シカゴIMM通貨先物ポジションの推移から為替市場の全体的な状況と投資マインドを読み解きます。
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
ドル/円
IMMポジション ドル/円
ポイント
【円ネットロング大幅に増加】
2月11日時点で円のポジションは、ドルに対して約5.5万枚の買い越し(ネットロング)。
ロングが大幅に積み増されたことから、ネットロングは前週から約3.6万枚増加した。
期間中のドル/円相場は、日本の12月毎月勤労統計の予想を大幅に上回る結果を受けて日銀の追加利上げ観測が高まったことなどを材料に、約2カ月ぶりとなる150.92円前後まで下落した。
日銀の追加利上げ観測のほかにも、トランプ関税への不透明感もあり、投機筋は円先高観をいっそう強めたようだ。
ユーロ/ドル
IMMポジション ユーロ/ドル
ポイント
【ユーロネットショート増加】
2月11日時点でユーロのポジションは、ドルに対して約6.4万枚の売り越し(ネットショート)。
ショートの積み増し度合いが大きかったことから、ネットショートは前週から約0.6万枚増加した。
期間中トランプ米大統領が相互関税を発表したが、欧州連合(EU)に対する関税が不透明なままで、ユーロへの影響が懸念される中、ユーロ/ドル相場は1.02ドル台後半まで下落した。
そうした中で、投機筋はユーロに対する先安観をやや強めたようだ。
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IMMポジション
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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大口投資家の動向は ドル円 日銀追加利上げ観測高まり
日銀は24日まで金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%程度に引き上げる追加の利上げを決定しました。24日の東京外国為替市場では、追加の利上げが公表されると、一時的に円売りドル買いが進む局面もありましたが、その後は、日銀が今後も利上げを続けるのではないかという見方から、一転して円を買ってドルを売る動きが強まり、円相場は1ドル=155円台まで値上がりしています。市場関係者は「日銀が公表した展望リポートの内容から、今後も利上げが続くのではないかという観測が浮上している。午後3時半からの日銀の植田総裁の会見で今後の利上げのペースについてどのような発言があるかに関心が高まっている」と話しています。
・ドル円が50日線を下方ブレイクする場合は、昨年9月16日の安値を基点としたフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準154.32の攻防に注目したい。このテクニカルラインの下方ブレイクは、154.00をトライするサインと捉えたい。
2025年のインフレ見通しは2.5%と9月時点の2.1%から上方修正された。ドル高に振れ、NY金は一段安となった。
24日の東京外国為替市場、日銀が金融政策決定会合で追加の利上げを決定したことを受けて、円を買ってドルを売る動きが進み、円相場は値上がりしています。
また、日銀の田村直樹審議委員が2月6日、「2025年度後半には少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価上振れリスクを抑え、物価安定の目標を持続的・安定的に達成するうえで必要」との考えを示し、市場で円買いの勢いが強まりました。ドル円は2月6日時点で200日移動平均線を下抜け(図表2)、日足の一目均衡表ではドル売りシグナルが点灯し、パラボリックではドル安・円高へのトレンド転換が示唆されています。
12月米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場予想通り0.25%の利下げを決定した。来年の政策金利見通しで、2025年の利下げ回数見通しが前回(9月)の4回から2回に引き下げられ、利下げペースの鈍化見通しが嫌気されて、米長期金利が上昇するとともにドル買いの動きが加速した。
・米ドル安と円高の進行でドル円が154.00をも下方ブレイクする場合は、昨年12月3日の安値を基点とした半値戻しの水準153.76レベルの攻防が焦点に浮上しよう。このテクニカルラインを今日の予想レンジ下限と想定したい。
ドル円のトレンドを左右する日米金利差の動きを確認すると、昨年12月の中旬以降は米金利の上昇幅が拡大しても抑制の傾向が続いていたことが分かる。そして直近は、2024年12月の米消費者物価コア指数(CPI)の鈍化がきっかけとなり、低下幅が拡大している(下のチャート、赤枠を参照)。米国株と比べて利回りの面で投資妙味が増している米国債の状況も考えるならば、米金利の上昇はひとまず収束する可能性がある。対照的に国内の金利は日銀の追加利上げ観測を意識した高止まり、またはさらに上昇することが予想される。
国内の債券市場では、日銀の利上げ姿勢が意識され金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りが15日と16日に、2008年10月以来となる0.7%へ上昇する局面が見られた。
一方、日銀金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%程度で据え置くことを決めた。
本邦当局による口先牽制を行っているが、過去の介入時の際の、200日移動平均線との乖離率を比べると、まだ過熱感は乏しい状況。年前半の円安局面は、「円キャリ-」主導の投機的な側面が強かったが、今回のCFTC建玉明細では、大口投機玉は円買いポジションとなっており、円売り余力のある状況。160円を明確に突破してくると、ドル円相場の位相が変わる可能性。
これら複数のテクニカル分析を踏まえると、ドル円は短期的にドル安・円高が進みやすい地合いにあると判断されます。仮に、ここから一段とドル安・円高が進んだ場合、2024年11月29日から12月9日までの期間で揉み合いとなった節目の1ドル=150円や、12月3日の取引時間中につけた148円65銭近辺が、ドルの安値(円の高値)として意識される可能性が高いと思われます。
目先の焦点は、日本時間2月7日午後10時30分に発表される1月米雇用統計と、8日未明の日米首脳会談です。雇用の減速が緩やかなペースにとどまり、日米首脳会談もネガティブ・サプライズなく総じて友好的な雰囲気で終われば、いったんドル高・円安方向の戻りも見込まれます。首脳会談では、米国側から対日関税引き上げなどの強硬姿勢や円安懸念が示されるリスクは小さいとみていますが、注意しておくべき点ではあります。
米金利の上昇一服(低下)と国内金利の上昇基調は、日米利回り格差の縮小を促すだろう。この動きはドル円の下落圧力を強めるだろう。ドル円の下落はクロス円の円高圧力を強めるだろう。ゆえに日銀会合前まで(今後1週間)は、投機的な円高を警戒する必要があろう。
円安ドル高が進んだことで、円建て金は、価格帯別出来高の厚い12500円水準が下値支持帯して意識されている。仮に、悪い円安が加速していった場合、円建て金を保有するメリットが大きくなる。
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