執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年3月21日 14時20分
英中銀は金利据え置き、ユーロはトルコの政情も重し
ユーロ/円・ポンド/円、後半反落
ユーロ/円、ポンド/円は前半の上昇幅の多くを失う。ドイツの財政拡大やウクライナの停戦協議進展が期待されて株価の下落が一服したことから、ユーロ/円は164.184円、ポンド/円は194.897円までレンジ上限を広げました。ただ、トルコの政情不安が高まる中で米ドル/円が伸び悩む動きを強めると、ユーロ/円は160.738円、ポンド/円は192.060円まで下げました。売り一巡後はユーロ/円が161円後半、ポンド/円は193円半ばへ戻して下げ渋っています。(各レート水準は執筆時点のもの)
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※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
英中銀はハト派色後退
欧州委員会は米国の鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税に対する対抗策の発動を4月1日から中旬へ遅らせることを明らかにしました。米国との交渉期間を確保し、貿易紛争を避ける狙いと見られており、貿易戦争激化への懸念は少し和らいでいます。とはいえ、4月2日までは大きな前進もないと見られ、貿易戦争激化に対する懸念は燻ったままと思われます。
また、トルコではエルドアン大統領の最大のライバルであるイスタンブール市長イマモール氏が拘束されました。欧州はイタリアやスペインを中心にトルコへの投資も盛んであるため、混乱が広がれば欧州経済にも影響が及ぶ危険があり、今後のトルコ情勢にも気を付けたいです。こうした不透明要因が散見される中では、ユーロ反発の勢いは一服するのではないかと、考えています。
また、英中銀は8対1(予想は7対2)で、政策金利を4.50%に据え置くことを決めました。また、最もハト派なディングラ委員が『0.5%利下げ』ではなく『0.25%利下げ』を支持するなど、英国の緩和に対する慎重な見方が強まった感じでした。今回は次回5月会合に向けては、4月2日を無難に通過できれば、利下げが行われるとの見方が優勢ですが、今後の経済指標次第では、利下げ時期が後ずれ感も燻りそうでポンドをサポートする期待はあります。ただし、3月26日の英予算責任局の春季予想と財務省の発表には一応警戒したいです。追加の財政再建策が出てくるようなら、経済成長への期待感が後退してポンドに対し下押し圧力が加わる一方、意味のある再建策が出てこないようなら、英中銀の利下げペースは段階的に留まるとの思いから、ポンドの下値をさらに下支えする可能性もありそうです。
ポンド/円、引き続き好調か(テクニカル分析)
ユーロ/円は、短期反発の流れが緩和して少し上値が重くなっています。直近高値164.184円(3月18日)が今度はレジスタンスラインになり始めており、フィボナッチリトレースメントの38.2%押しとなる160.598円付近で底固めできなければ、61.8%押しとなる158.425円まで調整幅が広がる危険はありそうです。逆に、160円半ばで踏み止まれれば、165.00円に向けて下値を切り上げていきそうです。
また、ポンド/円は目先のレジスタンスラインだった193.00円を超えて194.897円まで上昇幅を拡大。その後は調整売りに押されたものの、日足一目均衡表・雲上限付近で値固めする格好になっており、底堅さを感じます。短期的な調整が意識されます。再度、上昇チャネルの上限付近となる195.50-196.00円に向けて下値を切り上げることを期待しています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:158.500-164.500
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:190.000-196.000
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一言コメント
ユーロ/米ドルは昨年9月25日高値の1.12135からの下落幅の76.4%戻しである1.0969付近で上昇が一服しています。心理的節目の1.080を割り込んでくればさらに調整の流れが意識されてくるのではないか注目しています。
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来週の為替予想 ユーロ 円
ドルの代替通貨としての役割や、実際に世界の為替取引の約四分の一がユーロドルということもあり、ドルが上がるとユーロが下がり、ユーロが上がるとドルが下がる傾向にある。 中東・東欧・ロシア・アフリカとの関係が、他の先進国よりもつよく、これらの国で有事が起こった際には売りが出る傾向がある。
2028年4月のユーロ円予想。当月始値 189.86、最低 189.86、当月最高 198.49。平均 193.44。月末 195.56。変更 3.0%。
2026年9月のユーロ円見通し。当月始値 166.57、最低 166.57、当月最高 171.77。平均 168.54。月末 169.23。変更 1.6%。
2026年11月のユーロ円見通し。当月始値 169.36、最低 168.23、当月最高 173.35。平均 170.43。月末 170.79。変更 0.8%。
2028年9月のユーロ円見通し。当月始値 191.28、最低 191.28、当月最高 198.66。平均 194.24。月末 195.72。変更 2.3%。
2028年2月のユーロ円予想。当月始値 187.52、最低 184.06、当月最高 189.66。平均 187.03。月末 186.86。変更 -0.4%。
2026年10月のユーロ円予想。当月始値 169.23、最低 166.82、当月最高 171.90。平均 169.33。月末 169.36。変更 0.1%。
2028年11月のユーロ円見通し。当月始値 194.21、最低 190.94、当月最高 196.76。平均 193.94。月末 193.85。変更 -0.2%。
2028年10月のユーロ円予想。当月始値 195.72、最低 191.30、当月最高 197.12。平均 194.59。月末 194.21。変更 -0.8%。
1999年に誕生した欧州の統一通貨。EU加盟全28か国中19か国で採用されている。統一通貨により域内の貿易障壁をなくし、単一市場を形成することで、域内の経済成長に寄与する。一方で、統一通貨の性格上、各国は経済状況に合わせた柔軟な金融政策の実施が難しい。また、単一市場を維持するために、財政赤字が単年度でGDPの3%を超えないこと、累積の国債残高がGDPの60%を下回ることという制限がかかっている。こうした状況から加盟国の一部でユーロに対して批判的な姿勢が見られ、ユーロ懐疑派が選挙で躍進する場面がみられる。 世界の外国為替市場ではドルに次いで取引量第2位。第3位の日本円とかなりの差があることもあり、ドルの代替通貨として、基軸通貨の役割を果たしている。 ユーロ圏全体の経済指標に加え、域内最大の経済大国であるドイツの経済指標でも相場が変動する。その他の加盟国の経済指標に対する注目度は低い。
2028年3月のユーロ円見通し。当月始値 186.86、最低 186.86、当月最高 192.71。平均 189.07。月末 189.86。変更 1.6%。
2029年2月のユーロ円予想。当月始値 188.33、最低 188.33、当月最高 194.89。平均 190.89。月末 192.01。変更 2.0%。
2029年4月のユーロ円予想。当月始値 194.30、最低 193.10、当月最高 198.98。平均 195.61。月末 196.04。変更 0.9%。
ドル 円 予想 2025、2026、2027-2029。
2026年8月のユーロ円予想。当月始値 165.62、最低 164.07、当月最高 169.07。平均 166.33。月末 166.57。変更 0.6%。
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