豪ドル/円 今日の見通し「米関税政策が豪ドルの重し 注目は米PCE」2025/2/28

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豪ドル/円 今日の見通し「米関税政策が豪ドルの重し 注目は米PCE」2025/2/28

【最新号】

短期トレード即効チャージ 豪ドル円

オーストラリアの通貨「豪ドル」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。

執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉

豪ドル(AUD)トレードに関わる現在までの相場トピック

・NY原油先物市場は反発。終値は前日比+1.73ドルの1バレル=70.35ドル(2月27日)。

<WTI原油・商品CFDチャートはこちらはこちら>

・2月26日に発表された豪1月CPIは前年比+2.5%(予想:+2.6%、前月:+2.5%)だった。また、1月CPIトリム平均は+2.8%で前月(+2.7%)から伸びが加速した。
1月29日に発表された、豪10-12月期消費物価指数(CPI)は前年比+2.4%(予想:+2.5%、前四半期:+2.8%)で予想以上の鈍化だった。また同CPIトリム平均は前年比+3.2%だった(予想:+3.3%、前四半期:+3.6%)。

・2月20日発表の豪1月雇用統計は、雇用者数が4.40万人の増加と市場予想(2.00万人増)を上回った。失業率は4.1%で予想通り前月(4.0%)から上昇。労働参加率は過去最高となる67.3%だった。

・2月18日に豪準備銀行(RBA)は金融政策決定会合を開催。政策金利を4.35%から4.10%へ引き下げた。声明では「さらなる政策緩和の見通しについては引き続き慎重である」などと慎重な姿勢を示した。

・2月3日に発表された豪12月小売売上高は前月比-0.1%と市場予想(-0.7%)を上回った。

今日の豪ドル(AUD)トレード メインシナリオ

米関税政策が豪ドルの重し 注目は米PCE

トランプ米大統領が前日に4月2日へ後ずれを示唆していたカナダとメキシコへの関税発動日が当初の予定通り3月4日になると発言。米国の関税政策への警戒感が高まりドルが全般的に買われた。またトランプ大統領は同時に中国に対しては「10%の上乗せ関税を課す」と表明したことで、中国と交易関係の強い豪ドルの下落率はユーロやポンドに比べると大きなものになった。豪ドル/円は「令和のブラックマンデー」とも言われた昨年8月5日以来となる93.30円台まで下落している。
本日は豪州にて主要な経済指標の発表はない。市場の注目は米1月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)だ。2月13日に発表された米1月生産者物価指数(PPI)の内容を見て、市場はFRBが重視するインフレ指標であるPCEデフレーターは鈍化すると見込んでいる。結果を受けた米ドルの動向が豪ドル/円を押し上げる可能性もあるが、米国の関税政策への懸念が残るため、上値は限定的となりそうだ。

豪ドル/円 最新チャート分析

今後の注目材料

日米株価動向
22:30 米1月PCEデフレーター

「ぴたんこテクニカル」内「お天気シグナル」の分析結果

外為どっとコムのテクニカル分析ツール「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」では豪ドル/円は曇り空に雨がぱらつき、豪ドル/米ドルは晴れ。7時に豪ドル/円のRSIでシグナルが点灯。

【情報提供:外為どっとコム】

<「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」 詳細はこちら>

  • ※ 「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」とは、選択した通貨ペア・足種に対して、複数のテクニカル分析を行った結果をパネル形式で一覧表示することにより、直感的に相場状況を把握することができるツールのことを指します。
  • ※また、高機能チャート(パソコン版)/(スマホ版)では「取引分析」 を選択することで、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況をチャート上に表示が可能です(「外為注文情報」)。
  • ※ なお「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」や、「外為注文情報」は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家ご自身でなさるようお願い致します。

お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信

外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。

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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。

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[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル 豪ドル/円 今日の見通し「米関税政策が豪ドルの重し 注目は米PCE」2025/2/28

こうした中で豪ドル/円は52週MAを大きく割り込みました

豪ドル/米ドルは、小動きが続く中でも、最近にかけての金利差変化からかい離する形で下落傾向が続き、年初来の安値更新含みの展開となりました。これには中国経済の不振の影響などがあるのかもしれません。

欧州通貨と同じく、豪ドルと円は米ドルに対して上昇余地が大きいと考える。豪ドル/米ドルは2024年6月末までに1豪ドル0.76米ドルまで上昇すると予想する。我々の予想は、アジアの良好な経済環境、国内政策、コモディティ価格の回復がプラス材料となり、オーストラリア経済は持ちこたえることができるという見方に基づいている。このためオーストラリア準備銀行(中央銀行)はタカ派姿勢を維持すると考える。ターミナルレート(利上げの最終到達点)は4%を若干上回る水準を予想しており、今年または来年初頭に利下げが行われる可能性は低いと考える。経常収支が黒字のため、財政状態は健全性が高まっている。米国のオーストラリアに対する金利の優位性が低下したことは、投資家が豪ドルの買いポジションを積み増すきっかけとなるものであり、よって豪ドルが上昇するとみている。こうした見方は、リスク資産を選好する市場のセンチメントにも影響される。

豪ドル/円は2024年7月にかけて110円寸前まで上昇し、2007年に記録したこの間の高値を更新しました。これは米ドル/円が161円まで展開する「歴史的円安」となるなど、円全面安が展開した影響が大きかったでしょう。このため、米ドル/円が8月にかけて一転して暴落すると、豪ドル/円も90円割れ寸前までやはり暴落となりました(図表5参照)。

ユーロ/米ドルは2023年9月末までに1ユーロ1.12米ドルまで上昇、2024年6月末までに1.18米ドルまで上昇すると予想する。米ドル/スイス・フランは9月末までに1米ドル0.87スイス・フランまで下落、2024年6月末までに0.83スイス・フランまで下落すると予想する。英ポンド/米ドルは9月末までに1英ポンド1.29米ドルまで上昇、2024年6月末までに1.38米ドルまで上昇すると予想する。同様に、豪ドル/米ドルは9月末までに1豪ドル0.72米ドルまで急上昇し、2024年6月末までに0.76米ドルまで上昇するとみている。

以上を踏まえると、2025年の豪ドル/米ドルは、2024年のレンジを下方修正し、0.6~0.7米ドル中心での展開と予想したいと思います。

このような値動きは、過去の経験を参考にすると、豪ドル/円がすでに7月109円で天井を打って、複数年続く下落トレンドに転換した可能性が高いことを示すものです。

52週MAは11月末現在で100円弱ですが、過去の経験を参考にすると、下落トレンドに転換した豪ドル/円は、一時的な上昇局面でも52週MAを大きく上回ることなく一段安に向かう可能性が高いと考えられます。

こうした中で、豪ドルは10月下旬以降すでに1ヶ月以上52週MA(移動平均線、11月末現在0.66米ドル)を下回ってきました。さらに52週MAを下回る動きが続くようなら、豪ドル/米ドルは小動きが続く中でも、基本的には下落トレンドが展開している可能性が高いとの見方になります(図表4参照)。

豪州は中国との貿易関係が強いことから、豪ドル/米ドルは上海総合指数など中国株との間に一定の相関関係が確認できます(図表3参照)。中国株の長期下落傾向が、小動きが続く中でも豪ドルの下落要因になっていた可能性はあるでしょう。

豪米2年債利回り差は、足下で0.2%程度の豪ドル劣位です(図表2参照)。その一方で、日米2年債利回り差米ドル優位は3%を大きく上回っています。2022年の歴史的インフレ以降、先進国は軒並みインフレ対策で大幅な利上げに動いたのに対し、当初日本だけは金利上昇を抑制する政策を続けました。その結果、日本と米国など先進国の金利差は円劣位が大幅に拡大した一方で、日本以外の先進国間の金利差拡大は限られました。

2024年の豪ドル/米ドルは、0.63~0.69米ドル程度の小幅のレンジで、2023年に続き方向感のない動きに終始しました(図表1参照)。米ドル/円がここ数年記録的に大きな変動が続いていることと対照的に、豪ドル/米ドルの小動きが長期化している最大の理由は小幅な金利差でしょう。

豪ドル関連に投資する上で、しっかり確認しておきたいリスク要因は、「財政引き締め」「新興国経済の落ち込み」「一段の利下げ懸念」「資源価格の下落」「世界的な天候不安」などが挙げられます。

豪ドル/円の5年MAかい離率は、2024年7月に110円まで上昇した局面で25%程度まで拡大しました。これは、2007年に記録した過去最高にほぼ肩を並べるものでした(図表7参照)。その意味では、5年MAとの関係で見た場合、2024年の豪ドル/円はほとんど過去最高の「上がり過ぎ」という動きだったのでしょう。

金利差は、為替相場の変動率(ボラティリティ)に大きく影響することから、大幅な金利差のある米ドル/円やクロス円が歴史的大相場を展開したのに対し、豪ドル/米ドルのような対米ドルでの取引「ドルストレート」は小動きの状況が続いたということでしょう。このような金利差に著変なければ、2025年の豪ドル/米ドルも小動きが続く可能性が高いのではないでしょうか。

こうした中で豪ドル/円は52週MAを大きく割り込みました。その後の反発で一時52週MAを回復したものの、最近にかけて再び52週MAを大きく割れるところとなりました(図表6参照)。

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