
◆ドル円、1月CPIや対米貿易黒字を見極め
◆ドル円、FOMC議事要旨にも注目
◆ユーロドル、ウクライナ停戦合意を見極めつつ製造業・サービス業PMI速報値に注目
予想レンジ
ドル円 151.00-155.00円
ユーロドル 1.0200-1.0600ドル
2月17日週の展望
ドル円は、全国1月消費者物価指数(CPI)が12月の3.0%から上昇基調を辿っているのか否かを見極めることになる。CPIの先行指標となる東京都区部のコアCPIは、前年比2.5%と3カ月連続で伸びが拡大している。また、氷見野日銀副総裁が円安の影響として注目していた1月の輸入物価指数も前年比2.3%となり、12月の1.4%から上昇した。1月CPIが上昇基調を辿っていた場合は、日銀の0.75%への追加利上げ時期が前倒しされる可能性が高まるため、ドル円の上値が抑えられることになるだろう。また、1月の貿易収支では、本邦実需筋の動向を確認することになるが、トランプ米大統領が日米首脳会談の後に「対日貿易赤字を減らしたい」意向を示したこともあり、今後は対米貿易黒字の推移にも注目していきたい。
米国では、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月28‐29日開催分)が公表されるが、タカ派的な据え置きの背景や、年内の利下げ回数・利下げ幅に関する見解に注目することになるだろう。なお、直近のCMEがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、0.25%の追加利下げの時期は10月FOMCまで先送りされる可能性が示唆されている。トランプ米大統領は、「金利は引き下げられるべきだ。それは今後の関税と歩調を合わせることになる」と引き続き利下げを要求しているものの、パウエルFRB議長は半期に一度の議会証言で「関税を理由に政策金利を変更せざるを得なくなる可能性」に言及。利上げの可能性を示唆したことには注意したい。
ユーロドルは、欧州連合(EU)とトランプ米政権による関税を巡る協議の行方、ウクライナ停戦合意の行方などを見極めつつ、ユーロ圏2月の製造業・サービス業PMI速報値を確認することになる。ユーロ圏の景況感の悪化傾向が続いていた場合は、3月の欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利下観測が高まることになりそうだ。また、23日に予定されているドイツ総選挙に向けて、極右政党である「ドイツのための選択肢」(AfD)が躍進する可能性が警戒されており、ドイツの政局混迷リスクにも警戒が必要だろう。
2月10日週の回顧
ドル円は、週明けから前週のショートカバーが先行。トランプ米大統領が鉄鋼とアルミに対する輸入関税25%の大統領令に署名。また、米1月CPIが予想を上回り、パウエルFRB議長が議会証言で「政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」というこれまでの見解を繰り返したことから米長期金利が急上昇となると154.80円まで買い戻された。ただ、米国による相互関税が即時発動されず、米長期金利が一転して急低下となると152円台半ばまで反落している。ユーロドルは、ウクライナ停戦合意への期待感が高まったこともあり、1.04ドル台半ばまで上昇した。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 週間為替展望 ドル
本日のドル円は152円〜154円程度を予想します。
雇用統計で労働市場の底堅さが確認される場合、米金利は上昇で反応することが予想される。米金利の上昇は米ドル高の要因となろう。ISM非製造業景気指数も予想以上となれば、ドル円は予想レンジの上限158.20のトライと上方ブレイクを想定したい。雇用統計前に158.20をすでに上方ブレイクしている場合は、159.00が視野に入ろう。
日本と米国の選挙が市場に先行き不透明感をもたらす中、一部の為替ストラテジストは円相場が今後数週間のうちに1ドル=155~160円まで下落する可能性があるとみている。
今週のレジスタンスライン 今週の米経済指標が米ドル高の要因となれば、ドル円(USD/JPY)は3つのレジスタンスラインの攻防に注目したい。
日米の金融政策の方向性が乖離(かいり)する中、市場で両国の金利差が今後どの程度まで縮小するのかを巡り意見は分かれている。米国の堅調な経済指標と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに慎重な姿勢が状況を複雑にしている。ここ数週間は米国要因が為替相場を大きく揺さぶり、北米の取引時間帯に円売りが加速した。
アセットマネジメントOneの竹井章ファンドマネジャーは、短期的には160円程度までの円安・ドル高があり得るとした上で、年末に向けて米国の長期金利は低下していくと予想。円相場も「場合によっては150円よりも円高に戻る可能性はある」と述べた。
今週のドル円(USD/JPY)は米経済指標で上下に振れる展開が予想される。注目の指標は7日のISM非製造業景気指数(昨年12月分)と10日の雇用統計(同)となろう。ベースシナリオの予想レンジは155.00-158.20。米経済指標の内容次第では、レンジのブレイクを想定しておきたい。
一方、市場予想を下回る内容が続けば米金利の低下による米ドル安だけでなく、景気不安を意識した米株安による円高も予想される。このケースでは、予想レンジの下限155.00のトライと下方ブレイクを警戒したい。
今週前半のドル円は151.10-152.60のレンジで推移。一つ前の週足レンジ内におさまったまま上昇地合いで週後半の取引へと移行している。
ロシアとウクライナの停戦観測が急激に高まってきました。トランプ氏はロシアのプーチン大統領と1時間半にわたって電話会談を行い、停戦に向けた協議を行うことで合意しました。近いうちに双方がサウジアラビアで直接会談も行うようです。トランプ氏はプーチン氏との電話会談の内容をウクライナのゼレンスキー大統領にも伝え、同氏からは前向きな回答を得ているようですが、実際に停戦が実現するのにはまだハードルが高いと言えそうです。ウクライナは領土の一部を割譲しなければならない可能性が高く、ウクライナとすればその条件を飲めるのかどうか。さらにロシアからは「二度とウクライナへの侵攻はしない」という確約も欲しいところでしょう。ゼンレンスキー氏は、トランプ氏との電話会談で、「プーチン氏は信用できない」と述べていました。トランプ氏は「プーチン氏もゼレンスキー氏もお互いに、これ以上の流血は望んでいない」と話し、停戦実現の可能性に触れていましたが、これは当たり前のことで、ロシア側に有利な条件で話が進む可能性が高いのではないでしょうか。いずれにしても、3年にわたり双方が大きな犠牲を払った戦争が終わるのは大歓迎ですが、翻って、ではなぜバイデン氏にはできなかったのでしょうか。両氏とも軍事専門家など、多くの優秀なブレーンを抱えていたはずです。バイデン氏も在任中は、ロシアを厳しく非難し、ウクライナへは制限はあったものの、多くの武器を供与してきました。それでも、両国の戦争を止めることは出来ませんでした。結局、トランプ氏とバイデン氏の「行動力の差」ということになるのかもしれません。「トランプ流ディール」には賛同できませんが、もしこれで本当に戦争が終結するのであれば、これ以上尊い命が失われずに済むという意味では、敬意を表したいと思います。
今週のサポートライン 日足のMACDはデッドクロスへ転じるムードにある。モメンタムはゼロラインをかろうじて上回っているが、強気相場の勢いには陰りが見え始めている。この状況で今週の経済指標が米ドル安の要因となれば、ドル円はサポートラインとして意識されている156.00をトライすることが予想される。
政治的な不透明感も円安を加速させている。日本では27日投開票の衆議院選挙の結果次第で、政府と日銀のコミュニケーションが複雑になる可能性がある。トレーダーらは約2週間後に迫る米大統領選挙にも備えており、トランプ前大統領の勝利に賭ける向きが円売りを推し進めている。
来週以降は日銀に関する観測報道が見られるだろう。内容次第では突発的な円高の要因となる可能性がある。今週のドル円が155.00を下方ブレイクして終える場合、来週以降は短期サポートラインの維持が焦点に浮上する展開が予想される(日足チャート)。
ドル円が158円台へ上昇する場合は3つ目のレジスタンスラインであるフィボナッチ・エクステンション100%の水準158.20レベルの攻防となろう。このテクニカルラインをも完全に突破すれば、159円を視野に上昇幅の拡大を予想する。また、158円前後がサポートラインへ転換する場合も、159円をトライするサインと捉えたい。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)やみずほ証券、アセットマネジメントOneなどが160円を予想している。円は23日に153円19銭まで前の日から1.4%も下落し、7月末以来の安値を付けた。今月は対ドルで約6%下落しており、月間ベースで2022年4月以来の大幅安となる勢いだ。
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