執筆日時:2025年4月7日 13時47分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人
※チャート:ドル/円-5分足 外為どっとコム「ネオチャート」
米NFPはリバウンドも材料視されず、米ドルはFRB議長の様子見姿勢を好感も株式・金は米中貿易摩擦で暴落
4月4日に発表された、米国の3月非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想の14.0万人を上回る22.8万人となりました。製造業は増加数の伸びが鈍化した一方で、小売、教育・ヘルスケア、レジャー・宿泊を中心に民間サービスが持ち直し、関税発動を前に米労働市場は底堅い状態だったことが明らかになりました。ただ、相互関税への影響が読めない中で、今回の雇用データの結果が今後の労働市場に対して安心材料になるかは不明で、結果への反応は限定されました。また、失業率は労働参加率の上昇から4.2%と、前月からわずかに悪化しました。
各市場の反応
【為替市場】
米ドル/円は予想を上回るNFPを受けて145.08円レベルから145.55円付近まで買いが先行しました。その後、145.05円レベルまで押し戻されましたが、パウエルFRB議長が「状況が明確になるまで、様子見する時期だ」と述べたことで、米国の追加利下げ期待が後退して、米ドル/円はNY午後に147.440円まで上昇しました。
【株式市場】
米国株式市場は大幅下落。中国が米国からの輸入品に対する追加関税を発表したことで、米中の貿易摩擦激化への不安が投資家心理を圧迫。米株の変動性指数であるVIX恐怖指数は一時45.56と昨年8月以来の水準まで急伸しました。市場の視線が通商問題に向く中で、米雇用統計は材料視されませんでした。ダウ平均株価は2231.07ドル安い38314.86ドル、S&P500は322.44p安い5074.08pで引けました。
【金市場】
金相場は下落。貿易戦争の激化でリスク回避傾向が強まっているものの、世界的に株価、コモディティが下落する中、投資家のリスク許容度低下から換金目的の売りが優勢になりました。一時3016ドルレベルまで下落し、前日比77.1ドル安い3038.24ドル付近で越週。
※チャート:左上から横に米国S&P500、米国D30、日本N225、金スポット 外為どっとコム「株価指数・商品CFDチャート」
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FX 為替 米NFPはリバウンドも材料視されず
米国雇用統計はアメリカの労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics、略してBLS)が毎月発表している経済指標です。アメリカの雇用情勢を表している指標で、調査対象者が多く労働市場の状況を把握できることから、FXトレーダーのみならず、世界中の市場参加者から最も注目されている経済指標です。
米雇用統計と一口に言っても、発表される統計は複数あり重要度もまちまちです。FXを取引する上で、どの統計が重要で、外国為替市場に影響を及ぼすのか見ていきましょう。
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