(写真=iStock)
AI技術の進化が半導体市場の成長を促進しています。その中でもNVIDIA(エヌビディア)は、AIやデータセンター向けの需要増加が追い風となり、半導体業界の先頭を走り続けているフロントランナーです。ここ数年、半導体不足や米中関係の悪化などで、半導体関連企業の経営環境は大きく変化しています。しかし、それでもNVIDIA(エヌビディア)は、相変わらず高い技術力、競争力を維持しており、多くの投資家から注目を集めています。
NVIDIA(エヌビディア)は米NASDAQ(ナスダック)市場に上場しています。NVIDIA(エヌビディア)に投資する方法のひとつに「CFD(差金決済取引)」があります。CFDを使えば、「買い」ポジションだけの現物投資と違い、上下に変動する株価をいかした柔軟な取引ができます。また、レバレッジを利用することで、少額資金でも効率的な投資が可能になります。今回はNVIDIA(エヌビディア)急成長の背景や、半導体市場の現状を整理しながら、株CFDを使ったNVIDIA(エヌビディア)への投資戦略について解説していきます。
NVIDIAが半導体業界をリードする理由
どうしてNVIDIA(エヌビディア)は半導体業界の先頭を走るフロントランナーになれたのでしょうか。
・ゲームが普及させたGPU
NVIDIA(エヌビディア)は、GPU(Graphics Processing Unit)という高性能な半導体を開発・製造・販売している企業です。GPUは、もともとゲームや映像処理を美しく滑らかにするために開発された技術でしたが、近年では、AI(人工知能)やデータセンターといった分野で、その能力が注目されています。特に、AI技術の発展やクラウドサービスの普及に伴い、NVIDIA(エヌビディア)のGPUは、欠かせない存在となり、その成長を加速させています。つまり、GPUの需要がゲームからAI、そしてデータセンターへと、どんどん拡大しているのです。
・AI時代を支えるGPUの重要性
なぜ高性能なGPUがAI技術で必要になるのでしょうか。AI技術の中でも、特に「ディープラーニング」という機械学習の手法では、大量のデータを高速で処理する必要があります。GPUは、CPU(Central Processing Unit)と比べると、「並列計算処理」に優れており、複雑な計算を同時に、効率的に行うことができます。NVIDIA(エヌビディア)のGPUは、AIの学習や推論処理に最適化されており、世界中の企業や研究機関で採用されています。
さらに、NVIDIA(エヌビディア)は「CUDA」という独自のソフトウェア開発環境を提供しています。CUDAは、GPUを使ったAI開発を効率的に行うためのツールや、ライブラリを含んでおり、多くの開発者に利用されています。このような強力なプラットフォームの存在も、NVIDIA(エヌビディア)がAI向けGPU市場で、圧倒的なシェアを誇る理由のひとつです。
・クラウド時代のデータセンターを支えるNVIDIA
近年、クラウドサービスの利用が拡大し、それを支えるデータセンターの重要性が増しています。Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)といった大手IT企業は、大規模なデータセンターを運営して、AIの計算処理やビッグデータ分析などを行っています。NVIDIA(エヌビディア)の高性能GPUは、これらのデータセンターに構築された、高速な処理能力が求められるシステムに、不可欠な存在なのです。
このようにデータセンター向けGPUの需要増加が、NVIDIAの売上を大きく成長させています。従来のPC向けGPUのみならず、データセンター事業が新たな収益源として急成長しており、NVIDIA(エヌビディア)がビジネスを多角化する上で、重要な役割を果たしています。
ビットコインマイニングとNVIDIA
NVIDIA(エヌビディア)は、トランプ政権による大幅な規制緩和で拡大が見込まれている暗号資産市場とも無関係ではありません。NVIDIA(エヌビディア)のGPUは、かつて「ビットコインマイニング(暗号資産の取引処理と新規コイン発行)」の分野で、高い需要を誇っていました。ビットコインは、「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」という仕組みを採用しており、マイニングには大量の計算処理が必要になります。GPUはCPUと比較して「並列計算処理」に優れており、この処理に適しているNVIDIA(エヌビディア)のGPUは、多くのマイナー(暗号資産業者)たちに利用されてきました。
近年は、ビットコインのマイニング難易度が上昇して、専用機器(ASIC)が主流となっており、GPUの利用は減少傾向にあるのですが、それでも、他の暗号資産のマイニングや、ブロックチェーン技術を活用した新分野で、NVIDIAのGPUは引き続き利用されています。
第二次トランプ政権がNVIDIAに与える影響
NVIDIA(エヌビディア)に投資する上で注意すべきことは、米中間の貿易摩擦です。これが半導体市場に大きな影響を及ぼしています。特にトランプ大統領の再選により、国家安全保障上の観点から、米国政府内で中国への半導体技術の輸出を厳しく制限しようとする動きが生まれています。これにより、NVIDIA(エヌビディア)のような半導体企業は、販売市場の縮小、サプライチェーン(供給網)の見直しを余儀なくされる可能性があります。中国はNVIDIA(エヌビディア)にとって、重要な販売市場のひとつであることから、規制強化が売上高に悪影響を及ぼす可能性があります。
投資家は、NVIDIA(エヌビディア)のような企業に投資する場合、これまでの業績から、その成長を長期的に見据えるだけでなく、世界情勢の動向や政権交代による政策や法規制の変更にも注視する必要があります。政府による規制強化は、投資において短期的なリスクになるかもしれません。しかしその一方で、企業による技術革新や新市場の開拓が、今後の成長を支える大きな要因となるでしょう。
投資家が決算で確認すべきポイント
さて、企業の決算発表は投資において、重要な指標となります。NVIDIA(エヌビディア)に投資している人たちは、決算発表の前後で、以下のポイントを確認し、株価動向を予測することが求められています。
これらの注目点をチェックすべき内容に沿って確認し、決算前後の株価動向が予測できるようになると、CFD取引において適切な投資戦略を立てることができます。
まとめ
今回取り上げたNVIDIA(エヌビディア)は、AI技術の進化を背景とする半導体市場拡大の中で高成長を続けています。CFD取引を活用すれば、株価の変動を利用して、短期的な利益を狙うことが可能になります。その際に半導体市場のトレンドやNVIDIA(エヌビディア)の決算発表の内容を、しっかりと分析することが成功のカギを握っています。
決算前後に売上成長率や新製品の販売動向、CEOをはじめとする経営陣の発言内容を確認し、企業の業績と株式市場の予想の差異を分析しながら、適切な投資戦略を立てましょう。変化のスピードが速い半導体業界。企業の株価は大きく変化する可能性が高く、冷静な判断とリスク管理が、CFD取引で利益を上げるために不可欠になります。
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株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。
AIで大注目の半導体市場 エヌビディア NVIDIA
FuriosaAIはSamsung、ASUS、SK Hynixなどの大手企業と提携し、AIチップの量産を進めています。
「H100」と「MI300X」のどちらが優秀か、メーカー同士が比較しても正しい結果を得ることは難しいと思われます。「MI300X」搭載AIサーバーが市場に出回る2024年前半になって、中立的な立場の技術系メディアやITコンサルティング会社が同じ条件のセッティングで複数の大規模言語モデルを動かすベンチマークテストを行うのを待つしかありません。
Hailoが開発したAI半導体Hailo-8は、AI処理を効率的かつ効果的にエッジデバイスで実行できます。最大26TOPSの演算能力を持ち、高性能かつ低消費電力を実現しています。Hailo-15は、AI推論機能と高度なコンピュータビジョンエンジンを組み合わせ、優れた画質で動画処理と解析を行います。
同社は、マーケティングを含め、言葉遊びや象徴主義を重視しているとされます。羨望とビジョンは、神話において密接な関係を持ち、両者は「目」をシンボルにしています。「目」のデザインがNVIDIAのロゴマークに採用されている理由はそこにあります。「すべてを見通す神の目」という意味にくわえ、NVIDIAの「目」は、常に革新と未来を探し求め、誰もが「羨望」するような比類なき視覚体験を創造するグラフィックス会社になるという決意を表明しているのです。
社名の「NVIDIA」(エヌビディア)にはどのような由来があるのでしょうか。英語の発音は「エンビディア」「インビディア」に近い感じ。ラテン語で「羨望」(envy、せんぼう)を意味する「invidia」(インビディア)と、同社が早くからファイルラベルに使用していた頭文字の「NV」(next vision、「次のビジョン」)の2つを組み合わせたものだとされます。また、その響きが「ビデオ」(video)に似ていることも理由のひとつのようです。
Rebellionsが開発したAI半導体は、特に生成AIの推論に特化しており、NVIDIAのGPUと比較しても優れた性能を持っています。Rebellionsの金融機関向けの第1世代半導体、データセンター向けの第2世代半導体は既に実用化されています。
ラピダス社長が語るAI半導体市場、「エヌビディア1強崩壊」の根拠と「新たな有力顧客」とは?
■そんなグーグルが、本気の反撃を見せています。リストラによるコストカットと同時に研究開発をAIに傾斜させるとともに、大規模言語モデルの「バード」のサービス名を「ジェミニ」に刷新し、検索エンジンやアンドロイドのアプリとの連動もスタートさせました。更に、速度が速く解答の正確性も改善された「ジェミニ2.0フラッシュ」を開発し、大規模言語モデルの覇権をチャットGPTから取り返すべく反転攻勢に出ています。
「ChatGPT」(チャットジーピーティー)とは、米OpenAI(オープンAI)社によって開発された「人間との対話に近い自然な文章を生成してくれるAI(人工知能)チャットサービス」です。GPTとは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、「事前学習をした、生成する変換器」という意味。よりわかりやすくいえば、「事前に学習されたデータをもとに文章を生成するシステム」。その機能は自然なテキスト生成に留まらず、翻訳、文章の要約、プログラミングコードの生成など多岐にわたり、2022年11月の公開時には、世界に衝撃をもたらしました。
「ファブレス」とは、製造のための自社工場を持たないメーカーのこと。「fabless」は「工場」(fab: fabrication facility)がない(less)という意味。「ファウンドリ」(foundry:鋳造所、半導体製造工場)とは、NVIDIAのような他企業からの委託を受けて製品の生産を専門とするメーカー。
一部の新興半導体メーカーは、GPU以外のAI向け半導体アーキテクチャを模索している。米グーグルの独自の「テンソル・プロセシング・ユニット(TPU)」やAI処理専用チップ(ASIC)といった新たなアーキテクチャは、汎用性に欠けるきらいはあるものの、トランジスタ利用率や性能で強みを発揮する。2024年に入ってから、中国では新たなアーキテクチャを手がける半導体企業の創業が相次いでいる。最近では、上海市政府がこうした新興企業2社を秘密裏に支援したとの情報もある。
DeepXが開発するAI半導体DM-M1は、高性能でありながら省電力を実現し、エッジデバイスでの効率的なAI推論を可能にします。DeepXは、同社のAI半導体がエヌビディアの製品の10倍から20倍の電力効率を持つと主張しています。
Sapeonは、韓国のSKグループ(SKテレコム、SKスクエア、SKハイニックス)から分社化された企業で、AI半導体の開発に特化しています。SapeonのAI半導体はデータセンター向けのAI推論に特化しています。
新型コロナ感染拡大の影響で、ビデオゲーム人口が拡大。さらには、世界の若者たちの間での「eスポーツ」人気の爆発。こうした要因が、NVIDIAの好業績をさらに後押ししていきました。
今後、生成AI用半導体分野でインテルやAMDとの争いは必至で、さらにオープンソースの代替えチップアーキテクチャへの関心が高まっていること、アームの設計をカスタマイズして利用する企業が増えてくることなども考えると、エヌビディアと業界の動きから目が離せません。
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