転勤NG広がる 最大100万円手当も
松岡英行常務執行役員は「25年度入社の学生で入社理由の2番目が『望まない転勤がない』だった。人材確保において転勤などの人事制度は重要な要因になり得る」と話す。25年4月からは異動・配置を原則公募制に移行させ、同意なき転勤を撲滅させる。
明治安田生命保険は4月、転勤支援策を拡充した。単身赴任手当を月額3万600...
転勤制度の見直しで先進的なのが損害保険業界だ。損保は女性社員の比率が高く全国各地に支店をもつ点ではメガバンクや証券会社と同じだが、大きく異なる点は維持しなければならない地方支店が多いことだ。全国各地にある自動車修理工場など代理店との関係の維持に加え、事故発生時には現地で対応する必要がある。最大手の東京海上日動火災保険は、全国に117の営業部と支店、207の損害サービス拠点を持つ。
転勤制度のあり方についてどう考えますか?
1日から新年度が始まり、各地で入社式が行われました。若い世代を中心に転勤がある会社を避ける傾向が強まるなか、最大100万円の転勤手当を支給する企業が表れました。
調査を行ったリクルートワークス研究所の古屋星斗主任研究員は「職場で起こる摩擦の中でも、転勤がそれだけ許容できないものになっている状況を映し出した」と指摘する。
人事異動に伴う変化の中でも、望まない転勤が頭一つ抜けて、退職を検討する強い理由になるようだ。「どちらかといえば退職を考える」という回答も32・2%あり、合計すると6割強の人が、望まない転勤をきっかけに退職意向を強めることが読み取れる。
東京海上は、これまで全国転勤のある「総合職」と「エリア総合職」で区分けしていたが、総合職に一本化し、総合職の中で「転居可」と「転居不可」の2つに分ける。社員は本拠地を住所単位で選び、転居不可の社員は通勤可能圏内でのみ転勤の可能性がある仕組み。転居可の社員は本拠地から引っ越しを伴う転勤がある場合に毎月10万~13万円程度の手当が支給される。社員は年に1度、転居の可と不可を変更できる。
損保業界が動いたきっかけは22年夏、東京海上が26年度から同意なき転勤を撤廃することが報道された「東京海上ショック」だ。
人手不足が深刻化するなか、企業の間で社員から忌避される同意なき転勤を減らす動きが広がる。信販大手のオリエントコーポレーションは「望まない転居転勤の廃止」を打ち出し、24年度からすべての社員に転居を伴う転勤について意向を確認している。転居を伴う転勤が可能な社員は、勤務可能なエリアを最大で全国から、最小は都道府県単位まで選択できる。さらに1回の転勤につき最長3年の間、毎月3万円の手当を支給する制度も新設した。
「転勤NG」と言えば、「わがまま」「自分勝手」と感じる人もいるかもしれないが、古屋氏は「そういうことではない」と強調する。
これによると、「望まない勤務地への異動」(転勤)をきっかけに「退職を考える」と答えた人は30・4%に上った。
人事異動にまつわる出来事のうち、退職を考えるきっかけになるのは何ですか? リクルートワークス研究所のアンケート調査によると、「望まない勤務地への異動」が、「望まない上司のもとへの異動」「役職の降格」などを抑えて最多になった。強まる「転勤NG」の理由とは。
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