中野サンプラザ再開発 白紙 に
事業者は住居やオフィス、商業施設、ホールなどからなる大規模な複合再開発をめざしていた。総事業費は2639億円を見込んでいたが、工事を請け負う予定だった清水建設は24年、資材費の高騰などを理由に事業費が900億円超上振れする見積もりを示した。野村不は採算が合わないとして、計画の見直しを進めた。
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区は2021年、再開発事業者に野村不動産、東急不動産、住友商事、JR東日本、ヒューリック(24年に離脱)を選定し、基本協定書を締結した。区は協定に基づく事業者との協議は継続しない方針を事業者に申し出る。
再開発が進まない理由は、資材や人件費の高騰による度重なる建設費用の見直し。
同社側は当初、7000人を収容可能なホールのほか、住宅やオフィスを備えた超高層ビルを建設する計画だった。区は、外部有識者による審査を経て複数の事業者グループの中から同社側の案を採用し、2021年5月、事業予定者として協定を締結した。
しかし、資材や人件費の高騰の影響で、工事費が想定を900億円以上も上回ることが昨年10月に判明した。同社側は今年2月までに、ビルの高さを下げて工事費が抑えられるツインタワーにするなどの変更案を区に提示した。だが、審査を経て決まった当初案から大幅な変更となったことなどから、このまま事業を進めることへの疑問の声が区議会などから上がっていた。
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計画見直しが決まった中野サンプラザ(東京都中野区、2023年7月閉館)跡地の再開発事業を巡り、中野区は、野村不動産などの事業予定者に対して基本協定の解除を申し入れる方針を固めた。解除されれば再開発計画は白紙となる。区は11日の区議会常任委員会で方針を表明する。
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野村不は1月、事業費を抑えるため高層棟の建設を1棟から2棟に変更する方針を示した。ただ、2棟を建てる案は21年の公募時に次点の企業が提案していた。区の資料によると「当初提案の継承において、公平性・中立性に課題がある」とした。
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「東京都内に限らず、地方でも運営事業者が破綻したり経営が悪化したり、跡地の再開発計画が決まらなかったりして、大規模な建物が数年間、閉鎖されたままの状態で廃墟化しているケースというのは起きています。ここ数年の建設費高騰がそれに拍車をかけている面もあります。中野サンプラザ跡地もいくら中野駅前という好立地とはいえ、ここまで建設費が高騰すると、なかなか手を出せる事業者というのも出にくいでしょう。建設費用を回収するためにはオフィスであれば賃料、マンションであれば販売価格を引き上げなければならないので、きちんと運営して採算を取るということの難易度は高まってきます」
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中野サンプラザは23年に閉館した。再開発は隣接する旧中野区役所と合わせて24年度中に着工、29年度中の完成予定だった。
中野区が11日、区議会に提出した資料で明らかにした。区は「現時点において、事業成立性の見通しが明らかではない」ことなどを理由とした。
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