賃金の男女格差878万円 過去最小
原告は十三人。裁判までの十数年、組合を通じて「昇格・賃金差別をやめて」とたたかってきました。それでも是正されないので提訴したのが九三年十二月。裁判が始まって原告はびっくりしました。会社はとつぜん、原告らの入社時から、男性には「基幹的業務」、女性には「定型的補助的業務」をおこなわせていたといいだしたのです。「入社して三十八年、一度もいわれたことがないんですよ」。原告の一人堀好子さん(名古屋駅前支店)はいいます。
図表2に、日本を含むG7と韓国の男女間賃金格差の推移を示した。各国において、男女間の賃金差が、男性の賃金の何%に相当するかを示すもので、グラフの上に行くほど格差が大きい。日本(赤色)は韓国(緑色)と比べると差が小さいが、他のG7諸国に比べると差が大きいことが分かる。
コース別が入ってきたのは八七年。こそくなやり方でした。男性に適用してきた賃金表(総合)と女性の賃金表(一般)を、名前だけ「総合職」「一般職」に変えたのです。制度の説明もせず、従業員個々にコース選択の確認もなく、男性は全員が総合職、女性は全員が一般職に配置されました。このため、野村証券ではいまも一般職は全員が女性。「単純明快な男女差別」といわれるゆえんです。
経済協力開発機構(OECD)の2022年のデータによると、日本は男性の賃金を100とすると、女性は78.7しか稼いでいません。この格差はOECD平均の2倍近くです。
【関西テレビ・加藤さゆりデスク】「日本は2022年から賃金格差の開示は義務化されていますが、その格差の説明までは義務化されていません。一方、北欧では、格差の説明まで義務化されており、賃金格差があった場合は、3年以内に調査が必要で、調査をしなかった場合は罰則が付くといったこともあります」
男女間賃金格差の解消は、一部の優秀な女性社員を管理職登用するだけでは解消しない。女性社員が出産後に退職したり、基幹的なキャリアコースから外れたりすることを防ぐなど、女性社員全体が、ライフイベントを経ても働き続け、男性同様にキャリアアップしていけるように、雇用管理や人事制度全体を見直す必要がある。
1 同調査では、「賃金」は所定内給与額であり、所得税などを控除する前の金額。残業代は含まれない。2 坊美生子(2023)「『106万円の壁』だけではない主婦の就労を妨げるもう一つの壁~働いても老後の年金には男女格差」(研究員の眼)3 ただし、企業によっては「男女間賃金格差の解消」だけ女性活躍の土壌を整えたと言いきれない場合もある。例えば男女間賃金格差が小さくても、そもそも女性従業員の比率が低ければ、女性が働き続けることが難しい職場だという場合も考えられる。従って、様々な指標を用いて状況を把握していく必要がある。
野村証券では、男性社員は高卒十三年で課長代理。課長、次長、部長への道があります。でも女性は排除され、男女の年収は四百万円もの開き。「男女の賃金格差の大きい会社ランキング」ワーストワンが野村です。『日経ビジネス』誌九七年一月二十七日号によると、男女の平均年齢で賃金格差を比べたら、一位・野村証券43・9万円、二位・全日空40・8万円、三位・住友商事40・5万円…。
男女間の賃金格差解消の取り組みとして、最も多かった回答は 「評価の公平性や明確性の確保」でした。「業務の割り振りの調整」「ポジティブアクション」による賃金格差解...
女性の中では妊娠や出産を機に会社を退職し、子が成長した後に再就職するパターンも多いが、仮にフルタイムの仕事に再就職できたとしても、トータルの加入期間は短くなる上、キャリアの中断によってその後の賃金アップが抑制されれば、年金水準も抑制されることになる。パートなどの非正規雇用で再就職すると、さらに年金水準は低くなる。
「夫が仕事、妻は家事育児」という固定的な性別役割分担意識が強かった時代には、男女間の賃金格差も、年金格差も、所与の物として受け止められていたのかもしれない。妻の賃金(年金)が低くても、夫が高水準の賃金(年金)を得ているなら、家計には支障がないという見方もできる。しかし、先進諸国ではジェンダーギャップは公正、公平に対する課題だとみなされる。家庭の中で女性が弱い立場に置かれることを防ぐためにも、女性の賃金水準と年金水準を引き上げ、女性の経済的自立を促していくことが重要ではないだろうか。 今から3年後の2026年には、採用や昇進での性差別を禁止した男女雇用機会均等法施行から40年、女性活躍推進法施行から10年を迎える。女性活躍推進法は10年間の時限立法だが、図表2で示したように、日本の男女間賃金格差の縮小ペースは緩やかであり、法の趣旨が実現するまでには当分、時間がかかりそうである。ここから「男女間賃金格差」という女性の雇用に関する根本的な課題に取り組むことで、女性人材の採用、育成、登用という持続的なサイクルにつながり、女性個人も、より安心できる老後を迎えられるようになるのではないだろうか。
そのためには結局、長時間労働や転勤制度の見直しなど、男性を含めた職場全体の働き方を見直さなければならなくなる。「男女間賃金格差の解消」は企業にとって、抜本的に業務見直しと働き方改革を迫る、ハードルの高い指標と言える。逆に、それが達成されれば、キャリアを積み、スキルを培った女性人材が企業に蓄積され、女性管理職も増えていくだろう。「男女間賃金格差の解消」は、女性活躍の土台を築き、企業の事業変革に資すると期待できる 3。 ただし、筆者が「男女間賃金格差の解消」を重要視しているのは、このような企業活動や経済に寄与するためだけではなく、当然ながら、女性自身の生活水準を守る指標になるからだ。現役時代の賃金が安定すれば、老後の年金も充実し、安心した老後の暮らしにつながるためである。
しかし、女性の雇用全体を見れば、非正規雇用が過半数を占めていることなどから、「既に活躍している一部の女性を一層、輝かせるだけ」「女性労働者の間に格差が広がる」といった批判も出された。企業の現場でも、何とか「初の女性役員」「初の女性管理職」を達成したものの、登用されたのは未婚や子がいないために長時間労働が可能な女性だけで、後に続く女性人材が足りない、育児との両立を希望する女性のロールモデルにできない、といったケースがあったのではないだろうか。 それに対し、2022年施行の改正女性活躍推進法では、常用労働者301人以上の大企業に対し、「男女間賃金格差」の公表が義務付けられた。今回の女性版骨太の方針原案は、その対象を常用労働者101人~300人の企業にまで拡大することを検討する、というものである。
年金の受給金額は基本的に、現役時代の賃金と勤続年数(保険料を納めた期間)によって決まる。したがって現在は、国内の男女間賃金格差と勤続年数の格差が、老後の男女間年金格差を引き起こしている。
フルタイムで働く労働者の平均月給が2024年は33万400円となり、前の年に続き過去最高となりました。
コメント