総括
FX「介入金額は?トルコの政局混乱は激化」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価13位)
予想レンジ トルコリラ/円3.5-4.0
*世界関税論争で騒々しいが、トルコの悪い状況も変わらず
*ただそれゆえにトルコの金利が高いのである
*リラは対円で年初来12.22%安、スワップ金利内か
*2週連続で外貨準備減少、リラ買い介入実施か
*今週は鉱工業生産と小売売上
*野党指導者が集会と経済ボイコットを呼び掛け
*元トルコ外交官、トルコのロシア型独裁国家へと変貌する兆しを懸念
*金融市場、応急措置で下げ止まるが予断許さず
*これまでの経済指標は底堅い
*エルドアン大統領は政府の正当性を主張、野党のテロを非難
*イマモール市長が正式に党の次期大統領選の候補に
*リラは史上最安値更新、株価・債券も大波乱
*24年4QはG20で最も高い成長。25年も上方修正
*トルコの外貨預金比率は34.25%で高い
*リセッション抜け出す、2024年のGDP成長率は3.2%
*2025年は3%成長予想、EBRD、OECDは3.1%
*ビジネス界が政府を批判し拘束される
*財務相は正統派経済を貫くが、国民はまだリラを全面的に信頼せず
*中銀、インフレ予想を21%から24%に上方修正
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
*さらなる利下げを宣言、エルドアン大統領
(リラは対円で年初来12.22%安)
関税合戦でトルコへの注目度は薄れているが、イマモール市長逮捕後の与野党の抗争は終っていない。他の状況は大きく変わっていない。イスラエルとの関係はさらに悪化している。
リラは対円で年初来12.22%安、対ドルで7.09%高。イスタンブール100株価指数は9407.17で年初来4.31%安。10年国債利回りは依然30%台で30.02%。
(2週連続で外貨準備減少、リラ買い介入実施か)
先週は外貨準備高は発表されず、4月7日に発表された
3/28付 806.1億ドル
3/21 883億ドル
3/14 970.7億ドル
3/7 978億ドル
3月19日のイマモール市長逮捕後のリラ急落に対し、3月21日付で87.7億ドル、3月28日付で76.9億ドル外貨準備高が減少している。リラ買い外貨売りの介入が出たものと推測される。
ただ中銀はリラを急速に押し上げようとする意図はない。2024年は1ドル30リラを割った時点で逆にリラ売り介入を行って安定化を計っている。
(今週は鉱工業生産と小売売上)
今週は2月鉱工業生産と小売売上の発表がある。
予想では鉱工業生産は前年比2%減少(前月1.2%増)、小売売上は9%増(同12.5%増)
(トルコ外相、イスラエルのシリア攻撃を批判)
トルコのフィダン外相は4月4日、イスラエルによるシリアの軍事施設への攻撃は、シリア新政権の敵対勢力への対応力低下につながるとの見方を示した上で「地域の不安定化をもたらす」と指摘した。
トルコは2023年以降、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃をパレスチナ人に対するジェノサイド(民族大量虐殺)だとして激しく非難してきた。シリアの新政権発足後、イスラエル軍が現地に数週間にわたり攻撃を加えており、トルコはこれがシリア領への侵害だと非難している。一方、イスラエルは自国と敵対する勢力をシリアに一切入れないと主張している。
(野党指導者が集会と経済ボイコットを呼び掛け)
野党CHP党首オゼル氏は、エルドアン大統領とその政権に近いと見られる複合企業ドウシュ・グループを標的にした。トルコの反政府デモ参加者らは、主要野党指導者による週一回の集会の呼びかけ、経済ボイコットの拡大、路上での抗議を続けると決意した熱狂的な学生デモ参加者の高まりの中で、選択肢を検討している。
オゼル氏は、エルドアン大統領に近いとされる企業の商品やサービスのボイコットの呼びかけを拡大した。親政府系NTVチャンネルを所有するトルコの複合企業ドウシュ・グループとエルドアン大統領とのつながりを非難した。「ドウシュ・グループはこの集会を恐れ、地中に埋められるだろう」とオゼル氏は群衆に語った。
ドウシュグループはトルコ国内の建設会社、政府系メディア、エネルギー会社、不動産、フォルクスワーゲン販売店など、幅広い企業を統括している。同社はイスタンブールのソーホーハウスを含む200軒以上のレストランや人気娯楽施設の親会社でもある。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
3月19日の長い陰線で戻すも伸び悩み
日足、3月19日の長い陰線で戻すも伸び悩み。3月19日-4月7日の上昇ラインがサポート。4月2日-7日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、ボリバン3σ下限を一時下抜く。2σ下限まで戻るも伸び悩む。3月17日週-31日週の上昇ラインを下抜く。3月24日週-31日週の下降ラインが上値抵抗。2σ下限は3.803、3σ下限は3.602、5週線、20週線下向き。
月足、8月-12月の上昇ラインを下抜く。一時ボリバン3σ下限まで下落。現在は2σ下限。25年2月-3月の下降ラインが上値抵抗。ボリバン2σ下限は3.762
。3σ下限は3.353。
年足、2024年で10年連続陰線。その間52円から3円台へ沈む。2025年も陰線でスタート。
メルハバ
元トルコ外交官、トルコがロシア型独裁国家へと変貌する兆し
(この記事は政府を批判しないトルコ国内紙に掲載=引用されているだけに注目)
トルコの政治ニュースを専門とする英語のオンラインメディア「ターキッシュ・ミニッツ」の2025年3月24日のコラムで、トルコの元外交官ムラト氏は、トルコで最近逮捕され、全国で抗議活動を引き起こした野党指導者でイスタンブール市長のイマモール氏の件について論じている。
「イマモール氏の逮捕はトルコがロシア式独裁国家に変貌する兆候」と題されたコラムでは、エルドアン大統領がイマモール氏を逮捕したのは、同氏が自身の権力に対する最大の脅威だからだと論じている。ムラト氏は、この政治的動きでエルドアン大統領はロシアのプーチン大統領を模倣しているが、「経済を効果的に管理する能力がプーチン氏に劣っている」ように見え、「国民の不満を和らげる」能力が限られていると述べている。実際、AKPのリーダーはプーチン大統領が持つような国民の怒りを鎮めるのに十分な財源を持っていない。「逮捕の根本的な理由は、イマモール氏の人気が著しく高まり、エルドアン大統領にとって大きな脅威となっていることだ」
「イスタンブール市長エクレム・イマモール氏の逮捕理由は、多くの国内外の専門家が述べているように、検察官が提起した容疑とは何の関係もない。アムネスティ・インターナショナルが指摘したように、イマモール氏の逮捕は、同市長を大統領候補に選出すると見込まれていたわずか数日前に行われた「トルコ当局による平和的な反対意見に対する継続的な弾圧と主要野党CHPへの攻撃の大幅なエスカレーション」を表している。
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FX 介入金額はトルコの政局混乱は激化 トルコリラ見通し
後任には、カラハン副総裁が昇格し、2024年3月に政策金利を50.00%まで一気に引き上げ、その後もこの政策金利を年間通して維持しましたが、全くトルコリラ安を食い止めることはできていません。
ユーロ・トルコリラも、対ドル同様11.5777の安値から一過性の上昇が続いています。ただ、現状は38.3516まで上昇も、これをトップに調整気味となっています。下段のスロー・ストキャスティクスは、ダイバージェンスで上げ止まりを確定することはできませんが、この上値が抑え続けるなら一定の調整もありそうです。その場合32.4752の水色ゾーンのサポートへの調整はありそうです。ただ、更なる調整は不透明ですが、22.2711や27.4040まで割れるとピンクの窓への調整の可能性がることは注目しましょう。
それでは、以上を踏まえて、トルコリラ円相場の2025年の戦略についてお話します。
テクニカル面からまず、トルコリラ円を構成するドル・トルコリラ相場の月足をチェックしておきましょう。
これは蛇足ですが、加えて関係の深いユーロ相場とトルコリラの関係も見ておきましょう。
株価の急落に批判が高まったことで、内田眞一日銀副総裁が、「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要」、「金融市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と発言したことが安心感を誘い、日経平均株価が大きく反発、トルコリラ円も一旦下げ止まりをみせましたが、米労務省が、2024年3月末までの一年間の非農業部門雇用者数の数値を大幅に下方修正し、FOMCでの更なる利下げの思惑が高まったことで、9月16日には、ドル円が139.58と2024年の安値まで下落、トルコリラ円は、トルコの7月貿易収支の確定値が大幅に悪化したことで、4.07円の歴史的な安値まで一時下落しました。
ドル・トルコリラを30.0000~40.0000、ドル円を140.00~160.00としましたので、これから算出されるトルコリラ円の最大想定レンジは、3.50から5.33となります。
また、ファンダメンタルズ面からはレベル感は別としても、金利差で上がらないトルコリラ円ですから、前述の通りトルコ中銀が利下げスタンスに入る局面を確認して買いを考えるのも一考です。
トルコ中銀は当面政策金利を50%で維持すると見られますが、インフレの落ち着きが見えれば、政策金利の引き下げもあるかもしれません。以前から申し上げていますが、トルコ経済の見通しは不透明ですが、トルコ中銀が、利下げモードに入るということは、トルコのインフレの鎮静化が実現したことを意味します。これは逆説的ですが、そういった局面が、トルコリラ買いの好機となるとみています。
それでは、政策金利とトルコの消費者物価指数の状況を確認しておきましょう。
加えてドル・トルコリラとドル円の想定レンジから、マトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)をチェックしておきましょう。
2023年は、年初のトルコ・シリア大地震に対する予防策から、一時8.50%まで金利を引き下げましたが、その後、初の女性トルコ中銀総裁に就いたエルカン総裁が、インフレ撲滅のために、政策金利を6月に15.00%まで、7月に17.50%、8月に25.00%、9月に30.00%、10月には35.00%、11月に40.00%、12月にも42.50%、2024年1月に45.00%まで強烈な引き上げを実施してきました。しかし、家族への便宜供与の疑惑が浮上したことで突然辞任に追い込まれました。
若干不透明ではありますが、対ユーロでのトルコリラの上昇が、対ドル相場にも影響を与えることで、一定の期待感となりそうです。
マトリックス・チャートも参考に、2025年のトルコリラ円の想定レンジを3.50から5.50とします。ただ、4.00が支える状況が続くなら、4.00から6.00となる可能性に注目したいと思います。
2024年の相場環境を踏まえて、2025年のトルコリラ円相場の注目点をまとめてみました。
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