
14日の香港市場はもみ合う展開か。13日に発表された米国の2月生産者物価指数(PPI)の伸びが鈍化したことで米利下げ期待が高まったものの、トランプ米大統領が欧州連合(EU)から輸入されるアルコール類に200%の関税を課すと警告したことで貿易摩擦懸念が一段と強まった。トランプ政権の関税政策と各国の報復措置の応酬が激化し、貿易戦争の長期化、世界経済への影響への懸念が重荷となりそうだ。また、中国では週明けに小売売上高や鉱工業生産など主要経済指標の発表が控えており、様子見ムードが強まる可能性もある。
一方、香港市場は前日まで5営業日続落した後とあって、買い戻しの動きが下値を支えるだろう。13日のNY市場で、香港市場で売られていた中国大型ネット株のアリババ集団(09988)、美団(03690)、テンセント(00700)の米国預託証券(ADS)がそろって香港終値を上回って引けた。きょうの香港市場でこの流れを引き継いだ場合、大型ネット株の上昇が指数を押し上げる要因になりうる。また、決算発表や業績見通しを受けた個別物色が引き続き活発となりそうだ。きょうは理想汽車(02015)やシノペック煉化工程(02386)などが決算を発表する。
13日のNY市場でダウ平均は537米ドル安と4日続落した。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は反落。多くの機関投資家が運用指標にするS&P500種株価指数も反落し、2月19日に付けた終値の過去最高値から10.13%安となり「調整相場」入りとなった。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
年間見通しは2.6%で変わっていない
DBS銀行のシニアエコノミスト、ハン・テン・チュア氏は「通年の見通しは、特にトランプ2.0による関税引き上げと貿易政策の不確実性による地政学的な緊張の高まりから、かなりの下方リスクに直面している」と指摘した。
1-3月(第1四半期)および4-6月(第2四半期)の成長率はそれぞれ4.1%および3.9%と予想され、昨年12月調査でのそれぞれの3.5%から上方修正された。年間見通しは2.6%で変わっていない。
今回のトランプ大統領が署名した「相互関税」の対象国は、ドイツやインドなど米国より比較的高い関税をかけている国のほか、日本のように規制など非関税障壁がある国を主な対象として想定しているようだ。今後、米国に輸入される自動車、半導体及び医薬品への関税措置が表明される見通しのため、関連銘柄は様子見姿勢が強まりそうだ。指数インパクトが大きい半導体株や、時価総額が大きい自動車、医薬品株の動向が重くなることで、日経平均及びTOPIXは影響を受けよう。
投資情報会社・フィスコが、株式市場の2月10日~2月14日の動きを振り返りつつ、2月17日~2月21日の相場見通しを解説する。
中国では、金融政策は緩和スタンスに変化はないものの、流動性環境が大きくタイト化したことや、株式市場が底堅く推移する等センチメントが改善傾向にあったなか、利回りは上昇基調で推移した。先行きは、全人代がおおむね市場の想定並みの内容となり、米国による追加関税懸念がくすぶるなかでは、景気の見通しに対するダウンサイドリスクが意識されるとともに、緩和的な金融政策が意識される状況に変化はないことなどから、中国国債利回りはもみ合いながら低下する展開を予想する。
エコノミストは7-12月(下期)のシンガポールと香港の成長見通しを引き下げた。中国の輸出品に対するトランプ米政権の高関税で不確実性が増したことを織り込んだ。
調査によると、香港の第3、第4四半期成長率見通しは、2.6%と2.4%と、従来予想の3.2%と3.1%から引き下げられた。第1、第2四半期の見通しは、ほぼ0.5ポイント引き上げられ、それぞれ1.7%と1.8%。
■トランプ関税を横目に先物買いで39500円台まで上昇今週の日経平均は週間で362.41円高(+0.93%)の39149.43円と上昇。トランプ関税の行方を横目に見る神経質な地合いが続いたが、週末の2月限オプション特別清算指数(SQ値)算出に絡んだ思惑的な先物買いに押し上げられ39000円台で取引を終えた。トランプ米大統領が自動車や製薬業界などについては相互関税の免除を検討していると伝わったほか、週末の2月限オプションSQ値算出に絡んだ先物買いなどが観測され、日経平均は13日に39500円台まで上昇する場面がみられた。週末は、SQ通過で思惑的な売買がはく落したほか、トランプ大統領が、外国が米国製品にかけている関税と同水準まで米国の税率を引き上げる「相互関税」の導入を指示する覚書に署名したことなどから積極的な買いは一服。日米金利が上下に振れて為替が荒い値動きとなったことも影響し、週末の日経平均は売り買い一巡後、39300円水準でのもみ合いとなった。ただ、企業決算がピークを迎え、プライム市場の売買代金は連日で5兆円前後を記録。ソニーグループなど好決算銘柄が素直に買われるなど、投資家の良好な心理状態は確認できた。なお、2月第1週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を2821億円売り越したほか、TOPIX先物を400億円売り越し、225先物を2000億円売り越したことから、合計5221億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を5051億円買い越すなど合計で5071億円買い越し。事業法人は現物を2934億円買い越した。■関税見極めムード強く半導体や自動車などは動きにくい14日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は前日比165.35ドル安の44546.08ドル、ナスダックは同81.13ポイント高の20026.77で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比横ばいの39110円で取引を終えた。トランプ大統領が署名した「相互関税」の対象国は、ドイツやインドなど米国より比較的高い関税をかけている国のほか、日本のように規制など非関税障壁がある国を主な対象として想定しているようだ。今後、米国に輸入される自動車、半導体及び医薬品などへの関税措置が表明される見通しのため、関連銘柄は様子見姿勢が強まりそうだ。指数インパクトが大きい半導体株や、時価総額が大きい自動車、医薬品株の動向が重くなることから、日経平均及びTOPIXは影響を受けよう。為替市場でも米経済指標や日本銀行による追加利上げ観測などから、一時1ドル150円台までドル安円高に振れた後、154円台まで戻るなど振れ幅が大きくなっている。為替の乱高下を受けて、積極的な売買は手控えられそうだ。決算発表もピークを迎え、来週は証券会社によるアナリストレポートを材料とした物色が中心となり、指数の方向感は乏しくなると考える。■国内経済指標次第では利上げ観測がより強まる可能性も日本の長期金利の指標となる10年物国債利回りは、一時1.37%と2010年4月以来の水準まで上昇する場面がみられた。1月の米消費者物価指数が市場予想を上回り米金利の高止まりが意識されたほか、日銀による追加の利上げ観測も材料視されている。来週は17日に第4四半期実質GDP1次速報値、21日に1月消費者物価指数と重要な経済指標の発表を控えており、市場予想よりも強い数字が出た場合、日銀による利上げ観測がより強まるなど金利押し上げ材料となろう。足下の10年物国債利回りの上昇を材料としてメガバンクなど銀行株が強含む展開とはなっていないが、トランプ関税で半導体株の上値が重くなる一方、銀行や保険など金融株が相対的にしっかりとした推移となれば、ややTOPIX優位の地合いとなろう。■17日に日本の第4四半期GDP速報値発表来週、国内では、17日に第4四半期実質GDP1次速報値、12月鉱工業生産(確報値)、第3次産業活動指数、19日に12月機械受注、21日に1月消費者物価指数などが予定されている。海外では、17日に欧・ユーロ圏12月貿易収支、18日に豪・中銀政策金利、英・1月失業率、失業保険申請件数、12月ILO失業率、独・2月ZEW景況感指数、欧・2月ユーロ圏ZEW景況感指数、米・2月NY連銀製造業景気指数、19日に豪・第4四半期賃金指数、NZ・中銀政策金利、中・1月新築住宅販売価格、英・1月消費者物価指数、小売物価指数、生産者物価指数、米・1月住宅着工件数、FOMC議事録、20日に豪・1月雇用者数、失業率、中・中国最優遇貸出金利(ローンプライムレート)、トルコ・中銀政策金利、米・2月フィラデルフィア連銀景況指数、週次新規失業保険申請件数、1月景気先行指数、週次原油在庫、21日にNZ・1月貿易収支、英・1月小売売上高、仏・2月企業景況感、製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、独・2月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、欧・2月ユーロ圏製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、英・2月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、カナダ・12月小売売上高、米・2月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、コンポジットPMI(速報値)、ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)、1月中古住宅販売件数などが予定されている。
コメント