
8日の日経平均は4日ぶり大幅反発。終値は1876円高の33012円。7日の米国でナスダックが上昇して株安連鎖終了に対する期待が高まったこと、為替市場で円高に一服感が出てきたことなどから、大幅高スタート。前日全面安となった反動で多くの銘柄に買いが入った。
開始早々に32000円を上回って上げ幅を4桁に広げると、前場のうちに次の節目の33000円も突破。2100円超上昇して33200円台に乗せたところで買いが一巡したが、上値が重くなっても大きく失速することはなかった。後場は動意が乏しくなり、33000円をやや下回る水準でもみ合う時間が長かった。しかし、大引けにかけて水準を切り上げ、終値では33000円を上回った。新興銘柄にも強い買いが入っており、グロース250指数が10.2%高と2桁の上昇率となった。
東証プライムの売買代金は概算で5兆4200億円。業種別では全業種がプラスで、非鉄金属、保険、銀行の3業種は2桁の上昇率となった。一方、医薬品、陸運、電気・ガスなどは相対的に見劣りする上昇となった。米長期金利の上昇を手がかりに、直近で売り込まれていた三菱UFJ、三井住友、みずほFGのメガバンク3行がそろって急伸。半面、円高一服で自動車株の多くが値幅を伴った上昇となる中、株式の売り出しを発表したスズキが逆行安となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1621/値下がり12と値上がり銘柄が圧倒的に多かった。電線株が強く、古河電工や住友電工が急騰。フジクラはストップ高まで買い進まれた。三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって2桁の上昇率。3銘柄とも売買代金ランキングでトップ10入りするなど、市場の注目を大きく集めた。前日決算を材料に売り込まれた安川電機が急伸。円高に一服感が出てきたことから、トヨタ、ホンダ、マツダなど自動車株に見直し買いが入った。
値下がり銘柄はほとんどなかったが、直近の株安局面で値を保っていた銘柄がきょうは蚊帳の外に置かれており、JR東日本や第一三共が下落した。
日経平均は4桁の上昇。きのうは全面安、きょうは全面高となっており、きのうの2644円安はさすがに下にオーバーシュートしすぎたといったところか。直近で派手に下げた銘柄の多くが鋭角的に切り返したことで、下値不安はいったん後退した。あす以降、改めての売りが出てきたとしても、押し目ではリバウンド狙いの買いが入るだろう。ただ、前日の下げ分を埋め切るまでには至っていないだけに、ここから鋭角的に戻せるとは限らない。7日が当面の底であったとしても、回復はV字ではなくL字にとどまり、下値は堅いが上値も重い地合いが続く展開も想定される。
5日線(33678円、8日時点、以下同じ)を早期に上回ることができるかどうかが目先の焦点。難なく超えてくれば25日線(36498円)辺りまでは一気に戻しても不思議はない。一方、抵抗となった場合にはL字回復、もしくはまだ下があるとの見方が強まる。銀行株、半導体株、電線株、防衛株など人気どころの大半はまだ安値圏を完全に脱したわけではない。きょうの上昇を契機に、戻りを強めてくる銘柄が多く出てくるかどうかを注視しておきたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 株式明日の戦略4桁高で過度な警戒はいったん後退 戻りが続くかが焦点に
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関税強化(輸入物価の上昇)によってインフレも再燃しそうで、松井証券の窪田朋一郎さんは、米国がリセッション(景気後退)に陥る可能性が出てきたと捉える。景気が悪化しても「関税強化による物価上昇懸念から、FRBはアグレッシブな利下げには動きづらい」(窪田さん)ため、まさに打つ手がない。楽天証券の土信田雅之さんも、適切な利下げができない場合は「国内外の株式市場が下ブレする展開も想定されるため、警戒が必要だ」と指摘する。
予想期間の開始直前に控えるイベント(3月18~19日の日銀金融政策決定会合)がカギを握るが、基本的にはもみ合いを想定する。3月14日の春闘の第1回集中回答で順調な賃上げが見通せれば、3月19日の日銀金融政策決定会合で利上げの可能性も残る。
下値の底堅さを示せるかに注目が集まるなか、米国の景気の減速を示す経済指標が増え始めるなど、外部環境に変調の兆しが出てきた。特に不確実性が高いトランプ政権の動き次第では、インフレ再燃や財政悪化懸念などで長期金利が低下せず、FRBが適切に利下げできない可能性も出てくる。その場合、国内外の株式市場が下ブレする展開も想定されるため、警戒が必要だ。
日本経済は相対的に堅調なものの、米国に対する自動車輸出の関税措置への警戒感や、インフレ圧力の高まりによる金利上昇もあり、株式市場には逆風が強い。防衛関連など一部のセクターは堅調だが、日経平均株価の構成比が高い半導体製造装置などが重しとなり、上値を抑えられるだろう。
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