まもなく万博 ホテル需給がひっ迫
ホテル側が清掃員向けに用意する指示書は、宿泊客の人数だけでなくタオル追加といった個別の要望も含まれる。繁忙期は5時間かかることもあったが、導入後は1時間程度と大幅に短縮できた。夜勤スタッフの労働環境が改善されて人材確保に一役買った他、書き間違いによる清掃作業のミスが激減しクレーム防止につながっている。
システムを開発した清掃サービス会社「イーデヤンス」は清掃業務を手がける中で、紙による指示書の非効率さを痛感。22年からシステムの提供を始め、今年10月時点で大手ホテルを中心に計約2万室に導入されている。
「ホテル阪急インターナショナル」は新型コロナ流行以降、業務見直しに着手。23年夏に、従来は夜間に手入力していた客室の清掃指示書を自動作成するシステムを導入した。
2025年大阪・関西万博は会期中に約2820万人の来場を見込み、宿泊需要の高まりが期待される。ただ宿泊業界は慢性的な人手不足に直面。大阪市内のホテルは事務のデジタル化や設備投資で不足分を補い、サービスの質を確保しようと躍起になっている。
2820万人の来場者が見込まれる大阪・関西万博。日本国際博覧会協会が公表したアクションプランによると、来場者の約9割を国内客が占め、うち4割近くが近畿圏外から来訪すると想定している。宿泊が必要な地域からの集客が進めば、大阪周辺のホテル全体が活況を呈しそうだ。
ただし、肝心の万博入場券の売れ行きは伸び悩んでおり、想定通りの来場者を期待できるかは不透明だ。大阪市内の高級ホテルの担当者は「まだ日本人観光客の予約に大きな動きは見られていない」と指摘する。
人気の理由は、万博会場の人工島・夢洲までのアクセスの良さだ。ホテルの最寄り「本町駅」から、地下鉄の大阪メトロ中央線で乗り換えなしに約20分で「夢洲駅」に行くことができる。
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