億ション 高級物件が地方に増加
直近10年間(2014年~2023年)に新規分譲された億ション物件のうち、1物件あたりの平均価格が1億円を超える新築マンションを対象にランキングにしてみると、中部圏の第1位は平均価格が16,418万円の「ヴィークハウス白壁」(名古屋市東区)であった。2023年に新規分譲された億ションは登場しておらず、直近のものでは2022年に分譲された「グランドメゾン The 池下向陽町」(名古屋市千種区)が第2位、「グランドメゾン The 覚王山向陽町」(名古屋市千種区)が第5位にそれぞれランクインしている。上位にランクインした物件の所在地はいずれも高級住宅地がある名古屋市の千種区や東区となっており、物件スペックは総じて小規模&低層タイプの高級レジデンスが並んでいる。また、平均専有面積については概ね100㎡前後の水準となっている。なお、歴代の平均価格ランキングを見てみると、第1位は「主税庵」(名古屋市東区)の40,506万円で、首都圏や近畿圏とは異なり直近10年間に新規分譲されたものが5物件ランクインしている。
全国で販売価格が1億円を超える分譲マンションが増えている。これまでは大都市圏中心だったが、富裕層や高収入の共働き世帯による需要拡大を受け、地方にも「ローカル億ション」と呼ばれる高級物件が続々と登場。...
全国で販売価格が1億円を超える分譲マンションが増えている。これまでは大都市圏中心だったが、富裕層や高収入の共働き世帯による需要拡大を受け、地方にも「ローカル億ション」と呼ばれる高級物件が続々と登場。不動産業界の関係者は「とりわけ歴史地区や景観の良い場所のマンションが人気だ」と話す。
中部圏における新築億ション住戸の供給動向を見てみると、2014年~2019年にかけては年間で50戸に達しないことも多かったが、2020年には69戸と5年ぶりに50戸を超え、翌2021年には132戸とほぼ倍増した。2022年には増加傾向も一服していたが、2023年には再び50戸を超えてきている。中部圏全体でのシェアの大半は愛知県で占められており、愛知県以外で新築億ション住戸が分譲されることはごく稀なケースで、岐阜県や三重県に至っては直近10年間において分譲実績が確認できたのはそれぞれ1年のみであった。中部圏全体のデータに大きな影響を与える愛知県の供給戸数を見てみると、バブル期の真っ只中だった1990年に記録した88戸をピークにその後は長い間下回ってきたが、2021年には名古屋市中心部に立地する大規模タワー物件の高層階から高額住戸が数多く販売された影響もあり、初めて100戸の大台に達して最高値を大幅に更新する結果となった。物件の好立地化&ハイスペック化が進むにつれて坪単価は450万円を上回る状況が続いている。一方、平均専有面積は緩やかに縮小しつつあるが100㎡の大台は維持している。
全体の発売戸数に占める1億円以上のマンションのシェアは図表1の折れ線グラフにあるように、月によって10%を超えることもある。2021年4月、8月、2022年2月には15%前後まで増えている。立地先としては東京23区が中心なので、2022年4月と8月には、東京23区の平均価格が1億円を超えたほどであり、大げさにいえば、億ションもごく普通に市場に受け入れられている。
また、首都圏の歴代の平均価格ランキングを見ますと、上位30位まではバブル期に分譲された物件が独占し、1位は「有栖川ヒルズ(港区)」の21億315万円(坪単価は2947万円、平均専有面積は235.92m2)。「バブル期に分譲された億ションは、専有面積が200m2を超える広さと、坪単価の高さから総額で二桁億ションとなっている」(東京カンテイ)とし、直近10年間の新規供給状況と様相が異なる点を指摘しています。
ひと昔前まで億ションとしてあがめられたグレードが高いマンションは、いまでは2億円以上でないと手に入らなくなりつつあるというわけだ。
物件数は東京都や大阪府、神奈川、愛知、兵庫各県といった大都市圏に集中しているが、福島、茨城、島根、鹿児島各県でも億ションが販売されるなど、地域的な広がりが近年目立つ。
当記事は株式会社東京カンテイ「新築億ションの供給動向 2023(2024年10月31日配信)」の情報を元に掲載しております。 当記事に掲載されている文書の著作権は、出典元である東京カンテイに帰属します。 掲載されている文書の全部または一部を無断で複写・複製・転記等することを禁止します。 また、当記事への直接リンクは固くお断りいたします。
九州や北海道などの遠隔地では、同じ理屈で空港までの距離が指標となる。近年の億ション分譲はこうした地域に集中しているのが実情だと井出氏は語る。
むしろ注目していただきたいのは、東京23区の新築マンション価格が平均で1億円を超えた2021年4月と8月には、億ションの契約率が80%を超えている点。1億円以上のマンションのほうが一般的なマンションより売れているわけだ。
そこまでいかなくても、億ションはこのところ新築マンション市場で着実に増えている。図表1は、首都圏の1億円以上の新築マンションの分譲戸数と、首都圏全体に占めるシェアを示している。
近畿圏における新築億ション住戸の供給動向を見てみると、2016年~2020年にかけては200戸以上の規模でコンスタントに推移していたが、2021年を境に大阪府のみならず兵庫県や京都府においても供給戸数が大幅に増加するケースが出始めており、このことが圏域全体での供給規模の拡大につながったと考えられる。大阪府が占める億ション住戸のシェアは2016年に50%を突破、その後も概ね拡大傾向で推移して2022年には74.5%に達していた。翌2023年には58.5%まで縮小したが、依然として過半数を維持している。近畿圏全体のデータに大きな影響を与える大阪府の供給戸数を見てみると、バブル期の真っ只中だった1990年に記録した526戸をピークにその後は長い間下回ってきたが、大阪市中心部で大規模タワー物件の開発が盛んに行われる中で高層階のプレミアム住戸が億ションとして販売されるケースが増加、2022年にはバブル期に次ぐ高水準を記録することとなった。物件の好立地化&ハイスペック化が進むにつれて坪単価が上昇基調であるのとは対照的に平均専有面積は概ね縮小傾向にあり、平均価格は1.5億円前後で安定推移している。
また、新築億ション住戸の供給戸数が多かったバブル期(1988~1992年)と直近(2019~2023年)の5年間を比較すると、東京都は1万3429戸で、バブル期の約2.4倍に増加。価格高騰の長期化にともなうもので、東京都以外にも17道府県で当時を上回るボリュームを形成しています。
直近10年間(2014年~2023年)に新規分譲された億ション物件のうち、1物件あたりの平均価格が1億円を超える新築マンションを対象にランキングにしてみると、近畿圏の第1位は平均価格が27,015万円の「芦屋大原町HOUSE」(芦屋市)で、次点の「ブランズ芦屋ザ・レジデンス」(芦屋市)も2億円台で続いている。上位にランクインした物件の所在地は高級住宅地がある兵庫県の芦屋市や西宮市、京都市中心部が大半で、大阪府内に立地している物件は登場してきていない。物件のスペックを見ると、総じて小規模&低層タイプの高級レジデンスとなっている。また、平均専有面積については第10位の「ザ・京都レジデンス御所東」(京都市上京区)を除いて軒並み100㎡を超えている。なお、歴代の平均価格ランキングを見てみると、第1位は「パレロワイヤル岡本」(神戸市東灘区)の70,003万円で、上位30位まではいずれもバブル期に分譲された物件で占められている。
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