シカゴIMM通貨先物ポジションの推移から為替市場の全体的な状況と投資マインドを読み解きます。
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼IMMポジション ユーロ/ドル
ユーロネットロング大幅に増加
ドル/円
IMMポジション ドル/円
ポイント
【円ネットロング大幅に減少】
3月18日時点で円のポジションは、ドルに対して約12.3万枚の買い越し(ネットロング)。
ロングが大きく取り崩されたことから、ネットロングは前週から約1.1万枚減少した。
期間中のドル/円相場は、ウクライナ戦争で部分的な攻撃停止が合意されるなど、地政学リスクの後退もあり、約2週間ぶりとなる149.94円前後まで上昇する場面も見られた。
期間後に控えた日銀金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)はいずれも据え置きが濃厚とみられていたが、円ロングポジションが歴史的な水準に積み上がっていることから、投機筋はポジション調整に動いたようだ。
ユーロ/ドル
IMMポジション ユーロ/ドル
ポイント
【ユーロネットロング大幅に増加】
3月18日時点でユーロのポジションは、ドルに対して約5.9万枚の買い越し(ネットロング)。
ショートが大幅に取り崩されたことから、ネットロングは前週から約4.6万枚増加した。
期間中のユーロ/ドル相場は、1.08ドル台前半へ下落する場面も見られたが、ウクライナ戦争の部分停戦やドイツの財政改革案合意への期待が高まったことで、1.09ドル台半ばまで反発した。
投機筋は、ドイツの景気回復期待もありユーロに対する弱気な見通しを後退させているものの、米国との関税合戦といった不安材料もあることからロングポジションの構築には慎重だったようだ。
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IMMポジション
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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大口投資家の動向は ドル円反発 ネットロングは日米金融政策会合を控え調整
NY時間に発表された米4-6月期GDPは予想を大きく下回る弱い内容でした。さらに過去分も下方修正となって、最近盛り上がりつつあった米利上げ期待に水を差すことになりました。これがドル売り・円買いにさらに勢いをつけて、米ドル/円は、102円台を通り抜けると、101.97円まで大幅下落。終値は102.074円(前日比-3.247円)でした。
トランプ氏は米ドル安を志向する。そのトランプ氏が大統領選挙で勝利する可能性が高まる場合、そして実際に大統領選挙で勝利する場合、米ドル安がドル円のさらなる下落を促す可能性がある。
ユーロ/円のレジスタンスは116.85円(2016年07月29日高値圏)、サポートは 113.27円(2016年07月12日安値圏)です。 ユーロ/ドルのレジスタンスは1.1426ドル(2016年06月24日高値圏)、サポートは 1.1052ドル(2016年07月25日安値圏)です。
最後の要因が、アメリカの政治である。2024年11月5日にアメリカの大統領選挙が行われる。激戦が予想されるなか、共和党のドナルド・トランプ前大統領が優勢となる場合は、米ドル相場のボラティリティが高まる可能性がある。
ドル円が138円台の攻防へシフトする場合、次の焦点はサポートラインへの転換が確認された138.00または137.00レベルの攻防となろう(下の週足チャート、赤矢印を参照)。
一方、トランプ氏はパウエル氏の7日の講演後の12日に鉄鋼やアルミニウム輸入への高関税を発動させており、日銀同様、パウエル氏の経済見通しにも不確実性が高まっていることも考えられる。金融市場でパウエル氏が景気後退への警戒感を強めたとの受け止めが広がれば、ドル円相場が円高で反応することも想定される。
ふたつめの要因は、急速に進行する円安の修正である。7月3日にドル円(USD/JPY)は161.95レベルまで上昇した。
ただ、155円を超えて急騰するわけでもありませんので、米ドル/円は押し目待ち。
トレーダー西原ここまで指摘したように、日米金利差縮小にもかかわらず、米ドルを手当していない参加者が多いため、米ドル/円は基本底堅いと考えています。
ドル円相場の値動きはFRBが日本時間20日午前3時に発表する連邦公開市場委員会(FOMC)の結果や経済見通しでも左右される。またジェローム・パウエル議長が記者会見で示す米国経済をめぐる情勢判断も注目点となりそうだ。パウエル氏は7日の講演で米国経済について不確実性が高まっているとしつつも「引き続き良い状態にある」と述べていた。パウエル氏がFOMC後の記者会見でこうした立場を維持した場合には、米国経済の見通しへの安心感がドル買いにつながり、ドル円相場で円安が進むことも考えられそうだ。
米ドル/円は一時101円台。日銀会合と米GDPに対する失望で。
ドル円(USD/JPY)の下落局面では、今月16日の安値139.58の下方ブレイクが焦点となろう。テクニカルの面では、23年の安値と24年7月高値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準140.48レベルを週足のローソク足(実体ベース)で完全に下方ブレイクし、かつこのテクニカルラインがレジスタンスのポイントへ転換する場合は、139円割れを想定しておきたい。
ユーロ/米ドルは歩みが極めて緩慢ですが、こちらは弱気のスタンスを変えていません。
一方、トランプ氏の掲げる対中関税の強化や減税はインフレを再燃させる要因である。インフレリスクが再び意識される場合は、米債市場で利回りが上昇する可能性がある。米金利の上昇は米ドル高の要因となろう。そしてこれらの状況は、アメリカ経済にとってネガティブに働く可能性がある。
ドル円の反発が止められる水準として注目したいのが、144.00レベルである。昨日はこのラインの手前で反発が止められ、レジスタンスラインへ転換する可能性が高まった(下の日足チャート、赤矢印を参照)。21日線(143.36レベル)の上方ブレイクは144.00トライのシグナルとなるが、144.00レベルでは反落を警戒したい。
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