
陰線引け。買い先行も85円半ばの日足一目・基準線を上回ったところから失速。ただし下落も84円台の転換線を下回ったところで一服した。3手ぶりの陰線引け。
基準線は本日も85.55円で横ばいであり、同線から85.60円台の昨日高値が抵抗帯として働くか。目先は本日84.59円に低下した転換線を巡る攻防に注目。同線の下での推移が続くようだと、下値余地を探る展開が想定される。
レジスタンス1 85.64(3/6高値)
前日終値 84.86
サポート1 83.90(ピボット・サポート2)
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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このところのニュージーランド経済を巡っては、物価高と金利高の共存長期化が内需の足かせとなるとともに、最大の輸出相手である中国の景気減速が外需の足かせとなるなど、内・外需双方に不透明要因が山積している。なお、一昨年後半に一時30年ぶりの水準に昂進したインフレは、中銀(NZRB)による累計525bpもの利上げや商品高が一巡したことも重なり、昨年以降は頭打ちに転じたことを受けて、NZRBは今年8月にコロナ禍後初の利下げに舵を切った。さらに、その後もインフレは頭打ちするとともに、7-9月には前年比+2.15%とRBNZが定める目標(1~3%)の範囲内に収まるなど落ち着きを取り戻しており、RBNZは10月、11月と3会合連続の利下げに加えて、利下げ幅を拡大させるとともに、先行きも断続利下げに動く方針を示すなど『ハト派』姿勢を強めている(注1)。このようにRBNZがハト派姿勢を強める背景には、上述のように内・外需双方に景気の足を引っ張る動きがみられるとともに、比較的底堅い動きをみせてきた雇用を取り巻く状況も急速に悪化するなど、景気や物価の足かせとなる動きが顕在化していることも影響している(注2)。こうしたなか、7-9月の実質GDP成長率は前期比年率▲3.96%と前期(同▲4.21%(改定値))から2四半期連続のマイナス成長となるテクニカル・リセッション(景気後退局面)入りするとともに、中期的な基調を示す前年同期比ベースでも▲1.1%と前期(同▲0.3%)から頭打ちの動きを強めてコロナ禍の際以来のマイナス幅となるなど、景気に一段とブレーキが掛かっていることが確認されている。インフレ鈍化により実質購買力は押し上げられるも、雇用悪化や金利高に伴う債務負担の重さが家計消費や不動産投資の足かせとなるとともに、外需の低迷の動きも重なる形で企業部門による設備投資も下振れするなど、内・外需双方に幅広く下押し圧力が掛かる動きがみられる。分野ごとの生産動向を巡っても、天候不順の影響が一巡していることを受けて農林漁業関連の生産は底入れするとともに、資金流入の活発化を反映して金融部門の生産は拡大する一方、幅広く内・外需が下振れしていることを反映して製造業や鉱業、建設業のほか、金融以外のサービス部門の生産に下押し圧力が掛かるなど、幅広い分野で生産活動が低迷している。さらに、足下の企業マインドも上述のようにRBNZがハト派傾斜を強めているにも拘らず、雇用に対する不透明感が強まるなど内需を取り巻く環境が厳しさを増している上、中国経済を巡る不透明感のほか、米トランプ次期政権による通商政策の行方などへの警戒感が重石となる動きが続いており、景気の底がみえない状況が続いている。こうした状況を勘案すれば、RBNZは先月の定例会合において来年初めにもさらなる利下げに動く方針に言及するとともに、金利見通しでは短期的に利下げペースを一段と加速させる方針を示したなか、来年2月の次回定例会合では50bpないし75bpの大幅利下げに動く蓋然性が高まっていると判断できる。こうしたなか、国際金融市場では米トランプ次期政権による政策運営を警戒して米FRB(連邦準備制度理事会)がタカ派傾斜を余儀なくされるとの見方を反映して米ドル高圧力が強まるなか、RBNZによる大幅利下げが意識される形でNZドル相場は調整の動きを加速させている。先行きについても金融政策の方向性の違いを理由にNZドルの対米ドル相場は上値の重い展開が続く可能性が高まっている上、日本円に対しても同様に上値が抑えられる展開が見込まれる。
大学卒業後の2004年に国内証券会社に入社。外国為替証拠金取引業務に携わった後、金融情報サービス会社にて個人投資家向けの為替情報配信業務を担当。市況サービスのほか、テクニカル分析を軸にした情報を配信する。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。
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