トランプ氏、米景気は「移行期」

FXブログ
トランプ氏、米景気は「移行期」
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 トランプ氏、米景気は「移行期」

A. トランプ氏の経済政策の柱は「減税」である

減税策を巡って、トランプ氏は2025年中に減税予算を議会で成立させ、2026年以降の実現を目指すと考えられる(関連法案が成立しなければ、既存のトランプ減税は25年末に自動的に失効)。前述したように、上下院を共和党が支配してもその議席数の差が僅差の場合、財政再建を志向する共和党議員は大幅な減税に慎重な姿勢を示すかもしれない。実際、トランプ氏が2016年の選挙戦で主張した減税策は総額4.5兆ドルと試算された一方、実現した政策の規模は2.3兆ドルと半分程度に留まった(政権前半は上下院とも共和党が第一党)。

A. トランプ氏の経済政策の柱は「減税」である。超党派の「責任ある連邦予算委員会(CRPB)」の試算に基づくと、その減税総額は今後10年間で10.4兆ドル(GDP比:2.8%)に達する。具体的には2025年末に失効するトランプ減税の延長・修正(トランプ前政権が2017年12月に成立させた「減税・雇用法」;GDP比:1.5%)、残業代に対する免税(同、0.5%)、年金等の社会保障給付に対する免税(0.4%)など、広範な減税策を掲げる。また、既存政策の継続であるトランプ減税を除いた場合においても、新規の減税規模は5.1兆ドル(1.4%)と試算される。なお、トランプ氏はこうした減税の主な財源として後述の関税策等を指摘するものの、歳入増は総額3.7兆ドル(1.0%)と減税規模を下回る。

A. 選挙キャンペーン中の公約は「有権者へのアピール」の要素が強く、大統領の意向のみで全てを実行に移せるわけではない。米大統領には法案提出や予算策定の権限はなく(成立法案への拒否権はある)、一部の関税策を除き、多くの公約は議会での可決が必要となる。なお、大統領選と同時に実施された議会選では共和党が上院を制したほか、下院でも優勢とみられている。とはいえ、仮に共和党が制する場合においても、両党の議席数の差が僅差であれば、一部の共和党議員の反対によって政策の実現性が不透明となる。また、下院を民主党が支配する場合、トランプ氏の政策実現に向けた大きな障害となるだろう。

通商政策を巡って、対中関税の引き上げは議会審議を経ず、大統領令で実現できると考えられる。既存の通商法では「安全保障上の脅威の除去」や「不公正な貿易慣行の是正」を理由に、追加関税の発動権限が大統領へ付与されており(通商法232条や301条)、実際にトランプ前政権はこれを活用した。加えて、通商法122条に基づくと、10%の一律関税も最長150日間は大統領権限で実現可能とみられている(恒久的な一律関税を実現するためには議会での関連法案の成立が必要となる見込み)。トランプ氏は一部品目に対する対中関税策を早期に実現するリスクがあるものの、経済的な影響が大きい広範な品目への対中関税の大幅引き上げ、及び一律関税にどの程度本気であるかは不透明だ。これらの過激な保護主義政策は米国の輸出拡大、及び海外企業による米国への投資(工場建設)を促す交渉材料に過ぎない可能性もある。なお、トランプ氏は2016年の選挙戦にて対中関税45%を主張した一方、実際の退任時の対中関税率は20%程度に留まった。

一方、先行きの経済動向を占ううえでは、トランプ氏のキャッチフレーズである「MAGA(Make America Great Again)」に関連する政策も重要となる。具体的には通商政策として「対中関税60%」と「それ以外の全輸入品に対する一律10%関税」、及び移民政策として「合法・不法を問わない移民流入の抑制」が挙げられる。トランプ氏は保護貿易政策で国内への製造業回帰を促すほか、移民抑制策を通じて、移民に奪われた仕事や政府予算をアメリカ国民へ取り戻すと主張する。しかし、保護貿易政策は輸入物価の上昇とこれによる消費減少、移民抑制は接客業や建設業における人手不足の深刻化を招くとの見方が多い。

弊社は、トランプ氏の関税引き上げ政策について、中国に対しては、米国のサプライチェーン(供給網)から中国を切り離すデカップリング(分断)政策の一環と考えており、40%程度まで関税が引き上げられる公算は大きいとみています。ただ、他の国に対しては、通商や投資の面でより良い条件を引き出すための交渉術にとどまり、一律10~20%の輸入関税導入は回避されると考えています。

CBOが指摘している通り、米国は過去50年以上にわたって、トランプ氏が公約に掲げるような大幅な関税の引き上げを実施していないため、その影響に関する実証的証拠はほとんど存在しておらず、前述の推定値は不確実性が高いといえます。ただ、CBOの分析にあたっての基本的な考え方や、関税引き上げ後の予算や実質GDP、物価の方向性は、今後の相場をみる上で参考になると思われます。

ドナルド・トランプ米大統領は9日、米国経済が今年縮小してリセッション(景気後退)入りするか問われた際、その可能性を排除しなかった。そのうえで自身の包括的な経済政策が短期的な混乱を引き起こすことは考えられるとし、それが将来の繁栄につながるだろうと述べた。米FOXニュースの「サンデー・モーニング・フューチャーズ」に出演したトランプ氏は、年内のリセッション入りを想定しているか聞かれ、「そういったことを予想するのは嫌いだ。われわれが行っていることは非常に大きいので、移行期間がある」と答えた。トランプ政権は新たな関税や移民制限、規制緩和、そして政府雇用と税金の削減に焦点を当てた政策を打ち出し、経済の抜本的な改革を推進。また多くの連邦プログラムで、支出削減を目指している。多くの企業が同氏の幅広い政策を歓迎している一方で、メキシコやカナダなどの主要貿易相手国に対する関税を巡っては不確実性が生じ、市場に動揺も見られる。トランプ氏はここ数カ月だけでも、関税の導入提案と延期を何度も繰り返している。

トランプ氏は9日、米経済の年内のリセッション(景気後退)入りを予想しているかとの質問に、「私はそのようなことを予測するのは嫌いだ。われわれは非常に大きなことを行っているので過渡期がある」と発言。また7日には、ベッセント財務長官が財政支出が抑制される中で「この先はデトックスの期間になる」と述べていた。

まず、トランプ氏の経済政策に関する主要な発言を分析し、その政策方針を明確化する。次に、これらの政策が実行された場合の「想定内シナリオ」におけるドル円相場への影響を、金融政策、財政政策、通商政策の観点から分析する。続いて、予期せぬ事態が発生した場合の「想定外シナリオ」について、地政学的リスクや国際金融市場の急激な変動などを考慮した分析を行う。最後に、各シナリオの発生確率をAIモデルによって算出し、より現実的な予測の提示を目指す。なお、本分析ではLLMの特性を活かし、膨大な過去データと最新の市場動向を組み合わせることで、より精度の高い予測の実現を図っている。

トランプ大統領が仕掛けた対中貿易戦争の背景には、中国やメキシコなど低賃金労働が生み出す製品との競争によって打撃を受けた米国の伝統的製造業とそこで働く白人ブルーカラー(労働者階級)を救う、という狙いがあった。そうした方針こそが、2016年にトランプ氏が大統領選挙を制する大きな原動力となったのである。

まず、「トランプ氏の経済政策についての発言をまとめてください」とAIに指示したところ、税制政策では法人税改革として国内生産企業の法人税率を21%から15%に引き下げ、2017年の減税措置の恒久化、チップ収入や社会保障給付への課税廃止が提案された(図表1)。個人向け減税としては、所得税の最高税率引き下げの継続、残業代への課税廃止、州・地方税の税額控除の見直しが示された。貿易・関税政策では、全輸入品に対して10~20%の一律関税導入、中国からの輸入品に60%以上の関税、メキシコからの自動車輸入に200%の関税を検討という強硬な包括的関税措置が提示された。エネルギー政策については、石油・天然ガスの国内掘削の大幅拡大、エネルギーコストと電気料金の1年以内での半減、パリ協定からの再度離脱方針が明らかにされた。製造業政策では、国内回帰促進として連邦所有地への低規制製造特区設置、研究開発税制控除の拡充、国内生産企業への優遇措置強化が提案されている。

このように、トランプ氏の関税引き上げ策は、米国経済にとって良い面と悪い面を持ち合わせていると考えられますが、米議会予算局(CBO)は2024年12月18日、トランプ氏が公約に掲げた中国製品への60%の関税と、そのほかの国・地域への一律10%の関税が実現した場合の試算を公表しました。具体的には、予算と経済(実質GDPと物価)への影響および分配効果についての見解が示されました(図表)。

コメント

タイトルとURLをコピーしました