株式会社外為どっとコムの完全子会社である株式会社外為どっとコム総合研究所(以下、「外為どっとコム総研」、本社:東京都港区、代表取締役社長:竹内 淳)は、個人投資家の外為投資に役立つ外国為替情報の調査・研究を行なっております。今回、FX投資家の実態を調査しましたので、お知らせします。
FX個人投資家、一部に負の連鎖も?! トランプ2.0が個人投資家を翻弄 【外為どっとコム総研FX投資家調査2025年2月】
一般社団法人金融先物取引業協会 FX投資家動向まとめ
USD/JPY(米ドル/円)、取引金額は15.6%減
金融先物取引業協会が3月14日に公表した資料によると、2025年2月の店頭FXにおける取引金額は1099兆円と、1月の1292兆円から約14.9%減少した。主要取引通貨ペアであるUSD/JPY(米ドル/円)の取引量が約15.6%減少したことが影響した。一方、月末時点の未決済ポジション合計は約8.7兆円と前月から3.8%増加した。
取引金額上位の5通貨ペアは、USD/JPY(米ドル/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・EUR/USD(ユーロ/米ドル)の順で、上位通貨ペアにおいて変動は見られなかった。
図1.取引金額とポジション計
(出所)金融先物取引業協会の「店頭FX月次速報」をもとに、当社が作成
左軸-取引金額、右軸-ポジション計
グラフ中のデータ単位は百万円
株式会社外為どっとコムFX投資家動向2025年2月
TRY/JPY(トルコリラ/円)の取引、好調
FX口座数が59万件近い株式会社外為どっとコム協力の下、2025年2月のFX投資家動向を調査した。
【調査概要】
調査対象:株式会社外為どっとコムのFXサービス「外貨ネクストネオ」利用者(約59万口座)
調査機関:株式会社外為どっとコム総合研究所
調査対象:調査期間中にFXサービス「外貨ネクストネオ」の新規口座開設およびFX取引をした顧客
調査期間:2025年2月3日7:00 ~ 2025年3月1日7:00
調査方法:対象期間中の取引データより抽出
(特定の個人を識別できないよう個人情報を匿名化した上で行っております。)
FX取引における実現損益
FX取引における実現損益でプラスは49.4%、マイナスは50.5%(残りはプラスマイナスがゼロ)と、1月から大きく悪化した。トランプ米大統領の政策を巡り金融市場の方向性が不鮮明になり、個人投資家も収益を残しづらかった。
図2.取引参加者の損益
通貨ペア別取引者数
通貨ペア別取引者数のトップ10は、USD/JPY(米ドル/円)・TRY/JPY(トルコリラ/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・MXN/JPY(メキシコペソ/円)・EUR/USD(ユーロ/米ドル)・NZD/JPY(NZドル/円)・ZAR/JPY (南アフリカランド/円)・GBP/USD(ポンド/米ドル)の順。
保証金※の低さやスワップポイントの受取額が大きいことが個人投資家の興味を引き、TRY/JPY(トルコリラ/円)を取引する個人投資家の比率は高水準を維持した。各通貨ペアの10Lotあたりの保証金に対する日々の受け取りスワップポイントの割合は、TRY/JPY(トルコリラ/円)が約1.6%、MXN/JPY(メキシコペソ/円)が約0.6%、ZAR/JPY (南アフリカランド/円)は約0.4%となっている(3月17日現在)。
※3月17日現在で、1Lotあたりの保証金はTRY/JPY(トルコリラ/円)が200円、MXN/JPY(メキシコペソ/円)が300円、ZAR/JPY (南アフリカランド/円)が400円。
※現在の取引保証金額はコチラで参照いただけます。
図3.通貨ペア別取引者数
平均取引数量
FX投資家の1注文あたりの平均取引数量は4.6万通貨(46Lot)へ微減。金融市場の方向性が掴みづらく自信を持ってポジション構築しづらかったほか、収益が悪化したことで積極的な取引は控えられたようで、平均取引量は小幅に減少した。
USD/JPY(米ドル/円)は、1Lotあたり6,100円の必要保証金(3/17時点、法人口座除く)がかかるため、1注文あたりの必要保証金額は約28万600円となる。TRY/JPY(トルコリラ/円)は、1Lotあたり200円の必要保証金(3/17時点、法人口座除く)がかかるため、1注文あたりの必要保証金額は9,200円となる。
※現在の取引保証金額はコチラで参照いただけます。
図4.平均取引数量
口座の開設期間
取引をしたFX投資家の口座開設後の期間は、平均115カ月(9年7カ月)と、前月から小幅に拡大。直近では、114カ月程度で横ばいが続いている。
図5.口座開設期間
FX投資の年齢分布
FX投資家の年代別では50代が30.4%でトップ。次に40代が30.2%で続き、以下、60代の14.4%、20代の13.0%と続いた。シニア・ミドル世代が取引のメイン層であることに変わりはない。
図6.取引参加者の年齢構成
FX口座開設者動向
新規にFX口座を開設した投資家は、30代が27.9%でトップとなった。その後は、40代が26.8%、50代が18.9%、20代が16.2%と続いた。
図7.口座開設者の年齢構成
まとめ
2025年2月の為替市場は、ウクライナ戦争、米関税策、米政府機関の人員削減など複数の問題に対するトランプ米大統領の不規則発言から、急に相場の流れが変化し、投資家センチメントがかく乱された。日々のボラティリティが高まる中で、USD(米ドル)をはじめとして為替市場の動意も相応に高く、個人投資家は取引に苦慮した。先が見通しづらい環境下で、個人投資家は収益を積み上げづらかったもよう。短期勢の中には、方向性を見誤ったと思いポジションを決済して、反対方向のポジションを持ったものの、今度はそのポジションも期待外れに終わるなど、取引回数を増やせば増やすだけ、損失が増えた投資家もいたのではないだろうか。
※過去の調査結果は、マネ育ch( https://www.gaitame.com/media/ )よりご参照ください。
「投資家調査」カテゴリー
https://www.gaitame.com/media/archive/category/FX%E6%8A%95%E8%B3%87%E5%AE%B6%E8%AA%BF%E6%9F%BB
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FX個人投資家 一部に負の連鎖も トランプ20が個人投資家を翻弄
トランプ前大統領は、4月23日に、「ドル高は製造業にとって大惨事」と述べた。トランプ2.0実現なら、米国が1995年以来継続している強いドル政策と為替市場への不介入政策が撤回される可能性は決してゼロではない。これが第2のリスクシナリオだ。
ところが、2010年代に入ると様相が一変する。2014年にはロシアがクリミアを併合、2015年には中国による南沙諸島の人工島建設が明らかとなり、2017年以降、中国は「一帯一路」を推進。また、その頃、購買力平価換算で米中のGDP(国内総生産)が逆転すると、同年誕生した米トランプ政権は、2018年に米中貿易戦争を本格化した。そして、2019年の新型コロナウイルス禍を経て、2022年にロシアがウクライナに侵攻すると、東西の分裂は決定的となった。
一方、直接投資と為替介入が、1985年来、経常黒字の一部を吸収する役割を果たしていたものの、累積円ショート額は、2010年頃まで増加傾向を続けた。しかし、2010年代以降、主に直接投資の増加によって、累積円ショート額は横ばいで推移するようになった。すなわち、2010年以降は、直接投資と為替介入によって、経常黒字によって新たに生み出される円ショートポジションはほぼ完全に吸収されたため、外為市場で円高圧力が解消されたとみることができる。これが、構造的円安の第1の要因である。
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