
本日のニューヨーク為替市場でもドル円は米金利動向を見極めながらの取引か。経済指標は1月米小売売上高や同月鉱工業生産がNY午前に発表予定。また、トランプ関税に絡んだ報道にも注意したい。
昨日のドル円は12日に急騰した分を大きく吐き出し、本日も欧州序盤に下値を探る展開となった。テクニカルでは日足一目均衡表・雲を下抜けて、他主要線の位置関係から売りシグナルとされる三役逆転が再び点灯。また、昨日は200日移動平均線を僅かに上回って引けたものの、本日152.73円付近に位置する同線の下で推移する時間も長くなりつつある。
トランプ米大統領は昨日、相互関税を導入する大統領令に署名し、同盟国であろうと例外は認めない意向を示した。これにより日本にも火の粉が及ぶ可能性がでてきたものの、調査に時間がかかるため、実際に関税が発動されるまでには数カ月の猶予があるもよう。
トランプ関税の悪影響について、市場は徐々に免疫力をつけてきていた。そういったなかでの昨日の報道で、関税強化によるインフレ警戒感が緩んでいる。米金利に低下余地が出てきており、そういった中で米指標が想定より弱いようだと市場は敏感に反応しそうだ。
NY序盤に発表の1月小売売上高(前月比)は、総合・自動車除くのどちらも前回から下振れ見込み。特に総合は0.1%低下まで弱まることが予想されており、こちらが下掘りするようだとセンチメントは悪化しそうだ。その後に発表の同月鉱工業生産(前月比)も予想0.3%上昇と、前回から0.6ポイントほど弱まると見られている。
想定レンジ上限
・ドル円、本日高値153.15円から日足一目均衡表・転換線153.23円が抵抗帯。
想定レンジ下限
・12日安値152.38円を抜けると、11日安値151.65円が次の下値めど。
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
それでは2025年の見通しに進みます
そこで7月上旬に筆者は年後半の見通しを公開しました。 「24年後半の日経平均は4万2000円~4万3000円へ上昇余地がある一方、4年サイクル底へ向け、高値から15%~20%の調整が起きる可能性があります」(『マンスリー・フォーカス、7月10日付』より)。
それでは2025年の見通しに進みます。 まず年回りをみると、十干は「乙」、干支は「巳」です。60年に一度の乙巳(きのと・み)の年は、成長していたものが芽吹き極限まで一気に伸びる、水面下で重ねてきた努力が報われ成功する、という勢いのある年とされています(蛇が脱皮を繰り返し成長していくイメージですね)。反面、芽吹くに至らず、さらに我慢が必要な場合もあるそうです。
<25年の豪ドル/NZドルの見通し> 24年1年間を通してみると、豪ドル/NZドルは堅調な展開でした。RBNZが積極的な利下げを実施する一方で、RBAは政策金利を据え置き続けたことが、その主な要因と考えられます。
25年はリクスバンクが利下げを継続するなか、ノルゲバンクも利下げを開始する見通しです。そうしたなかでも金利差(スウェーデン<ノルウェー)は拡大が予想され、引き続きNクローネにプラスとなりそうです。ただ、ノルゲバンクの「据え置き⇒利下げ」は金融政策の転換であり、転換時においてはNクローネの下落圧力を生みそうです。
12月16日の週のニューヨーク金市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げペース鈍化見通しが示されたことを受けて急落した。中心限月の2月限は11月18日以来の安値2,596.7ドルを付けた。米FOMCでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.25‾4.50%とした。金利・経済見通しでは2025年の利下げ回数が2回と想定され、9月の前回見通しの4回から半減した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は記者会見で「今後はインフレの進展を見極めながら慎重に進む必要がある」と述べた。また英中銀は金利据え置きを決定し、ベイリー総裁は、利下げについて「段階的なアプローチ」を続ける必要があると指摘した。トランプ次期米大統領の就任を2025年1月に控えるなか、主要中銀は金利見通しに関して慎重な姿勢を示した。一方、日銀金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%程度で据え置くことを決定した。ハト派的な内容となり、円安が進んだ。 11月の米小売売上高は前月比0.7%増加した。自動車やオンライン販売の加速に支えられ、事前予想の0.5%を上回った。第3四半期の米国内総生産(GDP)確報値は年率換算で前期比3.1%増と、改定値の2.8%から上方改定された。堅調な個人消費が示された。11月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.1%上昇と、前月の0.2%から伸びが鈍化した。金ETF(上場投信)に安値拾いの買いが入って下げ一服となった。ただ前年比では2.4%上昇し、前月の2.3%から伸びが加速した。CMEのフェドウォッチで、2025年末の米連邦準備理事会(FRB)のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は3.75‾4.00%の確率が32.1%(前週32.7%)となっており、1‾2回の利下げを織り込んでいる。一方、米議会で3月14日までのつなぎ予算案を可決し、バイデン米大統領は21日未明、署名した。年末の政府機関閉鎖は回避された。 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ紛争終結に向けトランプ次期米大統領と協議し、妥協する用意があると言明した。ただ次期米大統領の就任まで停戦ラインを巡る攻防が続くとみられる。ロシアは新型の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を再度発射する計画があるとしている。一方、パレスチナ自治区ガザの停戦交渉に関し、イスラム主義組織ハマス幹部がイスラエルとの停戦合意に向けて「ほとんどの問題が解決した」との見解を示したと伝えられた。またシリア暫定政府は、元反体制派「シャーム解放機構(HTS)」幹部のムルハフ・アブカスラ氏を国防相に任命した。旧アルカイダ系組織のHTSを取り込み、平和と安定に向けた動きが続くかどうかを確認したい。 12月20日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比13.50トン増の877.40トンとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げペース鈍化見通しが示されたことを受けて急落するなか、安値拾いの買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月17日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは26万2,041枚となり、前週の27万5,586枚から縮小した。今回は手じまい売りが2万1,354枚、買い戻しが7,809枚入り、1万3,545枚買い越し幅を縮小した。
前回のレポートでは、アメリカ大統領選挙の結果が米ドル相場に与える影響と今年末に向けてドル円(USD/JPY)がどうような展開となるのか?について考察した。しかしレポートを掲載した直後、2つの大きな動きがあった。このため、前回の見通しを修正する必要が出てきた。
<25年の米ドル/カナダドルの見通し> 24年はBOCが積極的な利下げを実施する一方で、FRBの利下げペースはBOCと比較すれば緩やかでした。24年終盤の米ドル/カナダドル上昇は、FRBとBOCの利下げペースの差が主な要因と考えられます。
トランプ大統領が就任早々から関税引き上げの大統領令を発出。貿易相手国が報復措置を発動することで、世界貿易は急速に縮小。関税引き上げや移民規制によるインフレ懸念から長期金利が上昇することも米景気にブレーキをかけます。米国はリセッション(景気後退)に沈みます。業績悪化見通しから株価が大幅に下落することも、逆資産効果を通して景気への重石となります。
市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、BOCの政策金利は25年12月時点で2.75%との見方が有力です(24年12月19日時点)。仮にこの通りになるならば、BOCの政策金利はあと0.50%引き下げられることになります。
ニューヨーク・プラチナ4月限は米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げペース鈍化見通しを受けて戻りを売られ、9月5日以来の安値929.0ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しに変わりがないことは下支え要因だが、貿易摩擦に対する懸念が残ることが上値を抑える要因である。トランプ次期米大統領は北大西洋条約機構(NATO)加盟国の国防費の割合を国内総生産(GDP)の5%に引き上げるよう要求すると伝えられた。ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアとの停戦交渉の前提として、停戦後の安全保障の確保が重要との認識を示した。 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、9日のロンドンで18.46トン、20日のニューヨークで34.69トン(前週末34.69トン)、19日の南アで10.90トン(同10.99トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月17日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万3,744枚となり、前週の1万4,829枚から縮小した。
市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場では25年末までに合計0.75%の利下げが行われるとの見方が有力です(24年12月19日時点)。
ニューヨーク金2月限は米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げペース鈍化見通しが示されたことを受けて急落し、11月18日以来の安値2,596.7ドルを付けた。ただ11月の米個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが鈍化したことを受けて下げは一服。急落局面でも、11月安値の2,565.0ドルを維持した。来年の米連邦準備理事会(FRB)の利下げ回数の見通しが2回に半減したが、利下げ見通しに変わりはなく、金ETF(上場投信)には安値拾いの買いが入った。クリスマスと年末年始を控える今は、方向性を模索することになりそうだ。
10月7日のIG為替レポート「ドル円の週間見通し 米雇用統計の衝撃、米利下げペースの思惑とドル安シナリオの修正、ドル円は150円が再び視野に」で述べたとおり、解散総選挙(10月27日投開票)後も政治サイドから追加利上げに対するけん制が相次げば、今年末に向けて再び円安が進行するシナリオも用意しておきたい。
前回のレポートでは、アメリカ大統領選挙でトランプ候補が勝利をおさめても、パウエルFRBによる大幅利下げが米ドル高圧力の後退要因となり、緩やかな米ドル安へ転じる見通しを示した。
最後に、今年の年末に向けたドル円(USD/JPY)の見通しについて考察したい。
コメント