三井住友FG 脱炭素 枠組み脱退
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は4日、脱炭素をめざす金融機関の国際的な枠組みから脱退した。野村ホールディングス(HD)も同様の検討を進めている。トランプ米政権下で脱炭素をめぐる業界横断的な活動への批判や法的リスクがくすぶっている。米主要銀の離脱が相次ぐなか、邦銀では初の事例となる。
日経の報道では、SMFGは「気候変動への対応は強化する」(幹部)と強調し、2030年に向けて掲げたサステナブルファイナンスの投融資目標を維持するほか、50年までに融資先の企業が排出する温室効果ガス(GHG)を実質的にゼロとする目標も続けるとしているという。また、国内企業の脱炭素を見据えた投資の重要性は増しており、金融機関としての支援を一段と強めると説明しているという。
国内では三井住友FGの他に、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループなどが加盟している。
枠組みは2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」。
しかし、それならばNZBAから離脱する理由は見いだせない。米国の金融機関の場合、共和党系州当局や、連邦下院議会等から、脱炭素促進のための共同行動をとることは反トラスト法違反の可能性があるとの「圧力」を受けていたことが大きい。しかし、日本の金融機関に対して米州当局がそうした行動をとっているとは思えない。そう考えると、今回のSMFGの行動には、日本政府の「政治判断」が影響しているとみることができる。
米国の共和党主導の州当局等はここ数年にわたり、金融機関が投融資に際して脱炭素化等を促すため、排出量の多い高炭素集約型企業に脱炭素転換等を働きかけることについて、反トラスト法(独禁法)に抵触するとのキャンペーンを展開している。トランプ政権の再登場とともに、同政策が連邦の政策として拡大されるとの見方から、昨年末から今年にかけて、米銀、カナダ銀の大手行が相次いで、離脱を表明している。
日本経済新聞が電子版で報じた。NZBAに参加している日本の金融機関は、3メガバンクと、野村、農林中金、三井住友信託銀行の6行。このうち、SMFGが離脱を明確にし、野村も検討中としている。NZBA自体は世界44カ国の銀行135行が署名しており、2050年のネットゼロ実現のための取り組みを宣言している。参加銀行の総資産額は56兆㌦(約8288兆円)に達する。
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