スタバジャパン CEOに日本人女性
スターバックスでは、全国で働く約4万人のパートナー(従業員)の半数以上を女性が占め、また約1500店の7割近くの女性の店長が活躍をしています。大切にしている価値観の一つである「お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくる」をベースに、男女問わず一人ひとりが輝き、自分の能力を最大限に発揮し、心地よく活躍できる職場の実現のため、これまでもパートナー一人ひとりを支える様々な制度を導入し、多様性のある働き方を応援してきました。今後、ライフスタイルや働き方がより多様化していく中で、スターバックスでは自身の人生と、キャリアを活かしあう「Work Life Blend」の考えに則り、これからもパートナーがより活き活きと働ける職場環境を整えてまいります。
ネスレ日本の元CEO・高岡浩三氏をお招きし、オンラインにて特別講演会を開催いたしました。当日は講演だけでなく、質疑応答にもたっぷりとお答えいただき、ご参加者にとって得るものの大きな会となりました。
一方で、一緒に視察に訪れた20代の部下たちはいち早く価値に気づいて、「梅本さん、スターバックスっていいですよね!」なんて言うんです。彼らはファッションやライフスタイルのトレンドに明るいですからね。普通だったらそこでハッとすると思うんですが、当時の私はビジネスを失敗させないことで頭がいっぱいで、何かをいいと思う感性に蓋をしていたので素直に受け止めることができませんでした。やっぱり日本進出は難しいだろうという結論のまま帰国し、出張報告をしたところ、ずっと黙っていた鈴木さんが会議の終わりに、スターバックスのペーパーカップを手に一言「これがかっこいいんだよ」と言ったんです。その瞬間、全てが腑に落ちました。時代とともに移り変わっていくトレンドを敏感に察知し、ビジネスに取り入れてきた鈴木さんの感性から放たれる、理屈じゃない「かっこいい」という一言に私は完落ちしたんです。言魂ですよね。そこからはどうしたらそのかっこよさが人々に伝わり、ビジネスに繋がるかという視点で分析を進めていく方向にシフトしました。
――のちにお互いに良い時期を迎え、当時サザビーの経営計画室長であった梅本さんがプロジェクトの総責任者に指名されたんですね。先ほどおっしゃっていたように、当初は日本進出に悲観的だった梅本さんがスターバックスの本当の価値に気づいたきっかけとは何だったのでしょうか。
梅本:今おっしゃったように、社会的な役割から解放される場のことをサードプレイスと呼びます。社会的な役割というのは、いわば肩書きですよね。部長や課長といった役職名はもちろんのこと、“お母さん”というのも一つの肩書きです。よく子育てをされている女性が保育園などで自分の名前ではなく「〇〇ちゃんママ」と呼ばれたりするじゃないですか。そういう肩書きをなくして、ひとりの人間としてフラットに交流できる場がサードプレイスなんです。そういう場所というのは本当に少なくて、実は家庭もそうじゃないんですよね。プライベートな場所だからリラックスはするんだけど、家にいる限りは夫/妻、父親/母親という肩書きは消えないわけです。子供だって家にいる限りは子供だし、のんびりしていたら親から「勉強しなさい」と言われたりする。「今は私のサードプレイスタイムなんだ!」と主張したところで、「何言ってんだ」って言われるのが落ちですよね(笑)。
――そもそも、なぜ当時のサザビーがスターバックスコーヒージャパンを立ち上げすることになったのでしょうか。
梅本:スターバックスコーヒージャパンの初代社長となった角田雄二さんという方がいらっしゃるんですが、サザビー社の創業者である鈴木陸三さんの実のお兄さんなんですね。この角田さんもまた鈴木さんと同様にユニークなセンスを持っていらっしゃる方で、「日景茶屋」という神奈川の有名な料亭に婿養子に入られた後、80年代にフランコジャポネーゼ=日本風にアレンジしたフレンチを提供するレストラン「CHAYA」をロサンゼルスの高級住宅街として知られるビバリーヒルズのベニス・ビーチにオープンし、予約が取れないほどの人気店にしたんです。その近くにスターバックスがオープンし、角田さんが覗きにいったところ、「良い香りがする」と。それもコーヒーの香りだけではなく、ビジネスの良い香りがすると、思ったそうです。当時、弟の鈴木さんは日本でティールームと生活雑貨を一体化させた「Afternoon Tea(アフタヌーンティー)」を展開させていました。スターバックスも限られたスペースではありますが、雑貨も販売しているじゃないですか。なので、角田さんはアフタヌーンティーのコーヒー版として、日本でも必ず流行ると確信したそう。すぐに当時のCEOであるハワード・シュルツに手紙でアポイントを取り、鈴木さんと共にシアトルに乗り込んだ角田さんはシュルツと意気投合。ただスターバックスは本国アメリカの事業展開に忙しく、サザビーもアフタヌーンティーなどの事業を拡大していたので、時期を見て一緒にやりたいね、という話で終わりました。
スターバックスでは感動体験を通じて人々の潤いを与えることを目指しています。多様な人が集まる中で一つの目標に向かい、相互に助け合い、意見を交わすことで一体感が生まれ、強固なチームになっていき、スタッフ一人ひとりが働きやすい環境作りに取り組むことで、結果としてお客様に喜んでいただけるサービス提供につながることになります。このような強固なチームをつくるための秘訣やコミュニケーション方法についてスターバックスの考え方だけでなく、具体的な体験に基づいたエッセンスをお伝えします。
そういう意味で、肩書きから解放されて心の底からリラックスできるサードプレイスはある種のサンクチュアリ、避難場所とも言えます。別にそこで交流してもしなくてもいいんです。交流したい時としたくない時があるし、得意な人も不得意な人もいますから。だけど、文字通り、完全に孤立した状態を好む人はあまりいない。集団の中にいるんだけど、誰にも邪魔されずに自分の好きなことをできる場所。アメリカの学者なんかはよく「コクーンに入る」という言い方をしますが、スターバックスもその一つですよね。PCを開いて作業している人もいれば、本を読んでいる人や一緒に来た人とおしゃべりしている人もいる。それはスターバックスが独自に築き上げた一つの世界観だと思っています。
梅本:先ほどもお話しした通り、当初の私はスターバックスの価値をきちんと把握できず、単に次の場所に行くまでの休憩所としか考えていませんでした。そうするとドトールのモデルが一番合理的で、そこに余分なものを足していくとお金がかかる割には儲からない。さて、どうするか…と頭を悩ませていたところに、スターバックスから「シアトルの本社に来てくれ」と声がかかったんです。その時に初めてアメリカにあるスターバックスを見て回ったんですが、驚きました。アメリカは土地が広いからお店はとにかく大きいし、当時はまだ日本になかったドライブスルーもすでに導入していて、とにかく日本のコーヒーチェーンとは何から何まで違った。良い悪いは置いといて、ドトールは非常にマニュアル的でどの店舗のスタッフも同じような対応をするじゃないですか。対してスターバックスはもっとカジュアルですよね。だけど、当時の私は衝撃を受けると同時に、「これがウケるのはアメリカだからじゃない?」って思ったんです。アメリカだから、店員のフレンドリーな対応も、やたらでかくて甘い食べ物や飲み物も好まれるのであって、日本では難しいだろうと。ある種のアンコンシャツバイアスですよね。
スターバックスコーヒージャパンは、来月付でCEO=最高経営責任者を森井久恵氏に交代すると発表しました。 ▼【写真をみる】沖縄のスターバックスで先行導入 環境にやさしく飲み心地もいい「バイオポリマー」を使った新しいストロー スターバックスコーヒージャパンはきょう、水口貴文CEOの後任として、4月から森井久恵氏が就任することを発表しました。CEOの交代はおよそ9年ぶりで、日本人の女性として初めて就任することになります。 来月4月1日付でCEOに昇格する森井氏は、NTT東日本などを経て、2018年にスターバックスコーヒージャパンに入社。これまでは、マーケティングやデジタル戦略などを統括してきました。 一方、水口CEOは退任後、アドバイザーに就任し、引き続き経営をサポートします。 水口氏は森井新CEOの就任について、「国内の2000店の出店や来年の創業30周年という節目で今の時代を肌感で感じることのできる次世代のリーダー」としています。 スターバックスは、マクドナルドに次ぐ国内での店舗数を誇る一方、先月15日から全国のおよそ3割の店舗で値上げを実施しています。 物価高の影響も続く中、拡大する店舗に応じて、客数や売り上げを維持できるか、注目されます。
「やりたいことが見つからない」 「働く理由がわからない」 その悩みを解消するヒントを元スターバックスCEOが伝授!なぜ、人々はスターバックスに行くのか。 なぜ、「スターバックス」と 「スターバックスに似たコーヒーショップ」を 明確に区別しているのか。それは、スターバックスには 人々を魅了する「何か」があるからです。その「何か」を生み出すのが企業と働き手たちの 「ミッション(使命)」に他なりません。本書では、スターバックスとザ・ボディショップでブランドを見事に再生させた経営者である著者がその経験を紐解きながら「働くことの本質的な価値」を探すヒントをお伝えします。自分自身の「ミッション=働く理由」を見つけることができれば「やりたいこと」や「自分が本当に納得できる働き方」も 手に入れられるはずです。
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