FX「米国の1Qはマイナス成長か。独走の円が3月変調」

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FX「米国の1Qはマイナス成長か。独走の円が3月変調」

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総括

FX「米国の1Qはマイナス成長か。独走の円が3月変調」

ドル円=146-151、ユーロ円=159-164、ユーロドル=1.06-1.11

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨首位(首位)、株価18位(最下位)、独走の円が3月変調」
(円は強く、株は弱い、景気は冴えず)
 円が最強、株価は最弱という状況が続く。ただ円が独走していた1,2月と異なり、3月の円は弱い。先週は10位、3月はここまで8位。
日経平均は年初来7.12%安。利上げと円高では伸びない。デフレ脱却を目指し賃上げは続くが、実質賃金はマイナスのままだ。
 
(日銀は今週、政策変更なしか)
 日銀は今週、金融政策の現状維持を決める公算が大きい。1月に利上げしたばかりであるほか、世界経済の不確実性が増しているとの考えが背景にある。
 経済・物価は引き続き見通しに沿った動きと判断しているが、現状は前回の1月会合での追加利上げの影響を点検する段階にある。トランプ政権による関税措置などの政策が国内外の経済や物価、金融市場に与えるリスクは1月会合時点よりも高まっているという。
 一方で消費者物価は日銀目標の2%を上回って推移し、2025年春闘の賃上げ要求が32年ぶりの6%超えとなるなど賃金・物価は想定通りの改善を示しており、引き続き段階的な利上げで金融緩和度合いを調整していく局面にある。

(需給、貿易、外貨投信)
 今週の2月貿易統計は7000億円程度の黒字予想だ。原油価格が下落し輸入が減少するからだろう。
2月の外貨投信残高は86.76兆円で、1月の90.31兆円から3.55兆円減少した。2月の円高要因となっている。
 
(今週は2月消費者物価)
 今週は2月消費者物価の発表がある。1月は4.0%であったが2月予想は3.5%。コアも1月の3.2%から2.9%へ低下する予想だ

(日本の景気は強くない)
 昨年10-12月期のGDP改定値は、速報値から下方修正された。個人消費や民間在庫変動の下振れが主因。GDPの過半を占める個人消費は力強さを欠いている。
改定値は前期比年率で2.2%増と、予想(2.8%増)を下回った。前期比では0.6%増。速報値は年率2.8%増、前期比0.7%増だった。法人企業統計などを反映し、設備投資は前期比0.6%増と速報値(0.5%増)から上向き改定。一方、個人消費は0.0%増と速報(0.1%増)から引き下げられた。民間在庫変動の前期比寄与度も0.3%減とマイナス幅が拡大した。

*米ドル「通貨11位(10位)、株価(NYダウ)13位(8位)、1Qはマイナス成長か。ざわつく市場」
(ドルは弱く株価はマイナス圏)
 ドルは12通貨中11位、3つの株価指数はいずれもマイナス圏。NYダウは年初来2.48%安、ナスダックは8.06%安、S&Pは4.13%安。10年国債利回りは一時4.9%まで上昇したが現在は4.32%。

(1Qはマイナス成長なのか)
 ラトニック米商務長官は、アトランタ連銀のGDP2.4%縮小予測はばかげていると発言した。トランプ大統領は物価が下落し、金利が低下したのは共和党の政策によるものだとしているが、ただ景気が悪化しているだけで、米国が強くなっているわけではない。
 サマーズ元財務長官は、関税の脅威が横行する現在の政策アプローチが変更されない限り、景気後退の可能性はほぼ 50%、さらには景気後退のリスクがはるかに高くなる可能性があると私は確信していと述べている。最近発表された複数の米経済指標は成長の減速を示唆し、2月のISM製造業総合景況指数は停滞の領域に近づいたほか、2月の消費者信頼感指数は2021年8月以来の大幅な落ち込みを記録した。
3月のミシガン大消費者信頼感も大幅に悪化している。

(FOMC、今週は据え置きか)
  今週のFOMCでは政策金利を据え置くと予想されている。経済見通しについてより懸念を強めているかどうかの兆候を探るため、最新の経済・金利予測に注目する見通し。
フェデラルファンド金利先物市場では、6月に利下げを再開する可能性が高いとみられている。

(最近の米ドルの下落は自然な調整)
 ベッセント財務長官は、最近の米ドルの下落は単なる自然な「調整」だとして、その影響を軽視した。「トランプ氏が大統領に選出され、共和党が議会の両院で勝利した後、ドルはすでに多くの好材料を消化しており、今下落するのは当然だ」と語った。ドルは、トランプ大統領が経済成長を促すために規制を撤廃し、減税を延長するとの期待から選挙日以来上昇していたが、1月に大統領が就任して以来、ほとんどの主要通貨に対して下落している。投資家らは、一連の関税引き上げとFRBによる利下げ見通しによって煽られた経済成長への懸念がドル需要を弱めていると述べた。

(つなぎ予算案可決)
 米上院は現行のつなぎ予算が失効する14日、9月までの新たなつなぎ予算案を可決した。トランプ大統領の政策に反発する野党・民主党は、上院トップのシューマー院内総務らが賛成に回り、政府機関の一部閉鎖が回避されることになった。
法案は賛成54、反対46で可決され、トランプ氏の署名で成立する。
シューマー氏は前日に賛成に転じると表明。与党・共和党がまとめたつなぎ予算案は好ましくないが、政府閉鎖に陥れば、ホワイトハウスと政府職員削減を主導する実業家イーロン・マスク氏に再開決定の権限を与えることになると説明した。

*ユーロ「通貨2位(2位)、株価3位(2位)DAX)、ユーロ堅調、結束強まるか」
(ユーロが独走していた円に追いつきつつある)
 一時、年初来4%以上引き離されていた円に追いつきつつある。その差0.7%、ユーロ円が162.85を上抜くと逆転する。株価も欧州は強く、独DAXは年初来15.24%高(日経は7.12%安)。10年国債利回りは2.87%。年初の2.36%から上昇。

(ドイツの財政拡張案、実現にメドで安心感)
 CDUのメルツ党首は先週、財政拡張案を巡り環境政党「緑の党」の同意を得たと発表した。これにより、債務抑制を定める憲法の改正に必要な3分の2の賛成多数をわずかに上回るため、実現へのメドが付いたことになる。議会で3月18日に採決する予定。
 2月の総選挙で第1党になったCDU・CSUとショルツ首相の中道左派ドイツ社会民主党(SPD)は連立政権樹立に向けた交渉を始めている。景気回復を後押しし、防衛費を拡大するため5000億ユーロ)のインフラ基金を創設し、借入規則の抜本的な変更を提案していた。
 メルツ氏は「ドイツが戻ってきた。欧州の自由と平和の防衛に多大な貢献をする」と強調した。 合意の報道を受け、財政拡張計画によって欧州経済全体の押し上げにつながるとの期待を背景に、ユーロ圏の国債利回り、株価、ユーロが上昇した。 緑の党との合意では、インフラ基金から気候変動対策や経済の変革のために1000億ユーロを割り当てることが盛り込まれた。

(タカ派のオーストリア中銀総裁が4月据え置き支持)
 ホルツマン・オーストリア中銀総裁は、関税引き上げと政府歳出増が新たなインフレ上昇リスクにつながるとし、4月の金利据え置きを支持するとの見方を示した。 総裁は前回のECB理事会で利下げに反対したが、4月17日に開かれる次回理事会での「利下げ停止に賛成」と指摘。「これまで利下げを支持しながらも懸念を表明していた理事が、どの程度追加利下げに反対するかが注目される」と述べた。
 その上で夏にも利下げの再開が可能とし、おそらく早ければECBが新たな経済予測を発表する6月の理事会での可能性を挙げた。
 同様に、関税引き上げ、国防費増、ドイツの「債務ブレーキ」緩和がインフレ上昇を招いた場合、利上げが必要になる可能性もあると述べた。

(貿易戦争は米国に大きな打撃、欧州は結束できる)
 ラガルドECB総裁は、貿易戦争が本格化した場合、特に米国が大きな打撃を受けると述べた。その一方で、欧州の団結に向けた動きを再び活性化させる可能性があるとの見方を示した。
「貿易が大幅に落ち込むような本格的な貿易戦争に突入すれば、重大な結果を招くだろう。世界の経済成長と物価に深刻な影響を及ぼし、影響は特に米国で顕著になる」と述べた。
 しかし、こうした緊張が欧州の結束を強めるというプラスの面もあると指摘した。
 米国との貿易摩擦が欧州のエネルギーをかき立てているとし、「これは欧州にとって重大な警鐘であり、歴史的な転換点となる可能性がある」と述べた。

*ポンド「通貨5位(4位)、株価9位(8位)、政策金利は据え置き予想だが経済は強くない」
(強い欧州通貨の流れに乗っているがユーロよりは安い)
 強い欧州通貨の流れに乗っているがユーロよりは安い。年初来5位、株価は9位。10年国債利回りは4.67%。

(1月GDPは予想外に減速)
 1月のGDPは前月比0.1%減と、予想外のマイナス成長となった。工業生産が大幅に落ち込んだ。予想は0.1%増、12月は0.4%増だった。
 製造業の生産高は1.1%減少し、特に金属と医薬品セクターが不振だった。より幅広い工業部門も石油・ガス採掘の縮小による打撃を受けた。
 サービス部門の生産高は0.1%増加し、3カ月連続のプラスとなった。スーパーマーケットの売上高は増加したものの、パブやレストランでの支出は減少した。
 建設部門の生産高は0.2%減少。荒天が建設活動に影響した可能性がある。2024年下半期の不振に続き、国内外の不透明感から成長は依然として脆弱だ。

 リーブス財務相は3月26日に発表する春季財政報告で、予算責任局による最新の経済・財政予想を明らかにする。

(政策金利は据え置きか)
 今週の政策金利決定では4.50%で据え置きが予想されている。ただ先月、英中銀は今年の英国の成長予測を半分に引き下げた。成長懸念とサービス部門のインフレ上昇で悩ましいところだ。
今月下旬の春の声明では、独立予測機関である予算責任局も成長予測を引き下げる可能性が高い。

 ラムスデン英中銀副総裁は、国内の賃金圧力によりインフレ率が中銀目標を上回るリスクが高まっていると指摘する一方、利下げペースの鈍化は必ずしも必要ではないと述べた。 4Qの民間部門の賃金上昇率が鈍化せず前年比6.2%に上昇したことは驚きだったとし「これは私にとって懸念すべき動向だ」と述べた。インフレ目標に対するリスクは以前のように下方に偏っているのではなく、双方向にあると見ているとの認識を示した。

今週は1月雇用統計の発表もある。失業率は4.5%の予想(前回は4.4%)。雇用者数は6万人の増加予想(前回は10.7万人増加)

(英は報復措置を見送る見通し)
 スターマー首相の報道官は、米英は「公正かつバランスの取れた相互貿易に基づく」強固な経済関係を築いていると述べた。米政権の鉄鋼とアルミニウムに対する25%の関税に対し、英国は報復関税を課さない見通しだ。関税免除措置を確保するため、交渉を継続する考えという。

*豪ドル「通貨8位(8位)、株価15位(15位)、貿易戦争で豪は敗者に」
(豪ドルは下位グループで推移。株価も弱い)
 今年は弱いドルより強いが年間では8位と下位グループにいる。株価指数(全普通株指数)は年初来4.84%安と弱い。10年国債利回りは4.49%。

(豪は敗者か、世界的貿易戦争で)
 RBAハウザー副総裁は、米国の中国に対する追加関税が引き金となって世界的な貿易戦争が本格化すれば、豪は「敗者」になると警告し、先月に利下げを決めた要因の1つはそうしたリスクだと説明した。ハウザー氏は「豪はグローバル経済、特に中国としっかり結び付き、これに依存している。だからわれわれにとってより大きなマクロ経済上のリスクは、米国の第3国への関税発動が世界的な貿易戦争のきっかけとなり、それがわが国の幅広い貿易・金融網を損なう事態だ」と語った。
その上で、世界的な貿易戦争勃発の可能性がRBAによる4年余りぶりの利下げ決定に影響を与えたと指摘。利下げは物価上昇率が目標圏の2-3%の中心を下回るリスクも減らしたと付け加えた。
 ハウザー氏は「金融政策は時差を伴って効果を発揮するので、過去ではなく将来を見据えなければならない」と強調した。
 また、持続可能な失業率の水準は下振れしている可能性もあるが、なお労働市場が引き締まっていると判断しているとの見方を示した。

(豪の株をアンダーウェイトに格下げ)
 モルガン・スタンレーは、評価額の上昇と取引リスクにより市場がアンダーパフォーマンスになる可能性があるとして、豪株をアンダーウェイトに格下げした。

(豪のアルミニウムと鉄鋼に25%の関税)
 トランプ大統領は豪のアルミニウムと鉄鋼の輸出に対する25%の関税を維持すると決定したことを受けて、豪ドルは幾分下落する場面があった。ただ今年はここまで豪ドルは米ドルより強い。

(今週は2月雇用統計)
 今週は2月雇用統計の発表。雇用者数は3万人増加予想(前回は4.4万人増)、失業率は4.1%予想で前回と変わらず。

*NZドル「通貨6位(7位)、株価17位(17位)、3月のNZドルは強い、今週はGDP、リセッション抜け出すか」
(3月のNZドルは強い)
 3月のNZドルは強い。豪ドルより強い。先週は2位、3月はここまで5位。年間でも2月末は9位だったが6位まで順位を上げている。オア中銀総裁は辞任したが影響はなかった。
ただ株価は弱く先週は1.08%安で年初来は6.44%安。10年国債利回りは4.69%。英米の金利が低下し先進国ではNZが一番高くなっている。

(経済指標が改善)
 経済はリセッション中なので決して強くはないが、直近の指標は改善している。2月の製造業パフォーマンス指数(PMI)は53.9と、2022年8月以来の高水準となった。
好調な生産と受注に支えられ、景況改善・悪化の分岐点となる50を引き続き上回った。前月改定値は51.7。経済全体の好転を示唆している。
2024年4Qの製造業売上高は、3Qの1.60%減少から0.80%増に改善、2022年9月以来初めての増加四半期となった。
 前回も触れたように4Q小売売上が前期比0.9%増加(前回は0%)、2月企業信頼感指数が58.4(前回は54.4)、2月消費者信頼感指数は96.6(前回は96.0)で改善傾向にある。

(リセッションから抜け出すか)
 今週は2024年4QのGDPの発表がある。予想は前期比0.4%増(前回は1%減少)。増加となればリセッションから抜け出すこととなる。前年比では1.4%減少の予想(前回は1.5%減少)
その他、今週は2月サービス業PMI、4Q経常収支1Q消費者信頼感指数の発表がある。

(NZ中銀は金融緩和、政府は投資促進政策)
 NZ中銀は金融緩和、政府は投資ビザの制限緩和など人と投資流入の促進政策を打ち出している。

・海外投資のワンストップショップとして政府内に「インベスト・ニュージーランド」を設立
・裕福な移民を誘致し、経済回復を促進するため、英語能力要件の削除など、いわゆる「ゴールデンビザ」プログラムを簡素化
・ビザ規制を緩和し、観光目的で同国を訪問した人が滞在中にリモート勤務ができるようにする

テクニカル分析

*ドル円「独走の円が3月変調」
日足、ボリバン2σ下限から反発、中位には届かず。3月11日-14日の上昇ラインがサポート。3月12日-14日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向き。
週足、雲の下。ボリバン2σ下限から小反発。5週線が20週線を下抜く。9月16日週-3月10日週の上昇ラインがサポート。3月3日週-10日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、2か月連続陰線。今月もここまで陰線。ボリバン2σ上限近くから中位割れ。5か月線下向く。20か月線上向き。23年1月-24年9月の上昇ラインがサポート。25年1月-2月の下降ラインが上値抵抗。
年足、4年連続陽線、今年はここまで陰線。23年-24年の上昇ラインがサポート。1985年-2024年の下降ラインが上値抵抗。

*ユーロドル「3月ここまで首位」
日足、一気にボリバン2σ上限越え。ただそこで一服。3月7日-14日の上昇ラインがサポート。3月12日-14日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、2週連続陰線後急騰。一気にボリバン2σ上限へ。2月24日週-3月3日週の上昇ラインがサポート。9月30日週-3月10日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。月足、1月、2月は陽線で終え3月は急騰中。ボリバン3σ下限から雲中へ上昇、中位越え。1月-2月の上昇ラインがサポート。9月-10月の下降ラインを上抜く。5か月上向く、20か月線下向き。
年足、24年は陰転。25年は陽転。一時22年-24年の上昇ラインを下抜くも回復。01年-22年の上昇ラインがサポート。21年‐24年の下降ラインを上抜けるか。

*ユーロ円「ボリバン2σ下限から上限到達」
日足、ボリバン2σ下限から上限到達。雲の上。3月13日-14日の上昇ラインがサポート。1月24日-3月14日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ下限から中位越え。3月3日週-10日週の上昇ラインがサポート。1月27日週-3月10日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向く、20週線下向き。
月足、2か月連続陰線後、3月に入り急騰。23年3月-25年2月の上昇ラインがサポート。24年7月-25年1月の下降ラインを上抜くか。5か月線、20か月線下向き。
年足、5年連続陽線。今年は陰線スタートも下ヒゲを伸ばしてきた。23年-24年の上昇ラインを下抜くも回復。抜き返せるか。20年-22年の上昇ラインがサポート。

情報提供元:FX湘南投資グループ
本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたしま す。また、本レポートに記載された意見や予測等は、今後予告なしに変更されることがございます。 なお、本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、FX湘南投資グループグならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。
 
[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル FX「米国の1Qはマイナス成長か。独走の円が3月変調」

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