燃やしたゴミ→金の延べ棒 資源化

燃やしたゴミ→金の延べ棒 資源化
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 燃やしたゴミ→金の延べ棒 資源化

燃やしたゴミ金の延べ棒 資源化

さらに、自治体等で焼却時に出たガス等を集塵(しゅうじん)した「焼却飛灰」は特別管理一般廃棄物に分類され通常では処理も再資源化も難しいが、溶融処理することで再資源化できる。溶融処理により発生する「溶融飛灰」の中にある亜鉛や鉛を濃縮して回収し、最終的にそれらの金属を取り出して再利用できる。

民間シェアの半分を占める同社の平田敦嗣工場長は「循環経済の推進や資源の有効活用などの観点から、近い将来は全国的に溶融処理のニーズが高まるのでは」と見通している。

本村市長は6月中旬、神鋼環境ソリューションの大濱敬織(たかお)社長と懇談。「都市鉱山とも言われる廃棄物の中の貴金属資源を取り出し、有価性が上がれば市にも貢献出来る」と説明を受けた本村市長は「最初は驚いた。SDGsや脱炭素の意味でも価値ある取り組み。歳入確保策としても大きい」と喜んだ。

取り出される金は、計算上では10万トン×4%×1トン当たり40グラムで年間約160キログラム。焼却灰の8割強は一般家庭のゴミを自治体で燃やしたものだが、なぜこれほど貴金属類が含まれているのか自治体や研究者も分からないという。同社は「ICの基板やチップを組み込んだおもちゃやカード類が分別されず一般ゴミとして捨てられているのではないか」と推測している。

「当社が設計・建設した流動床(りゅうどうしょう)式ガス化溶融炉というごみ焼却施設から金や銀の回収に成功しました」と語るのは、株式会社神鋼環境ソリューションの環境プラント事業部で設備改善推進室室長を務める技術士 ・藤田淳だ。「一部の電気及び電子製品は家庭ごみと一緒に捨てられてしまうので、その電子基盤などに使われる貴金属が焼却炉から排出される残留物に含まれているということは知っていましたが、これまでは資源として回収する方法がありませんでした」と言う。

同工場は鉄の副原料となるマンガン合金鉄を製造していたが、1995年に合金鉄炉を利用して民間企業としては日本初の自治体から出る一般廃棄物焼却灰の溶融処理を開始。2002年には専用の電気炉を稼働させ、民間事業所の産業廃棄物を含めた「焼却灰資源化事業」に本格的に進出、21年から同事業に特化した。現在は東京23区を含む主に首都圏の94団体(自治体で構成する事業組合や市町村等)から年間8万4000トンの一般ゴミ焼却灰を受け入れ、産業廃棄物を合わせて年間10万トンの焼却灰を溶融・資源化している。

現在、全国の民間ゴミ排出量は年間約4000万トン。燃やされて約10分の1、約400万トンの焼却灰になり、その3分の2は埋め立て処理されているが、埋め立て地の残余容量はあと20年分ほどしかないとされる。3分の1は資源化されているものの、多くはセメントなどへの利用で、貴金属類の回収もできる溶融処理は自治体で30万トン、民間で20万トンの計50万トン程度にとどまる。

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