
小陽線引け。162円前半では20日高値が抵抗となり、160.70円台まで失速。もっとも同日安値には触れず切り返すと、161円半ばまで持ち直した。3手ぶりの陽線引け。
20日安値の下にも、160.60円台には90日線、160.20円台に日足一目・雲の上限など支持となる線が見受けられる。一方、転換線が162.10円台まで水準を上げ、同線から20日高値162.33円をクリアに上抜けるようだと上昇力が強まりそうだ。
レジスタンス1 162.72(200日移動平均線)
前日終値 161.55
サポート1 160.64(90日移動平均線)
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
この点では 今週もテクニカル分析の結論と一致しました
移動平均線とは、一定の期間における終値を平均して、線で結んだものです。テクニカル分析の中でも最も有名であり、相場のトレンド(方向性)を知るために、よく使われています。
テクニカル面では、EUR/JPYは短期的に見ると強気転換の様相を示していますが、長期的な下降トレンドのレジスタンスに差し掛かっています。最近、約162.35円で2か月ぶりの高値をつけ、昨年10月から続く下降トレンドラインと200日単純移動平均線(SMA)が集中する162.6〜162.9円付近に到達しました( EUR/USD, EUR/GBP give back some recent gains while EUR/JPY bounces back | Levels to Watch | IG International). ここで一度頭打ちになったものの、3月17日に163円を上回る動きが見られたことで、買い手側はこの重要な上値抵抗を突破しようとしている可能性があります。もし価格が200日SMAをしっかり上回って推移すれば、長期トレンドの強気転換を示唆します。下支えとしては、50日/55日移動平均線(MA)が約160円付近に位置しており、最近もサポートとして機能してきました( EUR/USD, EUR/GBP give back some recent gains while EUR/JPY bounces back | Levels to Watch | IG International)。先週の下押し局面でも、55日EMA(約160.17円)で下げ止まり、再度反発しています( EUR/USD, EUR/GBP give back some recent gains while EUR/JPY bounces back | Levels to Watch | IG International)。今後も160円(50〜55日線)が最初の重要サポートとして機能するとみられ、一方で164〜165円付近(200日線や直近高値水準)が主要なレジスタンスになるでしょう。もし165円を明確に突破すれば更なる上昇余地が開ける一方で、160円を割り込む動きがあれば下落リスクが高まります。
一目均衡表がほかのテクニカル指標とまったく違う部分は、為替レートやその平均値を未来や過去にずらして、「雲」や「遅行線」を描画し、売買判断に使用するところです。二次元のチャートに過去や未来という三次元的な奥行きを持たせている点は、世界で唯一無二、オンリーワンの指標といっても過言ではないでしょう(図1)。
しかし、為替レートは「雲入り」して、今後は乱高下が予想されます。さらに、DMIのADXが急上昇しすぎており、これ以上トレンドが強くなるとは考えにくいですし、上昇力を示す+DIも下がってきています。 もし、この時点で買いのポジションを持っていたら利益確定すべきです。まだ売りシグナルを発したとはいえませんが、テクニカルを組み合わせることの利点は、エントリーだけでなく、適切なエグジット戦略を立てられることにあるのです。
テクニカル分析は相場を予測する上で非常に有効な手段でありますが、すべてのシグナルが絶対ではない点に注意したいです。チャートを使うことである程度の分析は可能となり、強力なサポートライン(それ以上の価格が下落しづらいと思われる水準)やレジスタンスライン(それ以上価格が上昇しないと思われる水準)は初心者の方でも簡単に引くことができるため過度に信頼している場合があります。また移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスや買われすぎ・売られすぎサインを信じてポジションを持ってしまうことは危険です。テクニカル指標は視覚的にも相場の方向感を理解するのに役立ちますが絶対ではなく、いわゆるダマシを目にする機会があります。相場は時に予想もしない出来事の発生で急変することがあり、さまざまな角度から分析することで相場予測の精度を上げることが可能です。テクニカル分析とファンダメンタルズ分析をバランスよく使うことも相場分析のポイントで、それぞれでまったく違った結果となった場合は相場を休むのも一つの手です。
こうした流れを受けて市場の利下げ期待は一段と高まり、金利先物市場では「年内3回のFOMCで1.0~1.25%の利下げ」を織り込む動きが活発化しています。このため、米金利との相関の高い『USD指数』の下落も鮮明となってきており、既述の米金利の低下トレンドを考慮すれば、USD指数もまた下落基調を辿る可能性が高いと考えられます。これに連動する格好で、USD円も再び下落トレンドが本格化する可能性が高まっています。この点では、今週もテクニカル分析の結論と一致しました。
直近の値動きからは、注目すべきサポート・レジスタンス水準も明確になっています。下値では158〜159円付近が直近安値からのサポートゾーンとして意識され、さらに重要なラインとしては156円前後(3月初旬の安値、かつ1年安値付近)が挙げられます(EUR/JPY - Weekly - Technical analysis published on 03/13/2025 (GMT))。3月中旬の週刊レポートでは156.03円が重要なサポートpivotとされ、特段のリスクオフ要因が生じない限り、当面155円台半ばへの再突入は想定していません。上値については164円を超えると、166〜167円付近が次のターゲットとなり、その先には2021〜2022年後半の高値圏が見えてきますが、これは今回の予測範囲を超えます。また、直近の大幅下落(169円→155円)のフィボナッチ・リトレースメントでは、50%戻しが約162円、61.8%戻しが約164.5円と計算され、ちょうどレジスタンス帯と重なる形です。総合的に見ると、3月18日〜21日のテクニカル指標は「慎重な強気」を示しており、主要移動平均線を上回る動きで上昇トレンド入りを試みつつも、上には強いレジスタンス帯が控えています。EUR/JPYが162円以上を維持できるか、さらにブレイクを拡大できるか、あるいは失速して再びレンジ内に戻るかが注目ポイントです。
以上、2025年3月10日および3月11日におけるEUR/JPYの価格変動を、価格推移、テクニカル指標、ボラティリティ、ファンダメンタル要因の観点から網羅的に分析しました。短期的には円高圧力が優勢となったものの、中期トレンドはなお方向感に欠け、各種指標も中立的なシグナルを示しています。加えて、ボラティリティが高水準で推移する中、国内外の経済指標やニュースによって相場が上下に振れやすい状況が続きました。今後もユーロ円相場はファンダメンタルズとテクニカルの両面に注意を払いながら推移することが予想されます。特に主要イベント時には引き続き変動が大きくなる可能性があるため、慎重な市場監視とリスク管理が重要となるでしょう。
モメンタム指標では、RSIやMACDともに適度な強気を示しており、行き過ぎ感はないという状況です。14日RSIは50台半ばで推移しており、強気寄りではあるものの買われすぎには至っていません(EUR/JPY価格変動分析レポート (2025年3月10日〜14日 | FX為替取引研究所(EUR/JPY)))。先週163円をうかがう上昇局面でも、RSIはまだ57前後であり、70を超える“買われすぎ水準”には到達していません(EUR/JPY価格変動分析レポート (2025年3月10日〜14日 | FX為替取引研究所(EUR/JPY)))。これは上昇余地がまだ残っている可能性を示唆し、一時的な反落があっても大きなトレンド転換よりは“健康的な調整”と捉えられやすいと言えます。RSIが引き続き50以上を保てば、短期的な強気モメンタムが維持されるでしょう。一方、MACD(移動平均収束拡散)も日足ベースでシグナルラインを上抜け、ゼロライン(プラス圏)へ移行しており、直近の価格上昇によって強気サインが点灯している状況です(EUR/JPY価格変動分析レポート (2025年3月10日〜14日 | FX為替取引研究所(EUR/JPY)))。今月前半はゼロライン付近で横ばいだったMACDが、3月中旬の上昇でプラス領域へ転じ、ヒストグラムもグリーン(正)に変わりました。これは上昇モメンタムが加速している合図です。MACDが引き続き正のエリアを維持し、RSIが50を割り込まなければ、テクニカル的には上向きが優勢と考えられます。ただし、もし上昇が失速すれば、RSIが50付近まで低下したりMACDが再び下向きクロスする動きが、先行的なモメンタム弱化のシグナルとなるでしょう。
テクニカル指標は決して未来を100%当てる予言者ではなく、自分の判断が正しいか間違っているかを示してくれる相談役です。相談役は多すぎると困り者ですし、少なすぎても心配です。的確で相性のいい組み合わせがもっとも大切といえるでしょう。
FXや投資に関する書籍7冊が、計10万部超えの人気を博す田向さんが、100年以上続くダウ理論を基に、チャートポイントやテクニカル分析を配信します。
一目均衡表は、株式評論家の細田悟一氏が一目山人というペンネームで戦前に発表したテクニカル指標です。外国人FXトレーダーにも「東洋の神秘」として注目され、今では「ローソク足チャート」とともに日本で生まれ、世界的に有名になった定番指標として知られています。
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