市場は意外と冷静?トランプ関税政策と経済指標|S&P500はそろろろ調整か(今週の米国株・FX見通し)田嶋智太郎氏 2025/2/17 #外為ドキッ

市場は意外と冷静?トランプ関税政策と経済指標|S&P500はそろろろ調整か(今週の米国株・FX見通し)田嶋智太郎氏 2025/2/17 #外為ドキッ
 

米国株式市場と外国為替市場の最新動向と分析
米国株式市場の最新動向を詳しく解説します。NYダウやS&P500の動き、経済指標の影響、主要企業の決算発表など、個人投資家が知っておくべき最新情報を提供します。また、ドル円をはじめとする外国為替市場の直近の振り返りと今後の見通しについても分析します。為替レートの変動要因や市場トレンドを理解し、投資判断に役立てましょう。個人投資家が注目すべきポイントを分かりやすくお伝えします。

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米主要3指数は高値更新後に一旦調整?

相互関税の導入に市場は比較的冷静

先週13日、トランプ米大統領が「相互関税」の導入を指示する覚書に署名した。トランプ政権はこれまでにカナダ、メキシコ、中国への追加関税や鉄鋼・アルミニウムへ製品に対する追加関税の全面適用を打ち出しているが、相互関税についてはその影響がより広範に及ぶ可能性がある。また、14日には自動車関税を導入する考えも示した。
とはいえ、市場はこれを比較的冷静に受け止めており、総じて「想定していたよりはずっとマシ」との感が広がっているように思われる。カナダとメキシコについては今後の両国による対応次第で再延期の可能性もあると見られ、鉄鋼・アルミニウム製品については「適用除外」の余地がある。相互関税についても今後、国ごとの調査と個別の交渉という過程を経るなかで、最終的な影響は想定より和らげられると見る向きも少なくない。

より穏やかな関税の採用に市場は期待

折しも、先週は1月の米消費者物価指数(CPI)と米生産者物価指数(PPI)の結果が強めに出たことで、インフレ再燃への警戒が強まり、米連邦準備理事会(FRB)による追加利下げが「年内は難しい」との見方も市場の一部で燻り始めていた。
ただ、このような状況にあってはトランプ氏も「より緩やかな関税措置を採用せざるを得なくなるのでは」、「関税と移民政策の双方においてやや穏健な措置に留めようとするのでは」との見方も市場に浮上し始めており、少なくとも過度な不安は薄らいできている。

米小売売上高の1月の落ち込みは想定内

実際、先週末にかけて米10年債利回りは4.5%割れの水準に低下しており、とりわけ13日の米株市場では米金利低下を好感して米主要3指数がともに大きく上昇。翌14日のNYダウ平均は反落となったものの、これはあくまで3連休前のポジション調整が主因と見られる。この日発表された1月の米小売売上高の結果がここ2年近くで最大の落ち込みとなったことで、それが投資家心理の重荷になった可能性もゼロではないが、1月は暴風雪や山火事の影響が小さくなかったことと、何より前月(12月)の数値が「トランプ関税を見越した駆け込み消費」によって嵩上げされたことに対する反動が生じた部分が大きかったと考えられる。つまり、ある程度の落ち込みは想定内であった。

米家計の余裕は徐々に蝕まれている?

ここでやや警戒を強めておきたいのは、一つに2月の米小売売上高が必ずしも大きく回復するとは限らないこと。12月に駆け込みで増加して1月に大きく減少したのは主に耐久消費財であり、そこで生じた“需要の先食い”の影響は今後も尾を引く可能性がある。むろん、米小売売上高の数値はインフレ調整されないことから、物価上昇を反映して回復したように見える可能性もあるが、そこは割り引いて考える必要がある。また、根強いインフレと高い借り入れコストが米家計の余裕を徐々に蝕んでいる可能性があることも否定はできない。実際、かなり以前から米家計債務の返済延滞率は上昇を続けている。

1月のPCE予想は大きく引き下げ

なお、先週末にかけて見られた米金利低下の背景には、今月28日に発表される1月の米個人消費支出(PCE)価格指数について、大手米金融機関が一斉にその予想を引き下げたことがあるとされる。どうやら、それは1月のPPIの結果において金融部門やヘルスケアサービス部門などが非常に弱い結果であったことが主因となったようで、発表後に配信された各種のレポートにおいても、その多くが「ヘッドラインの数値だけを見るとインフレ懸念が強まりそうだが、PCE価格指数を構成する項目は総じて抑制的だったことから、全体としてはインフレ再燃懸念を和らげる内容だった」と評していた。

3指数には一段の上値余地も、そろそろ調整安のタイミング?

つまるところ、足元でインフレ再燃への警戒が一頃よりも緩んできていることにより、当面の米株価が一段の上値を試しに行く可能性も十分にある。ことに、S&P500種は先週末にかけて史上最高値に顔合わせする動きを見せており、再び最高値を更新してくると次に6150-60ポイントあたりの水準が視野に入ってきてもおかしくない。
ただ、そのためにはNYダウ平均とナスダック総合指数も、ともに昨年12月に付けた史上最高値を更新する動きとなってくることが必要となろう。また、3指数はともに高値更新後あるいはそれ以前に調整安の局面を迎える可能性もあると思われる。そのタイミングはそろそろ近づいているかもしれず、その点は要警戒と心得たい。

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yoshizaki.jpg田嶋智太郎氏
経済アナリスト 慶應義塾大学を卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、経済アナリストに転身。現場体験と綿密な取材活動をもとに、金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産掲載まで幅広い範囲を分析・研究。 WEBサイトで経済・経営のコラム執筆を担当し、株式・外為・商品などの投資ストラテジストとしても高い評価を得ている。 また、「上昇する米国経済に乗って儲ける法」など書籍も手掛けるほか、日経CNBCレギュラーコメンテーターも務める。

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市場は意外と冷静トランプ関税政策と経済指標500はそろろろ調整か 今週の米国株 FX見通し

少なくとも、米国株をはじめ、株式市場全体が上昇していくには、米金利が再び下落していく必要があります。

「米国の経済指標などの景況感を手掛かりに金融政策への思惑が働き、金利が動いて、株式市場が反応する」というのが、目先の基本的な相場の見方となり、まずは、10日(金)に控える米雇用統計(12月分)の結果が注目されます。

今週の戦略は、ドル買いは151.30-40で押し目買い。損切りは、150.80で撤退です。売りは153.20-30の戻り待ちとします。損切りは154.10で一旦撤退です。

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しかし中国の場合には自国の型式証明を取得できれば、巨大な国内市場があるためにFAAとEASAの型式証明を取得していなくてもビジネスとして十分に成立するとされている。また、C919は当初、自国の型式証明だけを目指すとされていたが、現在はEASAの型式証明の取得も視野に入れていると見られている。

米韓は合同軍事演習実施へ(C)AP 兜町に不穏な空気が流れている。日経平均は27日まで3日続伸し、一時は2万2500円台を回復。好調にみえるが、市場関係者からは「嫌なムード」という声が聞こえてくるのだ。「平昌五輪が終わったことで、米国と北朝鮮の対立が再びクローズアップされ始めました。平昌パラリンピックが終了する3月18日までは、軍事衝突のようなことは起きないでしょうが、株式市場はすでにパラリンピック後を見据えて動きだしています。いわゆる“戦争銘柄”の株価上昇が顕著になってきました」(市場関係者) 市場で戦争銘柄と呼ばれることの多い銘柄を対象に、今週26、27日の高値と、平昌五輪が開幕した2月9日(終値)を比較してみた。 照明弾を扱う細谷火工(ジャスダック)は、26日に一時1614円の高値をつけた。上昇率は30.2%に達する。同じく小銃の製造で知られる豊和工業(東証1部)は16.4%、防毒マスクの重松製作所(ジャスダック)は13.9%、機雷の石川製作所(東証1部)は12.7%の上昇率となっている。「パラリンピックが終わったあと、米朝の偶発的な軍事衝突はあり得る。市場は、そう感じているのかもしれません。だから、有事関連が動きだしているのでしょう」(株式アナリストの黒岩泰氏) 情報装置関連の日本アビオニクス(東証2部)は11.6%、砲身を手掛ける日本製鋼所(東証1部)は11.4%、潜水艦ソナーのOKI(東証1部)は6.4%の上昇率を記録している。同じ条件で比較した日経平均の上昇率は5.2%にすぎないから、戦争銘柄は確かに過熱気味だ(別表参照)。 国内の大手証券も、27日発行のリポートで防衛関連を取り上げた。「顧客向けの投資情報リポートで触れたのです。有事を想定した投資行動が賢明だということでしょう」(証券アナリスト) 米国防総省の報道官は26日に、平昌パラ閉幕後に、米韓合同軍事演習を実施する方針だと強調した。詳しい日程は未定だが、市場が有事モードで動きだしたのは間違いない。

従って、米国株市場が調整局面入りを避けるには、今後の米景況感が適度に弱くなり、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ期待が高まること、そして、トランプ次期政権が事前の警戒感を上回らない無難なスタートとなることなど、その条件を満たせるのは不透明なため、「株価調整を迎える」ことを前提に相場に臨むぐらいの方がちょうどいいのかもしれません。

18年度の予算案が今晩、通過する見込みです。自公は審議時間さえ確保すれば、数をもつので法案を通すことが可能です。厚労省のデータねつ造も「精査、精査」と言って時間稼ぎをしていれば、後は委員長権限で通せるのです。岸田政調会長が「予算を通すことが最大の景気対策」と述べ、これは安倍政権になってからの常套句のようになっています。それを「最大の…」と言ってしまうぐらい、他の景気対策が何もない、ということのこれは裏返しなのでしょう。与野党が納得できる予算案をつくれば誰も文句はいいません。米国でパウエルFRB議長の議会証言が行われました。市場は嫌気した、というより期待値で上昇してきたので、材料出尽くしで一服です。証言でボルカールールの見直しに言及した点はハト、また景気は数年よい見通し、金融安定リスクはない、などかなりのリップサービスもありました。12月以降、景気見通しが強まった、など金融引き締めを示唆する文言もありますが、全体的には経済学者の理論に立脚した説明がなく、平易な言葉で語ったため、議会フレンドリーとみられたこともあり、無難にのりきったという印象です。しかし逆にいえば理論武装がなく、経済が混乱したときの舵取りには不安を残す。言葉は悪いですが、安寧な世のお飾りトップであれば打ってつけ。分かり易さとは、市場を一方通行にしてしまう危険もあるのです。分かり易くて誰もが理解してしまうからこそ、の弱点をこれからFRB理事に選任された経済学者のグッドフレンド氏が補完する形になるのでしょうが、バーナンキ元FRB議長以来、市場フレンドリーが求められるFRB議長、あまりにフレンドリー過ぎても、今後の運営を難しくする部分があるのでしょう。米株は急落前の水準、と語られることもありますが、これには著名投資家バフェット氏が個人投資家に送ったリポートも寄与しています。投資を推奨し、むしろ積極的になれ、と言わんばかりの煽りもあり、急落して下がった局面を買い場とみせた。ただ一方で、証券担保ローンの拡大など、ネガティブな面も目立つ。お金を借りて投資する、それが通用する局面が後どれぐらいつづくか? ここからその継続度合いが試されます。パウエル氏は4年で「バランスシートを正常化」と語り、この部分はタカです。金利正常化と同時に行うのですから、2兆$程度を市場から吸い上げながら、利上げも行う。正直、これが成功するとは到底思えません。恐らくトランプ政権でバラマキを続ける間、また自身の任期中に、ということなのでしょうが、パウエル氏のこの賭けが、今後の市場の見通しを大きく変えるかもしれません。日本の場合、黒田氏の続投で緩和継続、との見立てです。しかしすでに金融機関の中には厳しく見積もると、自己資本比率が4%の下限を下回る金融機関がでてきた、というように弱体化した金融が、日本経済の重しともなりそうです。パウエル手腕に怯えるのは、日銀もしれない。今年はECB監視を強めるよう、日銀の金融政策決定会合の日程も組まれていますが、来月の21日、最初のFOMCで何が起こるか? フレンドリーどころか、不況ドリーが鳴き始めることも考えに入れておかないといけないのかもしれませんね。

米国株を取引する際に知っておきたい情報はこちら。米国株式市場に影響を与えるニュースからトレンド分析まで、IG証券のマーケットアナリストが解説します。

日銀・黒田総裁(C)日刊ゲンダイ ほとんどの銀行の経営が今、本当に四苦八苦している。メガバンクでさえ大変で、業界トップの三菱東京UFJもグループ全体で1万人規模の人員削減に乗り出した。 地方銀行に目を向ければ、もっと悲惨だ。減益決算ラッシュに、のたうち回っている状態である。中には顧客の資金を預かることすら苦しい、というところまで追い込まれた地銀も出てきた。貸出先も運用先も見つからず、「利ざや」が縮小。運用利回りが調達利回りを下回る「逆ざや」に転落する地銀もじわじわと増えているのだ。 メガバンクは海外展開に活路を見いだすしかなく、国内は大リストラ。地銀はメタメタで、日本の金融機関は瀕死の寸前なのである。 厳しい経営の原因は言うまでもなく、日銀の超低金利政策である。禁じ手のマイナス金利政策まで導入し、銀行の収益を圧迫し、現場で働く人々を苦しめている。 異次元レベルの超低金利政策で、金融機関を苦境に追い込んだ直接の責任者は黒田東彦総裁だ。その張本人が何ら責任を負わず、再任されて次の総裁も任されるというのだが、異次元緩和の落とし前をどう付けるつもりなのか。何を考え、何をやろうとしているのか、サッパリ見えてこない。 中央銀行は自国の金融秩序を守り、通貨価値をしっかり安定させ、維持するのが、唯一にして最大の仕事だ。その役割を果たすためには、中立性と独立性を確保しなければいけない。時の政権と直接のつながりを持ち、行政支援の政策に打って出るなど、もってのほかなのである。 ところが、この5年の任期中に黒田総裁は安倍政権にひたすら追従し、市場価格を度外視して国債を買いまくり、強引に金利を引き下げ、円の価値を切り下げてきた。やってきたことは、今の政権に貢献することだけ。それが唯一にして最大の仕事になっている。 中央銀行に求められる姿とはアベコベの「アベ尽くし」。こんな情けない状態から、どう抜け出して金融政策を健全化させるのか。その出口戦略こそが中央銀行として大きな課題なのだが、黒田総裁はその明確な道筋を示さないし、示そうともしない。こんな人物に日銀総裁をもう1期務めさせるのは許しがたい。 このまま、異常な超低金利政策を続ければ、日本の金融機関は総崩れとなる。辛うじてメガバンクが生き残れたとしても、地方銀行や中小の信用金庫、信用組合などは壊滅しても、おかしくない。もちろん、地域の金融インフラを奪われたら、地方経済は火の車だ。 この国の金融システムの崩壊によって、リーマン・ショックの日本版が噴き出す危険性は、黒田続投で日増しに高まっている。高橋乗宣 エコノミスト1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。

今週はGoogleを傘下に持つアルファベット(GOOGL)とアマゾン(AMZN)が決算を発表する。焦点はやはり業績の見通し(ガイダンス)となろう。中国の新興AI企業ディープシークの登場で、米ハイテク株の割高感が意識されやすい状況にある。この点を象徴したのが、先週のマイクロソフトの下落である。アルファベットとアマゾンが現在の株価水準を投資家に納得させるだけの力強い成長見通しを示すことができなければ、米ハイテク株売りの圧力が高まる可能性があろう。

2月28日、アナリストの間では円高を予想する声が増えているが、投機筋はまだ耳を傾けていないようだ。BNPパリバは「円の年」を予想。モルガン・スタンレーも「円昇る国」と表現。シティは最新リポートで「今後も『ドルを売れ』と叫んでいく」とドルに弱気の姿勢を示した。写真は昨年6月撮影(2018年 ロイター/Thomas White)[シドニー 28日 ロイター] - アナリストの間では円高を予想する声が増えているが、投機筋はまだ耳を傾けていないようだ。BNPパリバは「円の年」を予想。モルガン・スタンレーも「円昇る国」と表現。シティは最新リポートで「今後も『ドルを売れ』と叫んでいく」とドルに弱気の姿勢を示した。 円高予想の背景には、米国の赤字拡大と金融市場のボラティリティー上昇で安全通貨とされる円の魅力が高まるとの見方がある。 日本経済は改善傾向にあり、経常収支も大幅な黒字。日銀が金融政策を通じて円高を阻止するのは難しいのではないかとの思惑も浮上している。 BNPパリバ・アセット・マネジメントの為替担当デュプティーヘッド、Momtchil Pojarliev氏は「円は簡単にG10通貨で上昇率トップになれる」と指摘。「日銀は当面ハト派姿勢を維持するだろうが、これは次の政策変更ではタカ派にしかなれないことを意味する。また、円は世界的にも最も割安な通貨の1つだ。第3に、金融市場では再び先行き不透明感が強まっており、これが円買い材料になる」と述べた。■投機筋の円先物ポジション ただ、投機筋はこうしたアナリストの声に耳を傾けていないようだ。円相場は、昨年後半の1ドル=114.5円から今年2月には105.5円まで値上がりしているが、投機筋の円先物ポジションは大幅な売り越しとなっている。 円のショートポジションは、過去1年の平均を依然として40%前後上回っており、昨年半ばの水準付近にある。 アナリストの予想が正しければ、大規模な円の買い戻しが起き、1ドル=100円を超えて円高が進行する可能性もある。 こうした円の買い戻しは、2016年初めに起きている。この時は、円のポジションが一気にショートからロングに傾き、1ドル=120.00円から一時99.00まで円高が進んだ。 アナリストの間で円の先高観が強まっているにもかかわらず、現在の円のショートポジションは、2016年の水準を大幅に上回っている。 モルガン・スタンレーのアナリスト、Hans Redekar氏は「こうした不協和音はいずれ解消されるだろう」と予想。米国の双子の赤字を背景にいずれドル売りが膨らむとの見方を示した。 同氏は「1960年代半ばにも、似たような状況に陥っている。米国は当時、労働市場の引き締まり、活発な民間投資、対外不均衡の拡大にもかかわらず積極財政を追求した。その結果が、ブレトン・ウッズ体制の崩壊だ。現在は固定相場制ではないため、ドル安の進行につながる」との見方を示した。■日銀の金融政策 ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のアナリストなど、多くのアナリストは、数ヵ月後の円相場を1ドル=100─105円前後と予想している。 日銀の黒田東彦総裁は、金融緩和を継続する姿勢を示しているが、日銀が新たな政策を導入するたびに、為替市場への影響力は低下している。 たとえば、2012年末に安部政権が誕生すると、大胆な金融緩和への期待から円は8ヵ月連続で下落した。 2014年には日銀が追加金融緩和を発表。これを受け再び円安が進行し、2015年半ばには12年半ぶりの円安水準を記録した。 だが、日銀が2016年9月にイールドカーブ・コントロール(YCC)政策を導入した際には、大幅な円安の進行は見られなかった。 今月は、黒田総裁の続投と新副総裁2人の人事案が提示されたが、追加緩和の導入を疑問視する見方は根強く、事実上、市場の反応は限定的だった。

実際、先週末にかけて米10年債利回りは4.5%割れの水準に低下しており、とりわけ13日の米株市場では米金利低下を好感して米主要3指数がともに大きく上昇。翌14日のNYダウ平均は反落となったものの、これはあくまで3連休前のポジション調整が主因と見られる。この日発表された1月の米小売売上高の結果がここ2年近くで最大の落ち込みとなったことで、それが投資家心理の重荷になった可能性もゼロではないが、1月は暴風雪や山火事の影響が小さくなかったことと、何より前月(12月)の数値が「トランプ関税を見越した駆け込み消費」によって嵩上げされたことに対する反動が生じた部分が大きかったと考えられる。つまり、ある程度の落ち込みは想定内であった。

今週から来週にかけては経済指標にも注目したい。2024年12月の個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は、前年同月比のコア指数を除き、昨年11月から上昇した。パウエルFRBが重視する物価指数でインフレの粘着性が確認された状況で今週7日の1月雇用統計、そして来週の同月消費者物価指数(CPI)がともに市場の予想を上回る場合は、インフレ懸念の高まりによる長期金利の上昇を警戒したい。「2月のアノマリー」と金利上昇のリスクが重なれば、最高値圏にあるS&P500には調整売りの圧力が高まることが予想される。

関税の報復合戦は、インフレ再燃の懸念を各市場で高めるだろう。なかでも米債市場の反応に注目したい。米国株のトレンドに影響を与える10年債利回り(長期金利)は、トランプ関税の影響によるインフレ再燃の可能性をある程度織り込み、先月の中旬に4.8%付近まで上昇した後、現在4.5%台で小動きの状況にある。しかし、この織り込み度合いの甘さが露呈する場合、米長期金利には再び上昇の圧力が高まることが予想される。

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