現金レス 出番減る1円玉の現状
1円玉など小額硬貨の流通量が減っている。電子マネーなどの普及で家計の消費支出に占めるキャッシュレス決済の比率は約2割に上昇。政府は「2025年に4割」を目標に掲げており、海外ではすでに小額硬貨を廃止している国もある。都市部では「現金支払いお断り」と書かれた張り紙を掲げる店舗も増加。小額硬貨の出番はさらに少なくなりそうだ。
日本のキャッシュレス化は遅れている。人々が新技術を拒否しがちなこともあるが、現金が手に入りやすいことも原因にあげられる。日本では現金の偽物が少なく、比較的清潔であり、どこでもほぼ無料で手に入れることができる。とても便利ではあるものの、現金のシステムを維持するコストが非常に大きいということでもある。現在普及しているキャッシュレス手段は技術的にも社会的にも課題が多いため、現金をかなり長い間、残す必要がある。そのためには、現金の社会的コストを減らす工夫が欠かせない。
日本でもラウンディングを実施すれば、1円玉を廃止してコインの種類を1種類減らすことができ、現金を扱うコストを減らせる。1円たりとも損したくない人はキャッシュレスに移行すればよいため、キャッシュレス化への後押しにもなる。
日本人の所得は先進国の中では低い方であり、ラウンディングへの反対論が大きいと予想されるが、ラウンディングによる1円玉の廃止は現金のシステムを残すために避けて通れない。まずは東京などの大都市圏での条例でラウンディングをはじめ、徐々に地方にも広げていくのが現実的であると思われる。ラウンディング開始から一定期間後に、銀行への1円玉の預け入れ手数料を大幅に引き上げさせる措置も有効だといえるだろう。これらの政策が実施されれば、将来のどこかの時点で5円玉の廃止も視野に入ってくるだろう。
もちろん、キャッシュレスが進んだ現在でも、意外と医療機関やローカルなスーパー、個人商店などでは、現金しか使えないことも多いし、地震や災害で停電になったり、スマホのバッテリーが切れたときなどは、やはり現金の出番となる。とくに500円硬貨は自動販売機や駅の券売機などでの利用率も高く、現在流通している500円硬貨は約50億枚。新500円硬貨は、2022年3月までに約2億枚も発行される見込みなのだ。
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