中期的には下落トレンドの中【外為マーケットビュー】
配信期間:公開日から2週間
※原則隔週の配信となります。次回配信は2月25日 (予定)
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
動画の要約・まとめ
【全体の市況】
– トランプ大統領のアルミ・鉄鋼製品への25%関税導入により、リスク回避の動きが強まる
– パウエルFRB議長が議会証言で「利下げを急ぐ必要はない」と発言し、米雇用市場の安定性を強調
– これにより長期金利が上昇、円売り・ドル買いの展開に
【ドル円分析】
– 現在152円台後半まで続伸、底堅い動き
– 重要なサポートライン:151.90-151.95円
– 2022年3月のロシア・ウクライナ危機時の円高ピーク(114.65円)からの中長期サポートラインを下抜け
– 151円台は実体的な下値サポートとして機能している
– 31週/62週の移動平均線が151円付近に集中しており、下値は限定的
– 目先は153.20-153.30円が抵抗線として意識される。155円は抵抗になりそう。
【ユーロ円分析】
– 158円台まで値を戻す展開
– 160円が重要な心理的抵抗線として機能
– 2022年3月の120.40円からの中長期サポートラインを下抜け
– 156.18円の直近安値が重要なサポートレベル
– 基調は弱気トレンドを継続
– 158.40-158.50円がレジスタンスライン、これを超えられるかが焦点
– 156円割れで155円、その後150円方向への下落リスク
【豪ドル円分析】
– 96円台で推移、上値の重い展開
– 97円台乗せが反発の必要条件
– 94円割れで93円までの下落リスク
– 豪ドル/米ドルの動向が相場を左右
– 現状は下げ止まりの兆しも見られるが、上値は重い
【ドル/スイスフラン分析】
– 0.90-0.92のレンジ推移
– 週足0.90割れで新たな下落フェーズへ
– スイスは対米貿易取引が比較的少なく、関税の影響は限定的
– 金利が低水準なため、円と同様に売られやすい展開
総合的な見通し:
1. 主要通貨ペアは下値リスクを意識する展開が続く
2. ドル円は151-152円のレンジ内での推移が予想される
3. クロス円全般に弱含みの展開、特にユーロ円の上値は重い
4. スイスフランは相対的に影響が限定的も、低金利通貨として売られやすい
トレード戦略:
– ドル円:151円台での売りは慎重に
– ユーロ円:160円手前での売り待ち
– 豪ドル円:97円を割り込んだ場合の売り
– ドル/スイス:0.90割れでの売り検討
注目ポイント:
– 米国の関税政策の進展
– 主要経済指標の結果
– 中央銀行の金融政策スタンス
– 地政学的リスクの動向
目次
00:00 相場の振り返り
01:02 ドル円分析
04:32 ユーロ円分析
08:22 豪ドル円分析

川合美智子氏
外国為替ストラテジスト
旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)在勤の1980年より、テクニカル分析の第一人者、若林栄四氏の下でテクニカル分析を研究、習得する。同行退職後、1998年まで在日米銀などでカスタマー・ディーラーや外国為替ストラテジスト、資金為替部長を歴任。現在は外国為替ストラテジストとして、テクニカル分析に基づく為替相場レポートを発信中。各種メディアへの出演も多数。
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ドル円解説 155円が壁に151円台は下値サポート FX
そのうちに2026年のUSMCA改定の時期となりさらに混乱する。米国はUSMCAを離脱するかもしれない。そうなるとメキシコに大打撃となるが米国も物価急騰となる。混乱という意味ではドル安となる。ただメキシコは対米貿易に大きな障害が発生するのでドル安でもペソ高とはなりにくい。
メキシコに進出している中国電気自動車メーカーに対し、米国への輸入に100%の新たな関税を課すとした。その後税率を200%に引き上げると威嚇している。また、メキシコで大規模な工場を稼働しているドイツの自動車メーカーに対し、「米国の自動車会社になる」よう呼びかけた。「私は彼らに米国内に工場を建設してもらいたい、そうすれば法人税率を15%に引き下げる」と約束した。
ドル円が153.00レベルをも難なく下方ブレイクする場合は、円買いと米ドル売りが同時に発生している可能性がある。このケースでは、152.00を視野に下落幅が拡大する展開を警戒したい。
移民対策を強化する観点からメキシコペソには向かい風が吹く。またメキシコの司法改革に対する懸念もあり、しばらくはペソのキャリトレード戦略がワークしにくくなるだろう。一方でファンダメンタルズの強い豪ドル、国際収支構造のしっかりした人民元とのクロス円は上昇しやすくなるはずだ。中国人民元/円は21.5円~21.8円辺りでの年末着地が見込めるだろう。
ドル円が152.00を目指す過程で注目したい水準が2つある。この点について上で掲載した45分足チャートで確認すると、まずは今日の早朝に相場をサポートした153.35レベルの攻防に注目したい。153.35の下方ブレイクは、サポートラインへ転換する可能性のある153.00をトライするシグナルと想定しておきたい。
トランプ氏が大統領になる可能性が高いと考える。 両党、両氏の政策は対照的であり、結果的に票は割れやすく、接戦になりやすい。そのためよく言われることではあるがスイングステートにおける投票結果が鍵を握るだろう。そのスイングステートであるペンシルバニア州での共和党の選挙集会中にトランプ氏の耳をかすめる銃撃が発生、またフロリダ州では銃撃未遂を乗り越えトランプ氏に神風が吹いているものと見ている。また長らく続いた高インフレや、直近の失業率上昇も、国内景気をより重視する共和党に有利に働くと考えている。 1971年から現在まで、共和党が大統領を務めたタームはニクソン&フォード、レーガン&ブッシュ、ブッシュ(jr)、トランプと4タームあるが、このいずれの期間もドルインデックスは下落している。民主党と比べて積極的なマクロ経済対策を行う傾向があること、またグロバールな枠組みよりも自国の利益を優先する傾向にあることから、結果としてドル安に振れやすく、諸外国のドル離れを誘発しやすい政党と言えるだろう。
ハリス勝利後の注目通貨ペアは、ポンド買いドル売り。自分の中でドル売りはほぼ確定していたが、相手通貨に何を選ぶべきか悩んだ。ポンドに決めた理由は、G10通貨中、政策金利レベルの優位性と政権の安定性、EUから離脱したからこその安心感などを挙げたい。
(豪ドル上昇要因): ①米ドル軟調=豪ドル堅調で70セントを上回る可能性。 ②対中政策が現状維持に留まれば(トランプ氏の主張する大幅関税引き上げがない)、中国の輸出現状維持で豪州に対する資源需要も減退しないだろう。 (豪ドル下落要因): ①ウクライナ支援強化で更にウクライナ戦争が泥沼化し、中東紛争が長期化すれば世界経済低迷で豪州資源の需要減退。 ②米株下落が主要国の株価下落に及べば世界経済減速懸念=豪ドル安。 ③低所得者層支援で財政赤字拡大となれば、金利上昇=米ドル高で豪ドル安。
トランプ氏は台湾支援もしない方針のため、万が一、台湾有事が現実のものとなれば、イスラエルと並び地政学リスクが大きく台頭、基軸通貨であり流動性が高いドルが第一の安全通貨となる点も、ドル買いを連想させた。
一つには民主党=米ドル安のアノマリー(経験的な規則性)により、初期反応は米ドル安/円高に反応するだろう。ハリス氏の大企業・富裕層への増税政策は株価にネガティブでありリスク要因となるだろう(円買い要因)。一方子育て家族に対する税額控除拡大、ウクライナ支援政策や中東など紛争地域における米国関与の継続姿勢は軍事費拡大から財政赤字悪化要因であり米ドル安要因。
なだらかなドル高(円安)へ。先ずはご祝儀的な、アメリカ買い(株買い・ドル買い)が入る。国内では今まで通りの市場主義的な経済政策が継続される。国際的には協調的な政策が継続される。ファンダメンタルに沿った動きとなる。景気の波での変動はあるも、米国企業の強さは変わらず中長期にはドル高が続く。
トランプ氏(共和党)が勝利した場合には株高、ドル安、円安で反応しやすいだろう。ドル円は初動で下げるように思うが、大きくは下がらないと思う。この場合のドル円は年末で148~151円辺りをイメージ。よりクロス円のロングに妙味が出てくるだろう。
45分足のRSIでは一度デッドクロスを形成した。MACDでもデッドクロスを形成するムードにある。来週に日銀の金融政策決定会合が控えている状況も考えるならば、本日ドル円が反発基調を維持しても155.00レベルまでの反発が限界と予想する。
最初はドル高円安、その後失速する。米企業の国内回帰を標榜しているので誘致コストや国内の雇用コストが上昇、物価・金利も上昇しドル高。ただ落ち着けば、国内回帰のコスト増で財政赤字拡大でドルへの信認は失われ、ドルは売られる。トランプ氏は製造業回復のためドル安(円高)を望んでいる。
ドル円(USD/JPY)は昨日、151.94レベルから154.30レベルまで急反発する荒れた展開となった。反発した局面での動きをテクニカルで確認すると、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準154.20レベルで戻りが止められたことが分かる(下のチャート、赤矢印を参照)。24日の早朝、そして本日の東京時間でもおなじく154.20レベルレジスタンスラインとして意識された。
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