
本日のNYタイムでは2月米卸売物価指数(PPI)や新規失業保険申請件数などの発表が予定されている。同指標結果に注目も、関税をめぐる不確実性でドル円は神経質な動きが続きそうだ。
昨日に発表された2月米消費者信頼感指数(CPI)は前月から予想以上に伸びが鈍化し、発表直後は素直にドル売りで反応するも、ドル売りは続かなかった。トランプ政権の二転三転する関税政策が引き続き市場の焦点になっており、金融市場全体で神経質な動きが続いている。トランプ関税をめぐり、ドルも売買が交錯。関税絡みでの米景気鈍化警戒感がドル売りを誘っている一方で、関税による先々のインフレ再燃懸念も根強いことがドル買いを後押している。
トランプ米政権は昨日に全ての国・地域からの鉄鋼・アルミニウム製品に対し25%の追加関税を発動した。これに対しカナダや欧州連合(EU)、中国などは対抗措置を講じると表明し、トランプ米大統領は米製品に対し報復関税を課せばさらなる関税で対応する考えを示した。関税の影響で米国の輸入品の価格上昇が物価高につながるとの見方が広がるとともに、貿易戦争の激化が警戒されている。
ドル円は昨日に149円前半まで上昇するも、本日は147円半ばまで戻され、150円が遠いことが示された。ドル円は神経質な動きが継続するも、日銀の早期利上げ観測を背景とした日米金利差縮小の見方が上値を圧迫し、下方向への動きが警戒される。
・想定レンジ上限
ドル円、日足一目均衡表・転換線148.92円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、11日安値146.54円が下値めど。
(金)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
引き続きの注目点はやはり米国の金利動向 金融政策の見通しです
日米をはじめとする世界景気への過度な不安が和らぎ、金融市場は落ち着きを取り戻しています。足元の企業業績が堅調に推移していることも、そうした不安を退ける背景になっていると考えられます。では、先々の企業業績に対する市場(アナリスト)の見通しがどうなっているかというと、日米欧の中で、もっとも強気に傾いているのは日本です。為替の円高進行や将来的な追加の利上げ観測が存在するにもかかわらずです。その一方で、8月の急落後の日本株の戻りは道半ばの状態にあります。このような企業業績の見通し(期待)が揺るがない限り、業績堅調であるがゆえの自社株買いを伴いながら、日本株は一定の底堅さをもって推移すると想定されます。
日経平均株価の構成銘柄の約7割が下落し、TOPIXは前日比マイナスとなる一日でした。ただ、外部環境は良好で、堅調な米国株と為替の円高一服が目先の日本株をサポートすると見られます。引き続きの注目点はやはり米国の金利動向、金融政策の見通しです。米国のファンダメンタルズが利下げペースを加速させるほど弱くなく、減速させるほど強くない、程良い状態にあるのか―来週は米小売統計が一つの判断材料となります。日米ともに選挙が近づくにつれて、相場展開は神経質なものになっていく可能性がありますが、一方で米国経済・市場の安定を背景に、短期的には日経平均株価が7月以来の4万円台にトライする場面も見られるかもしれません。
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