
27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米関税強化が米国内の物価上昇圧力を高めるとの観測から、米長期金利が上昇して151.15円まで買われた。ユーロドルは1.0821ドルまで、ユーロ円は163.36円まで、それぞれ上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、3月東京都区部消費者物価指数(CPI)や前回の日銀金融政策決定会合の「主な意見」を確認後は、月末や期末、年度末に向けた実需玉の動向を見極めて行くことになる。
トランプ米大統領は、輸入自動車と主要部品に25%の追加関税を課す布告に署名した。東京市場の反応は株売り・円買いだったが、海外市場では米国の物価上昇への警戒感(トランプ・フレーションtrumpflation)からドル円は151円台まで上昇している。
先日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明、消費者信頼感指数、ミシガン大学消費者信頼感指数では、トランプ関税によるもう一つの局面であるスタグフレーション、トランプセッション(trumpcession)への警戒感が示されており、来週の解放の日とされる4月2日以降の展開を見極めることになる。
ドル円の中長期的な攻防の分岐点である200日移動平均線は、本日時点で151.63円に位置している。月末、期末、年度末に向けた実需筋の買いで上抜けた場合、過去最大規模に膨れ上がっていたIMMシカゴ筋の円の買い持ちポジションの手仕舞いを誘発する可能性に警戒しておきたい。
8時30分に発表される3月東京都区部CPI(生鮮食料品除く総合)は前年比+2.2%と予想されており、2月の同比+2.2%と変わらずと見込まれている。3月の全国CPIの先行指標であるものの、3月の電気・都市ガスの使用分までは補助金が適用されるため、0.3%程度の調整を考慮しておきたい。2月の全国コアCPIは、電気・都市ガス代の補助金復活で前年比+3.0%、総合CPIは同比3.7%と伸び率が鈍化していた。総務省に拠ると、電気・ガス料金負担軽減支援事業の開始がなかった場合は、総合が+4.0%、コアが+3.3%とのことで、補助金による下押し効果は0.3%程度となる。
8時50分に発表される日銀金融政策決定会合における主な意見(3月18-19日分)では、記者会見での植田日銀総裁の時間軸の提示が多数派なのか否かを見極めたい。植田日銀総裁は、海外発の不確実性への警戒感を示しながらも「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合(4/30-5/1)ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べていた。
トランプ米政権による自動者関税25%は、現在の日本車に対する関税2.5%の10倍であり、国内総生産(GDP)が▲0.2%下振れる要因になるらしい。「主な意見」では、相互関税や自動車関税に対するリスクシナリオとしての言及にも注目しておきたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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