TV離れ 地方局問われるかじ取り
インターネットの普及などで、新聞などの紙媒体とともに「テレビ離れ」も加速しているといわれている。収入減に見舞われ、ニュースや情報の取材拠点の維持に苦慮する民放地方局も多い。そんな中、愛媛県ではライバル関係にある4社が共同で支局を置くという全国でも珍しい取り組みが始まっている。地元に根差したニュースを途絶えることなく届け続ける工夫が注目されている。
タレント中居正広さんと女性とのトラブルに社員が関与したなどと報じられたフジテレビが窮地に立たされている。他局にとってはライバルの陥落は追い風となりそうだが、見通しは決して明るくない。別のキー局で勤める局員からは「色々と気付かれてしまう」と不安を隠さない。静岡県を含む地方局への影響も大きいという。
ここ数年で、この状況は大きく変化した。民放は22年4月から、19~23時ごろに放映する番組について、テレビ放送と同時に、TVer(ティーバー、東京・港)が運営する無料動画配信サービス「TVer」を使ってリアルタイム配信を開始。月間ユーザー数(MUB、月間ユニークブラウザー数)が23年1月に2700万を突破するなど、TVerのユーザー数は順調に伸びている。
「キー局の分配金がなくなると経営難に陥る地方局は少なくありません。キー局が分配金を廃止し、地方局に必要最小限の記者やディレクター、カメラマンやアナウンサーだけを残して、キー局の支局のような形にする方法は一案に上がっています。地方局で取材体制と小規模なスタジオだけ維持しておけば、大きな事件事故があった時も対応できますから。ただ、それが現実になると、当然ながら地方局の局員は大幅に減らされることになります」
フジテレビの問題はフジテレビだけにとどまらない。ライバルとなるキー局も地方局も影響が避けられない。取材に応じた局員は「フジテレビだけではなくテレビ業界全体の大ピンチです。斜陽業界だと感じていましたが、衰退するスピードが速くなりそうです」とため息を漏らした。
さらに、この局員は無関係に思われがちな地方局への影響も大きいと話す。その理由は、テレビ局の収益構造にある。地方局は系列キー局が販売したCMを流すことで分配金を得る仕組みになっている。地方局の収益に分配金が占める割合は高く、キー局のCM販売に大きく左右されるのだ。つまり、キー局のスポンサー離れは地方局にも死活問題となる。
さらに、地方局にとっての不安の種は、もう1つあると前出の局員は指摘する。フジテレビの問題が露呈する前から、キー局の広告収入は大幅に落ち込んでいる。そこで、分配金を減らすために「地方局を支局化」する案が何年も前から出ているという。
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