
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、トランプ関税と報復関税、ウクライナ停戦を巡る協議の進展、そしてトルコ政情不安などを見極めていくことになる。
ユーロドルは、欧州やドイツの財政拡大政策への転換を受けて1.09ドル台まで上昇したものの、1.10ドルの大台の手前で伸び悩んでいる。
ポンドドルも、タカ派的なイングランド銀行金融政策委員会(MPC)声明にも関わらず、1.30ドル台では伸び悩む展開となった。
今後は、トランプ関税による欧州や英国の景況感、ウクライナ停戦を巡る米国、ロシア、ウクライナ、北大西洋条約機構(NATO)の関与を見極めていくことになる。
本日は、エスクリバ・スペイン中銀総裁の講演が予定されている。
先日、エスクリバ氏は、「インフレと経済成長に関するECBの想定は、どちらの方向にも大きなリスクに直面している」「このような不確実性により、今後の金利動向を予測することは不可能だ」と述べていた。そして、「政策立案者は米国の関税や欧州の急速な再軍備計画がもたらす波及効果を、まだ評価中であり、4月の政策委員会会合に向けて選択肢を残しておく必要がある」と述べた。
本日は、相互関税の発動に向けた欧米通商摩擦や米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果に対する見解にも注目しておきたい。
また、トルコの政情不安により暴落したトルコリラ防衛のためのトルコ中央銀行による緊急利上げの効果、などトルコ発のリスクシナリオにも警戒しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0955ドル(3/18高値)
・ユーロ円:162.33円(3/20高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0766ドル(3/6安値)
・ユーロ円:160.26円(日足一目均衡表・雲の上限)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
投資家が短期的な見通しに多くの確信を持つのは難しい」と語った
【ワシントン=田中宏幸】米国のトランプ大統領は13日、貿易相手国が高い関税を課している場合、その国からの輸入品への関税を同水準まで引き上げる「相互関税」の導入を検討することを関係省庁に指示した。米国よりも高い関税を課している国に加え、国内の規制などで「非関税障壁」があると米国が認めた日本も検討の対象となる見通しだ。
米商務省や米通商代表部(USTR)は今後、相手国ごとに問題点を調査し、適用すべき関税率を算出する。ラトニック米商務長官は「我々は各国と個別に交渉していく」と述べた上で、4月1日までに相互関税の導入に向けた調査が全て完了するとの見通しを示した。
また、米ホワイトハウス高官は「日本の関税は比較的低いが、高い構造的障壁がある」と述べ、日本も検討対象になるとの見通しを示した。
植田氏は、リスク要因として、米国のトランプ政権の高関税政策を念頭に「各国の通商政策の動き」を挙げた。その上で、「米国経済が世界経済に及ぼす影響、日本経済に及ぼす影響を見極め、物価・経済見通しに影響を及ぼすかを精査して政策を決めていく」と述べた。
今回は3カ月ごとに発表されるFRB経済リポートも発表され、特にFOMC参加者の金利見通し分布を示す「ドットチャート」が注目された。中心値が年内利下げ2回ということが特に報道されたものの、「関税インフレ」の影響を誰も予測できない時点での金利見通しなど、それこそ「無力感」に満ちた数字と受け止められてしまう。
ミラー・タバクのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マット・メイリー氏は「全般的に不透明だとしか言いようがない」と指摘。「ホワイトハウスからありとあらゆる発言が出てきて、市場に影響を与えている。投資家が短期的な見通しに多くの確信を持つのは難しい」と語った。
FRBの経済見通しについても「現在のように極めて不確実性の高い経済環境で、予測を変えるということは、率直に言って無力感もある。長期的な見通しは変わらず、という程度にしておけば無難だ」と本音をちらつかせた。
コメント