日銀が追加利上げ見送り 05維持
日銀は19日の金融政策決定会合で、政策金利を維持することを決めた。無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%程度で据え置く。トランプ米政権の関税強化と対象国による報復関税で世界経済の減速懸念が高まっており、国内の経済や物価への影響を見極める。植田和男総裁が午後に記者会見し、政策決定の理由を説明する。
声明文では、日本の経済・物価は日銀の見通しにおおむね沿って推移しているとした上で、先行き見通しが実現していく確度は高まってきていると指摘。2%の物価安定目標の持続的・安定的実現の観点から、緩和度合いの調整が適切と判断したと説明した。基調的な物価上昇率は2%に向けて徐々に高まってきているとしている。
日銀は1月23~24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利を0.25%から0.5%に引き上げると決めました。同時に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、26年度までの物価見通しを引き上げたこともあり、金融市場参加者の間ではこの先も利上げが続くとの見方が強まりました。日銀の政策金利の影響を受けやすい2年債などを中心に国債利回りは上昇しました。
アセマネOneの村上氏「日銀利上げは失敗、日本株にはネガティブ」
日銀、追加利上げ見送り トランプ氏の関税政策など「不確実性高い」
インフレ圧力による利下げペースの減速、さらには利下げ停止となれば、株価にはマイナス要因になりそうです。一方、外国為替市場はドル円相場でみれば日銀が利上げ局面にあることから過度の円安・ドル高は見込みにくいと考えられるものの、FRBの利下げペースが鈍化することになれば、ドル高圧力も一定程度強まることも予想されます。
衆議院選挙で自民党・公明党の与党が過半数の議席を獲得できなかったことで、11月11日に召集される国会では石破内閣は少数与党内閣(政権を担う与党が議会の過半数の議席を獲得していない状態での内閣)となる公算が大きくなってきました。今回の衆議院選挙で議席を減らした石破政権にとっては、2025年夏に実施される参議院選挙で勝利することがこれまで以上に重要になります。この観点から、政府が、景気に対するリスクとなりかねない利上げを慎重に実施するよう、日銀に働きかける可能性があると考えられます。この点をふまえると、日銀による0.75%への追加利上げは2025年夏以降に実施される公算が大きいと見込まれます。
これらの政策は、景気やインフレには押し上げ効果をもたらすとみられることから、株式市場にとっては、株価上昇要因となります。その一方、債券市場では国債需給の悪化とインフレ期待の上昇を通じて長期金利を押し上げる可能性が高いとみられます。仮にこれらの減税・給付金による需要創出効果が小さめであり、一方で、長期金利上昇によって金融環境がタイト化してしまう場合には、日銀が追加利上げを実施しにくくなるリスクがあります。
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日銀は経済や物価が想定通り推移すれば政策金利を引き上げる方針を堅持している。2025年春闘で大企業を中心に賃上げ率が前年同様の高水準となっているのは利上げに追い風だ。トランプ政権による追加関税の対象が、25%の措置を発動した鉄鋼やアルミにとどまらず自動車などに広がれば、国内基幹産業の打撃は大きく、日銀は関税の応酬の行方を注視することを優先する。
エコノミスト調査では、日銀が政策金利を今年もう1回、来年は1回、それぞれ0.25ポイント引き上げると見込まれている。追加利上げが行われた場合、公定歩合が政策金利だった新日銀法施行前の1995年以来の水準となる。
金融市場では、3月18~19日の日銀金融政策決定会合で追加利上げの見送りが決まるとの予想が大勢だ。日経QUICKニュース社が「日銀ウオッチャー」を対象に実施したアンケート調査(6~10日)によると、回答した全28人が政策の現状維持を予測した。
日銀の植田和男総裁は12日午前に出席した衆院財務金融委員会で、上昇が続く長期金利について「市場の見方と私どもの見方に大きな齟齬(そご)はない」と語り、金利上昇を強くけん制しなかったと受け止められた。
新たに付け加えられたこの文言は、日銀が利上げについて短期的に様子見を続ける可能性があることを印象付けるものと言えるでしょう。
次週18~19日に開く日銀の金融政策決定会合で、政策金利は据え置かれるだろう。注目は次の追加利上げの時期がいつかだが、足元では輸入物価の上昇につながる円安・ドル高が一服しているほか、株式相場が軟調に推移している。利上げを急ぐ姿勢を示す可能性は低く、円相場への影響は限られそうだ。
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