総括
FX「リセッション抜け出す、CPIは低下。良き兆しだが」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価16位)
予想レンジ トルコリラ/円3.9-4.4
*リラは最安値から小反発、株価小戻し、金利も低下
*CPI、2月は39.05%に低下
*リセッション抜け出す、2024年のGDP成長率は3.2%
*政策金利は2.5%引き下げか
*2025年は3%成長予想、EBRD
*PKK、トルコ政府と停戦宣言
*ビジネス界が政府を批判し拘束される
*財務相は正統派経済を貫くが、国民はまだリラを全面的に信頼せず
*企業と消費者の信頼感は改善
*経常収支は2か月連続赤字、ポイントは得た外貨をリラに換えるかどうか
*外貨預金の比率は3割強
*中銀総裁が警告=自動操縦状態ではない
*中銀、インフレ予想を21%から24%に上方修正
*さらなる利下げを宣言、エルドアン大統領
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
(リラは最安値から小反発、株価小戻し、金利も低下)
リラは最安値から小反発。年初来で対円で7.01%安。対ドルで36台が定着した。
ただ今朝のトランプ関税・為替発言には小幅安で収まっている。経済指標が改善、経常収支も改善しているがリラ安修正が遅いのは、国民や企業がまだ外貨選好が強いことにある。
株価は昨日はマイナス圏から脱出し年初来0.82%高へ回復(イスタンブール100)。
10年国債利回りはインフレ低下を反映して26%台から25.75%へ。
(CPI、2月は39.05%に低下)
2月の消費者物価(CPI)は前年比39.05%上昇で、1月の42.12%から低下し、予想の39.9%を下回った。 前月比では2.27%上昇。1月の5.03%、予想の2.85%を下回った。
主要食品・非アルコール飲料価格は前年比35.11%上昇で、総合指数の伸び率を下回った。主な押し上げ要因は教育費(94.9%上昇)と住宅価格(70.81%)だった。
生産者物価指数(PPI)は前月比2.12%上昇、前年比25.21%上昇だった。
(リセッション抜け出す、2024年のGDP成長率は3.2%)
2024年4QGDP成長率は、予測を上回る前年同期比3.0%。前期(0.1%減)からプラスに転じリセッションを脱出した。これにより、2024年通年の実質GDPは前年比3.2%の成長となった。
シムシェキ国庫・財務相は、2024年には、内需が2.1ポイント、純外需が1.1ポイント成長に寄与したとし、経常赤字のGDP比が0.8%に低下したと評価した。また、政府の経済プログラムが持続可能で高度かつ包括的な成長の基盤を強化しているとし、「この成果を恒久的なものとするため、断固たる意志をもって構造改革を継続する」と強調した。
(政策金利は2.5%引き下げか)
今週は政策金利決定がある。2.5%引き下げて42.5%とする予想だが、CPIの低下を受けて5%引き下げも想定したい。
(2025年は3%成長予想、EBRD)
欧州復興開発銀行(EBRD)は、トルコの経済が2025年に3%成長し(2024年9月の予測から変更なし)、2026年には3.5%成長すると予想している。
金融・財政政策の引き締めによりインフレが大幅に低下し、対外ポジションが改善し、純輸出が増加し、経常収支赤字が着実に減少していることが示されている。
しかし、EBRDの発表によると、高インフレの継続、地政学的不確実性、トルコリラの実質的な上昇が輸出競争力に与える影響など、経済に下振れリスクをもたらすことから、報告書は政策措置の時期尚早な緩和に警告を発している。
同時に、トルコの短期的な対外資金調達ニーズが高いため、同国の経済見通しは世界的な資金調達状況に左右される。
EBRDは昨年、民間セクターのグリーン投資への意欲と、2023年2月の地震で被害を受けた地域に対する銀行の継続的な支援に後押しされ、トルコに過去最高の26億ユーロを融資している。
テクニカル分析
ボリバン2σ下限から反発も今朝のトランプ発言で反落
日足、ボリバン2σ下限から反発も今朝の「トランプ関税発言、円安にも課税発言」で反落。2月25日-3月3日の上昇ラインがサポート。2月13日-3月3日の下降ラインが上値抵抗。5日線横ばい、20日線下向き。
週足、2月10日週の長い上ヒゲ効いて続落。一時ボリバン3σ下限まで下落。現在ボリバン2σ下限。8月26日週-2月24日週の上昇ラインがサポート。
2月10日週-24日週の下降ラインを上抜く。1月27日週-2月3日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、8月の月足の長い下ヒゲ効果が薄れてきた。8月-12月の上昇ラインを下抜く。24年7月-25年1月の下降ラインが上値抵抗。ボリバン2σ下限は3.863
。
年足、2024年で10年連続陰線。その間52円から4円台へ沈む。2025年も陰線でスタート。
VAMOS MEXICO
PKK、トルコ政府と停戦宣言
トルコからの分離独立を掲げて武装闘争を続けてきた少数派クルド人の非合法組織「クルド労働者党(PKK)」が3月1日、トルコ政府と「停戦する」と発表した。指導者のオジャラン氏が獄中から声明を出し、PKKの非武装化と解散を求めていた。
トルコ政府との和解が成立すれば歴史的だが、過去にも和平交渉が失敗しており最終的な和平への道のりは遠い。
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FX リセッション抜け出す CPIは低下
12日の株式市場は下落で反応した。S&P500種株価指数は議事要旨公表後に下げが加速し、前日終値比0.41%安で取引を終えた。ハイテク株の比率が多いナスダック総合指数や、ダウ工業株30種平均も同様の動きで値下がりした。ドル円相場ではCPI発表後、133円台後半から132円台後半まで1円程度ドル安が進んだが、その後は133円台前半まで値を戻している。
3月のCPIでは、すべての品目を対象にした総合指数の伸び率が前年同月比5.0%だった。2月の数字(6.0%)や事前の市場予想(5.2%)を下回る結果で、物価上昇の緩和も感じさせた。ただし食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は市場予想と同じ5.6%で、2月(5.5%)からわずかに拡大した。エネルギー価格の下落が物価全体の上昇率の低下につながったものの、モノやサービスに対する需要の強さが物価を押し上げている構図自体は変わっていないとみられる。
ただし3月のCPIで確認された物価上昇の根強さはFRBにとって無視できない問題だ。FOMCの議事要旨でも、参加者が「物価上昇率は受け入れがたいほど高い」という見方で一致し、金融政策の見通しについて、物価上昇率を目標とする2%に戻すためには「いくらかの追加的な引き締めが適切」と見込んでいることも示された。
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