寝台列車カシオペア 完全引退へ
モックアップで空間を確認しつつ、個室への階段を螺旋階段かつ共用としてスペースを確保したり、肘掛けを移動式にして、空いた場所に収納したりするなど、工夫が重ねられました。例えば2階をリビング、1階を寝室としたメゾネット型の最上位個室「カシオペアスイート」では、寝台の一部を通路の下に入れ込み、寝台幅85cmを確保しています。
E26系は7種類の個室寝台と、食堂車、ラウンジカーを備えた12両編成です。7種類とは、 ・カシオペアスイート(展望室付き/メゾネット)・カシオペアデラックス・カシオペアデラックス(階上/階下/平屋)・カシオペアコンパート で、車いす対応の「カシオペアコンパート」は、補助ベッドを展開すると3人利用もできます。
列車は宇都宮線(東北本線)に入り、ぐんぐん北上中。寝台列車らしい通路から、流れる景色を眺めることができます。
将来の展望についてJR東日本に聞いたところ、「E26系の今後についてはお答えできません」との回答。未来永劫維持することは不可能でしょうが、運行されるあいだは「豪華寝台列車」としての憧れを集め続ける存在であってほしいものです。
かつて上野と札幌を結んだ寝台特急「カシオペア」が、今年6月の運行を最後に完全引退する方針であることが28日、JR東日本関係者への取材でわかった。9年前に定期運行を終えたカシオペアはその後、ツアー専用の臨時列車として活躍してきたが、車両の老朽化などを理由に、長い旅路に幕を下ろすことになった。
テーブルを収納し、寝台モードにするとご覧の通り。離れていた2つの椅子の座面がぴったりとくっつき、ひと続きの寝台になります。夜行運行時はここにシーツをかけて寝台として利用することができると思われますが、今回は昼行運行のためリネン類の用意はありません。
JR山陽新幹線夕刻の斜光線がロマンチックに演出してくれました。2027年には完全引退が公表された「500系」こだま。
「カシオペア紀行」は、基本的にはJR東日本管内のみでの運行です。客単価も寝台特急時代と比べ数倍のため、安定した収益を得られる黒字の「乗って楽しい列車」として、長く継続すると考えられていました。
さっそく、まずはいただいた大船軒のサンドウィッチとオレンジジュースで優雅な朝食といきます。完全な個室なので周囲の視線を一切気にする必要はなく、のんびりとしたひと時です。
寝台列車としては決して古くない、かもしれませんがそれでも四半世紀。近年の世の中の合理化の波に流されれば、カシオペアだってひとたまりもありません。事実、JR東日本は事業用機関車を近く完全に廃止する方針であるとしており、カシオペアの行く先は決して明るいものではありません。
編成内には自動販売機らしきものもありますが、商品の陳列はなく完全に営業を停止しています。ツアーにあたって配布される「車内のご案内」を見ても自動販売機の設置がある旨の記載はなく、長らく営業していないのかもしれません。
完全引退に向け、線路付近や駅構内で撮影を試みる鉄道ファンが増える可能性があり、JR東は安全確保に努めるとともに撮影マナーの順守を呼びかける。
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