シカゴIMM通貨先物ポジションの推移から為替市場の全体的な状況と投資マインドを読み解きます。
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
ドル/円
IMMポジション ドル/円
ポイント
【円ネットロング増加】
2月18日時点で円のポジションは、ドルに対して約6.1万枚の買い越し(ネットロング)。
ロングが積み増され、ショートが取り崩されたことから、ネットロングは前週から約0.6万枚増加した。
期間中のドル/円相場は、米CPIの結果を受けて154円台後半へ急騰したが、日本の追加利上げ観測や米景気減速懸念もあり151円台前半まで反落した。
投機筋は円先高観をいっそう強めているようで、円ロング(グロス)は前週に続いて過去最高を更新した。
ユーロ/ドル
IMMポジション ユーロ/ドル
ポイント
【ユーロネットショート減少】
2月18日時点でユーロのポジションは、ドルに対して約5.1万枚の売り越し(ネットショート)。
ロングが積み増され、ショートが取り崩されたことから、ネットショートは前週から約1.3万枚減少した。
期間中のユーロ/ドル相場は、ウクライナ停戦に向けた期待が高まったことや、トランプ米政権による『相互関税』がすぐに発動しないことが伝わったことなどから、1.05ドル台まで上昇する場面も見られた。
地政学リスクの後退や米関税先送りを受けて、投機筋のユーロに対する先安観がやや後退したようだ。
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IMMポジション
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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大口投資家の動向は 日銀追加利上げ観測で円ロングが過去最大へ 最新ポジション
・12月の日米欧政策委員会、ECBは0.25%もしくは0.50%の利下げ、FRBは0.25%の利下げか現状維持か、日銀は0.25%の利上げか現状維持か、ユーロドルは一段と下落する可能性がある一方、ドル円は日足・転換線(154円02銭)や153円40銭を下抜け基準線(152円80銭)を目指して円安の調整が進むことになるか、12月の日米金融政策の行方が注目されます。
変動金利と固定金利との交換するOvernight Index Swap市場から推察される12月の日銀金融政策決定会合での利上げ確率は14日に51.8%へ上昇しましたが、15日に米10年債利回りが4.50%台まで上昇したことを嫌気し、NY株式市場の主要3指数は揃って下落。先週1週間でナスダックは3.15%安、S&Pが2.08%安、NYダウも1.24%下落するなどナスダックが直近3週間で2週下落したほか、NYダウとS&Pは4週間で3週下落するなど、米長期金利の上昇がNY株式市場の調整売りを招いたことから先週末には一時153円86銭まで下落する場面が見られました。しかし、米10年債利回りは今年4月に付けた4.74%を下回っており、この水準を上回るか、NY株式市場の本格的な調整を招く一つの目安となるかもしれません。仮に円安進行の一方、株安が大きくなれば日銀の金融政策に影響を及ぼす可能性に注意が必要ですが、 IMM投機筋の円ポジションは依然として過去との比較において円売り余力はまだ大きいとの見方もあり、週明け18日の東京市場のドル円は一時153円84銭へ下落したものの、名古屋での経済懇談会での挨拶で植田日銀総裁が 「経済・物価見通し実現していけば、政策金利引き上げる」と従来通りの考えを示したのに留まり、新味に欠けた内容として155円14銭まで反発するなど円安基調を継続。こうした中、日銀が輸入物価抑制に向けて「経済・物価が見通し通りなら利上げ」といった基本姿勢を基に利上げするか、ドル円の方向性を占う上で注目されます。
先週14日のNY市場終盤での講演でパウエル議長が利下げを急ぐ必要はないとの考えを明らかにしたことで、市場が織り込む利下げ確率は再度低下。さらに、およそ2ヵ月後に発足するトランプ政権を控え、来年以降もインフレ加速や財政悪化を背景に米長期金利が上昇し、15日の米10年債利回りは6月以来の4.50%台へ上昇。一方、円安進行による輸入物価の上振れ懸念が高まる中、日銀が警戒していた米経済は底堅さを維持していることもあり、日銀の追加利上げの環境は整いつつあるとの観測が広がりつつあります。実際、先週13日に日銀が発表した10月の輸入物価指数は円ベースで前月比+3.0%と3ヵ月ぶりにプラスに転じたこともあり、14日には本邦2年債利回りが2008年12月以来の0.53%台へ上昇したほか、15日の新発10年債利回りは7月以来の1.08%台へ上昇。それでも日米金利差は縮小し難いとの観測から15日の東京市場では156円75銭まで円安が進行しました。
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