具体的な中身が明らかになっていくなかで、米金利上昇や加ドル売り・米ドル買いなどがさらに続くのか、それともすでに目一杯影響を織り込んだことから、逆にその反動で「バブル破裂」のようになるのか……今後、大いに注目したいところです。
また別の角度になるが、トランプ新大統領による財政拡張が米ドルの信用力を削ぐ可能性もある。トランプ新大統領が減税による財政拡張を志向していることから、米債の金利が上昇し、短期的にはドル高要因となっている。しかし長期的には、こうした動きは米債の信用力を低下させ、ドル安とともに「ドル離れ」を促す圧力になるはずだ。
例えばトランプ新大統領が強く主張する孤立外交路線は、基軸通貨としての米ドルの信用力と相容れない側面が大きい。本来、基軸通貨としての米ドルの信用力は、米国が覇権国として各国に米軍を派遣し、国際秩序の維持に貢献しているからこそ保たれている側面が大きい。ゆえに各国は米債を購入し、米ドルの信用力を支えているのである。
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