
◆豪ドル、RBA声明文はややハト派な内容に
◆NZドル、RBNZ総裁代行の下での金融政策に注目
◆ZAR、政局不安と米相互関税が重し
予想レンジ
豪ドル円 90.00-95.00円
南ア・ランド円 7.50-8.00円
4月7日週の展望
豪ドルは上値の重い動きとなりそうだ。注目の米相互関税で豪州の関税率は10%となった。相対的には低い関税率となったが、主要国が軒並み想定を上回る関税率となっており、世界的な景気減速や貿易紛争激化への懸念が高まっている。来週も関税絡みの報道に振らされる可能性が高いが、基本的にはリスク回避の流れが継続すると予想され、豪ドル相場の上値を抑制するだろう。
なお、豪準備銀行(RBA)は今週の金融政策理事会で市場予想通りに政策金利を4.10%で据え置いたが、声明文で前回までの「追加利下げに慎重」との文言を削除するなど、ややハト派的な姿勢を示した。同時にRBAは「インフレ率が持続的に目標レンジの中間点に戻ることを確信する必要がある」との見解も示しており、注目は30日公表の1-3月期消費者物価指数(CPI)に移った格好だ。市場では同指数が上振れない限り、5月に追加利下げが実施される可能性が高いとの見方が優勢。金利先物市場でもすでに5月理事会での25bp利下げをほぼ100%織り込んでおり、豪金利の先安観が今後も豪ドルの重しとなる可能性はありそうだ。
隣国のニュージーランド(NZ)では9日にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策が控えている。RBNZでは、オア総裁が3月5日に3年の任期を残して突然の辞任を発表。当初は今月から臨時総裁を置くとしていたが、臨時総裁は結局任命されず、当面はホークスビーRBNZ副総裁が総裁代行として金融政策のかじ取りを担うことになった。現副総裁が代行するため金融政策方針に大きな変更はない見込みで、市場では25bpの追加利下げが実施されるとの予想になっている。オア前総裁は前回(2月19日)の金融政策決定会合時に「4月と5月に25bpの引き下げを想定」「年末までに政策金利は3%程度になると予想」などと言及していたが、ホークスビー総裁代行の下でも見通しが維持されているか確認しておきたい。
南アフリカ・ランド(ZAR)は戻りの鈍い動きが予想される。市場全般に広がるリスク回避の流れがZARの重しになる可能性が高いほか、南アフリカに対する米国の相互関税率が30%と高い水準に設定されたことも懸念材料だ。また、国内の政治情勢にも注意が必要。今年度の予算案を巡って、国民統一政府(GNU)で連立を組むアフリカ民族会議(ANC)と民主同盟(DA)の対立は一向に改善されず、DAはついに付加価値税(VAT)引き上げを阻止する書類を裁判所に提出。DAのGNU離脱への懸念も高まっており、政局不安がZAR相場を押し下げる可能性もあるだろう。
3月31日週の回顧
豪ドルは対ドルで強含んだ一方、対円では上値の重い動きとなった。2日にトランプ米大統領が相互関税の詳細を明らかにすると為替市場ではドル売りが優勢に。豪ドルも対ドルでは買いが入ったが、対円ではリスク回避の流れが強まった影響から売りに押された。
ZARは対ドル・対円でいずれもさえない動き。南アで政情不安が高まっているほか、米相互関税で高関税率が課されたことも重しとなり、ZAR円は昨年8月以来の安値水準となる7.69円まで売りに押された。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 週間為替展望 豪ドル
17日にフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁、18日にウォラーFRB理事が経済見通しについて各々講演を行う。セントルイス地区連銀のムサレム総裁は、アメリカ経済と金融政策について講演する。トランプ関税によるインフレの再燃を警戒し利下げについて慎重な発言が相次げば、米金利は4.6%台を視野に再び反発する可能性がある。米金利の反発はドル円(USD/JPY)の上昇要因となろう。
コメント