【見通し】ロンドン為替見通し=金融当局者の発言に注目、財政ルール緩和に向けた動きも注視

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【見通し】ロンドン為替見通し=金融当局者の発言に注目、財政ルール緩和に向けた動きも注視

ロンドン為替市場では、欧州金融当局者の発言に注目しながら、本日のメインイベントである2月米雇用統計を待つ展開か。また、欧州内で広がる財政規律緩和の動きには引き続き目を向けておきたい。経済指標は1月独製造業新規受注や10-12月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値など。

 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ナーゲル独連銀総裁、クノット・オランダ中銀総裁、パネッタ伊中銀総裁は本日、IWD(International Women‘s Day、国際女性デー)のイベントでパネルディスカッションに参加する。イベントの性格上、金融政策について突っ込んだ話はでないかもしれないが、昨日にECBが実施した利下げについて、また今後の物価見通しについてなども話題となりそうだ。

 ラガルドECB総裁は昨日、理事会後の定例記者会見で「ECBは漸進的な政策アプローチに移行」との考えを示した。インフレについても「2%目標は来年の極めて早い段階で達成される」との自信をのぞかせている。本日はタカ派のナーゲル、クノット総裁とハト派のパネッタ総裁が参加することもあり、極端とは言えないまでも、それぞれの立場から違った意見を聞くことができるかもしれない。

 なお欧州連合(EU)は今後、債務抑制の緩和に向けた議論をしていくもよう。トランプ米政権が欧州離れを鮮明にするなか、EU加盟国は防衛費を増額するために長期的な財政ルール改革が必要となっている。昨日のEU首脳会議では、軍事支出の拡大ペースを速めるため、加盟国に低金利で融資する基金創設案も支持されていた。結局トランプ大統領の思惑通りに事が進んでいるように見える。

 経済指標は、1月独製造業新規受注(予想:前月比-2.5%/前年同月比2.6%)や10-12月期ユーロ圏GDP・確定値(予想:前期比0.1%/前年比0.9%)。独株がここ数日大きく買われた後なだけに、製造業新規受注に一応は気にかけておきたい。GDPは確定値のため波乱なしか。

想定レンジ上限

・ユーロドル、昨日高値1.0853ドル

想定レンジ下限

・ユーロドル、200日移動平均線1.0722ドル

(小針)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ

[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル 【見通し】ロンドン為替見通し=金融当局者の発言に注目、財政ルール緩和に向けた動きも注視

見通し ロンドン為替見通し金融当局者の発言に注目 財政ルール緩和に向けた動きも注視

利下げを停止して様子を見るべきだという空気が1月のFOMCでいかに強かったかが十分伝わってくる議事要旨。リスクマネジメントの観点から追加利下げに向けては注意深いアプローチが適切だと、過半数の参加者が考えた。その根拠として列挙されたのは、(1)労働市場・景気見通しの下振れリスク減少、(2)インフレ見通しの上振れリスク増大、(3)中立金利(の水準)、長期金利上昇による(経済)抑制効果の大きさ、政府の政策が及ぼし得る経済的影響にまつわる不確実性である。特に、インフレ率の今後の動向が大きなカギ。PCE(個人消費支出)デフレーターが目標である2%に向けて順調に鈍化してくれば、追加利下げにつながるだろう。

景気後退と高インフレが共存する「スタグフレーション」に米国が陥るリスクが現状大きいとは思えないが、景気と物価の逆方向の動きへの対処をFRBは迫られかねない。トランプ政権による輸入品への関税上乗せがインフレにつながることへの警戒感を、米国の消費者は抱いており、消費マインドが悪化している。さらに、そうした状態に消費者の意識を追いやったのは「トランプリスク」である点が難題。連邦政府の政策に由来する経済の混乱は、実行される政策の内容と影響を見きわめた上で、FRBが事後的に対応していく筋合いのもの。FRBの利下げ停止・様子見はしばらく続くこと見通しで、この面からはドル安円高が急加速する可能性は小さい。

三菱UFJ銀行 井野鉄兵チーフアナリスト「『当面は緩和的環境が続く』と言い過ぎると円安が進みやすくなる。足元では円安要因で輸入物価が上がってきていて、今後も円安が続けば、輸入物価の上昇を通じて消費者物価が上振れする可能性がある。そうなると、日銀は物価の見通しを引き上げざるをえなくなり、遠くない将来の追加利上げが視野に入ってくることになる」

農水省が2月末に発表した3月の「野菜の生育状況及び価格見通し」でキャベツを見ると、「主産県において、冬作は12月から2月の少雨の影響により小玉傾向となっており、出荷数量が平年を下回る状況が継続する見込み」「春作は千葉県産・神奈川県産において、12月から2月の少雨、2月の低温により生育が遅延している」「全体として、春作の出荷により徐々に回復傾向であるものの、3月の出荷数量は平年を下回り、価格は平年を上回って推移する見込み」という、厳しい状況。3月はキャベツ、はくさいなどが引き続き高値傾向で推移する見込みの一方、きゅうり、なす、ピーマン等を中心に平年並みの価格で推移する品目が増える見込みだという。

金融市場には、ドイツの次期政権が基本法(憲法)を改正して「債務ブレーキ」による財政支出額への縛りを緩和し、景気テコ入れ策や国防費上積みに向けた道筋を明確にするのではないかという期待感がある。だが、CDU・CSU、SPDに緑の党を加えた3党では、基本法改正に必要な3分の2の議席に届かない見通し。今回選出された議員に入れ替わる前、3分の2が確保できている現在の議会の状態で改正に踏み切る荒業や、基本法改正はいったんあきらめて過半数の賛成で「債務ブレーキ」を一時停止するといった選択肢が取り沙汰されている。いずれにせよ、米国のトランプ政権とEUが対峙していく上ではドイツの財政支出拡大は不可欠とみられる。

今後も金融政策の正常化を進めていく姿勢を示した内容だと感じたが、市場が大きく反応したのは“ゆっくり”ということばだった。タカ派のイメージがある田村委員が追加の利上げについて踏み込んだ発言をせず、“ゆっくり”ということばを使ったことで、利上げまでの道のりは遠いと受け止められたのだ。講演を受けて円相場は急落。政府・日銀は三者会合を実施し、円安をけん制しなければならなくなった。講演後の記者会見で、“ゆっくり”の真意を問われた田村委員は「現在の経済物価見通しを前提にすれば、米国のように1年で5%利上げといったようなことになるとは考えていない」と語った。

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