農林中金19兆円赤字 理事長辞任
日本有数の機関投資家である農林中央金庫はこの数年間、外国債券の運用に失敗し、一時、およそ2兆円という巨額の含み損を抱えました。
外国債券の運用に失敗し、今年度1兆9000億円の最終赤字になる見通しの農林中央金庫は、奥理事長が来月末で引責辞任すると発表しました。
経営の執行を担う理事会に外部の有識者を非常勤の外部理事として参加できるよう検討する。外部理事を実現するためには、農林中央金庫法の改正が必要のため、それまでの間は同委員会に専門性を有する外部見識者の招へいを検討する。
同日会見した奥理事長は、巨額赤字の「責任を明確化する」とした上で、役員体制の若返りを図ることで、再起につなげる考えを示した。巨額損失を招いた背景については、「高いパフォーマンスを上げてきたという一つの成功体験があり、どこかのタイミングでは金利が下がるだろうという正常性バイアスが強かった」として適切な判断が遅れたと振り返った。
農林中央金庫は20日、今期(2025年3月期)の連結純損益が1兆9000億円程度の赤字(前期は636億円の黒字)に陥る見通しだと発表した。収益性の悪化した外国債券の売却を進める。従来は最大で2兆円規模の損失を見込んでいた。
巨額損失を受けて奥和登理事長が3月末で引責辞任し、北林太郎最高財務責任者(CFO)が昇格する人事も発表した。農林中金の純損益が赤字に陥るのは、リーマン・ショックの影響を受けて5721億円の損失を計上した09年3月期以来、16年ぶりとなる。
農林中金はその影響で、今年度の最終損益がおよそ1兆9000億円の赤字になると明らかにしたうえで、経営責任をとって、奥理事長が来月末で辞任すると発表しました。
農林中金は20日、2025年3月期連結決算の純損益が1兆9千億円程度の赤字になると発表した。含み損を抱える外国債券などの処理を進めるためで、奥和登理事長(65)が3月31日付で辞任することも明らかにした。巨額赤字の責任を取る形だ。後任には北林太郎常務執行役員(54)が就く。就任は4月1日付。
農林中央金庫 奥和登 理事長「新しい年度を迎えるこのタイミングで赤字の責任を明確化して、後任にたすきを渡したかった」
農林中金では米金利の上昇などにより、外貨調達コストが外国債券の運用収益を圧迫する中、含み損を抱えた外債の売却を進めたことから損失が膨らんだ。新理事長に就く北林氏は、債券中心だった投資ポートフォリオの多様化や外部人材の登用など運用改革を迫られることになる。
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