トランプ関税ショック:引き返せない貿易戦争、世界経済への暗雲|ドル安圧力が継続か 4月9日(水)野村雅道【FX/為替】#外為ドキッ

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トランプ関税ショック:引き返せない貿易戦争、世界経済への暗雲|ドル安圧力が継続か 4月9日(水)野村雅道【FX/為替】#外為ドキッ
 

動画配信期間:公開日から2週間

動画の内容をギュッと要約

トランプ関税問題の現状と市場への影響

関税騒動が収まらず、昨日さらに激化する展開となった
日米の株価が関税問題の影響を受けて大きく下落している
イーロン・マスク氏は「最終的にはゼロ関税を目指す」という立場を表明した
中国がアメリカの34%関税に対して報復関税を課すと表明
これに対しホワイトハウスは中国への関税をさらに引き上げ、104%にすると強硬姿勢を示した
日経平均株価は一度2000円近く上昇した後、960円下落して戻るという乱高下を見せた
このような状況下で、ドル円はボリンジャーバンドの3シグマ近辺まで下げる不安定な相場展開となっている

今回の「経済危機」懸念の性質と分析

過去の経済ショックとは異なり、今回は「人間同士の喧嘩」「意地の張り合い」のような様相を呈している
経済理論的には比較優位論に基づく自由貿易・低関税が経済合理性があるとされるが、トランプ大統領は米大統領選で勝利しており、その公約に基づいて行動している
アメリカが鎖国的な方向へ向かう可能性が懸念されており、世界貿易に大きな影響を与えている
日本や韓国を含む70カ国が関税引き下げの交渉を希望している状況だが、統一的な対応は難しい
中国・カナダなどは報復関税で対抗し、イギリスは報復措置を取らないと表明、EUは報復関税の準備を進めるなど、各国の対応は分かれている
10%程度の関税を課される国は比較的落ち着いた対応を見せているが、20%以上の関税を課される国々は危機感を強めている

米ドル/円相場の動向

米ドルは米雇用統計の良好な結果と、パウエルFRB議長の利下げに慎重な姿勢、ベッセント財務長官の「強いドル」発言を受けて一時上昇した
しかし、中国への104%関税を課すと発表したことで、ドル円は再び下落に転じた
リスク回避の動きが強まる中、円とスイスフランが「安全資産」として買われる傾向が強まっている
市場では、FRBの利下げ観測が強まっており、5月の利下げ確率は77%に達している
アメリカの関税政策による貿易混乱が続く限り、ドル安圧力が継続すると予想される
市場参加者の多くは様子見姿勢を強めており、大きな流れが決まるまでは慎重な取引が続くと見られる

トランプ政権の政策方針と経済への影響

トランプ大統領は鉄鋼などの製造業をアメリカに戻すと発言しているが、大型工場の移転には長い時間と多額のコストが必要
多くの企業は短期的には工場をアメリカに移す意向はないと表明している
関税率を過度に引き上げると輸入が減少し、税収はむしろ減少するリスクがある
同時に世界経済も深刻な打撃を受け、アメリカの輸出にも悪影響が出る可能性が高い
トランプ大統領の公約は「物価を下げて金利を下げる」というものだったが、逆説的に関税政策によって経済減速懸念が生じ、その結果として物価と金利が下がっている
この状況に対してもトランプ大統領は成功として主張しており、方針転換の可能性は低いとみられる

日本経済と日本銀行の対応

植田日銀総裁が挨拶を行う予定
日銀は主に物価動向を注視しているが、景気指標が芳しくないため金融緩和に踏み切る可能性も検討されている
日本の一人当たりGDPは34位と先進国の中では低迷しており、2050年頃には45位程度まで落ちる見通しが出ている
昨日発表された景気ウォッチャー調査の結果も良くなく、今後も良い経済指標の発表は期待しにくい状況
関税問題の長期化により、日本の輸出産業にも深刻な影響が出る可能性がある

欧州の経済状況

欧州:財政拡大とウクライナ情勢に関わる軍事費増加による景気回復期待もあるが、米国の関税政策などリスク要因も増えている
英国:トランプ関税負荷率が10%程度であり、報復措置も取らない方針で比較的落ち着いた対応を見せている

結論と今後の見通し

関税騒動はトランプ大統領の姿勢次第であり、簡単に終結する見込みは薄いと考えられる
この「トランプショック」は経済的には不必要な混乱だが、米大統領の任期は4年あり長期化する可能性が高い
世界経済全体への悪影響が懸念され、根本的な解決策はトランプ氏の方針転換しかないという厳しい現実がある
多くの投資家は様子見のスタンスを取りつつあり、市場の不安定性は当面続くと予想される
FRBの金融政策も経済への悪影響を考慮して、利下げに傾く可能性が高まっており、5月の利下げ確率は77%に上昇している
今後の数カ月間は、関税問題の展開次第で市場の変動性が高まる可能性があり、慎重な投資判断が求められる

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野村雅道 氏
FX湘南投資グループ代表 1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。 87年米系銀行へ転出。外資系銀行を経て欧州系銀行外国為替部市場部長。外国為替トレーディング業務ヴァイスプレジデントチーフディーラーとして活躍。 財務省、日銀および日銀政策委員会などの金融当局との関係が深く、テレビ・ラジオ・新聞などの国際経済のコメンテイターとして活躍中。為替を中心とした国際経済、日本経済の実践的な捉え方の講演会を全国的に行っている。現在、FX湘南投資グループ代表。

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トランプ関税ショック引き返せない貿易戦争 世界経済への暗雲ドル安圧力が継続か 4月9日

韓国政府は、大統領代行を務めるハン・ドクス(韓悳洙)首相が、アメリカのトランプ大統領と、日本時間の8日夜およそ30分間にわたって電話で会談したと発表しました。発表によりますと、ハン首相は、造船やLNG=液化天然ガスなどの分野で、アメリカとの協力関係をさらに発展させたいという意向を伝えました。その上で、両氏は、貿易の均衡を含めた経済協力に関して、建設的な協議を続けていく方針を確認したということです。また、ハン首相は、北朝鮮の非核化に向けたアメリカ側の協力を要請し、両氏は、引き続き北朝鮮への対応で緊密に協力していくことを確認したということです。さらに、両氏は、米韓同盟の強化とともに、日本も含めた3か国の協力が、地域の平和と安定に重要だとして日米韓の協力を持続的に発展させていく方針で一致したということです。

トランプ政権による関税政策をめぐって、世界の金融市場は不安定な値動きとなっていて、先週から今週にかけては▽東京市場の日経平均株価、▽ニューヨーク市場のダウ平均株価ともに過去3番目に大きい下落幅を記録するなど、世界同時株安の様相となりました。こうした中、投資家の不安心理を表し、「恐怖指数」とも呼ばれている「VIX指数」は今月7日に一時、60を上回りました。海外の取引所が公表しているこの指標は、株価の値動きが激しくなると投資家が予想すると数値が上昇し、過去、▽2008年のリーマンショックのときや▽2020年の新型コロナショックのときは80を超えています。また、▽日銀の追加利上げやアメリカの雇用統計をきっかけに記録的な株安となった去年8月上旬にもVIX指数は60を超えました。この指数は30を超えると投資感の不安心理が強まっていることを示すとされていますが、60を超えることはまれで、相互関税が発動されるのを前に投資家の不安は過去の経済ショックのときと同様に高まっていたことがうかがえます。

また、レビット報道官は8日、記者会見で、中国に対する関税措置をめぐり、アメリカ東部時間の9日午前0時すぎに追加関税をあわせて104%に引き上げると明らかにしました。アメリカのトランプ政権は、中国に対し、▽すでに20%の追加関税を発動し、▽9日に相互関税として34%を上乗せすることにしていますが、トランプ大統領は、中国が相互関税への対抗措置を撤回しなければさらに50%の追加関税を課す考えを明らかにしていました。

日本商工会議所の小林会頭は会見で、アメリカのトランプ政権による一連の関税措置について「弊害が起こりうる政策を強権的に出してきたことは極めて遺憾だと言わざるを得ない。中小企業のサプライチェーンへの影響や、国内景気の動向を含め、国にとっては最悪を想定してセーフティネットを張ることが第一だ」と述べ、政府に対し、中小企業への支援策を充実させるよう求めました。その上で「賃上げに影響を及ぼすことを心配している。不安心理がまん延していくことは日本経済にマイナスで、賃上げの勇気が鈍ることを懸念している」と述べ、アメリカの関税措置によって中小企業での賃上げの機運がそがれることへの懸念を示しました。

トランプ大統領は7日、中国が「相互関税」への対抗措置として発表した、アメリカに対する34%の追加関税について自身のSNSに投稿しました。このなかで「撤回しなければ、アメリカは中国に対して、さらに50%の追加関税を課すことになる。9日に発動する」としています。その上で「中国が求めている会談についての交渉は、すべて打ち切られる。同じように会談を求めているほかの国々との交渉は直ちに開始される」と投稿し、中国以外の国々に対しても報復措置を講じるべきではないとけん制しました。このあと、トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し「関税以外にも話し合いが必要な議題がある。中国は基本的に閉鎖的な国だ。私たちはどの国とも公平でよい取り引きをするつもりだ。そうでなければ、その国とは関わりを持たない」と述べて、中国に非関税障壁なども撤廃するようにあらためて求めました。

アメリカ・ホワイトハウスのレビット報道官は8日、記者会見で、トランプ大統領が2日に「相互関税」をはじめとした新たな関税措置を表明して以降、協議のため、70か国近くから接触があったと明らかにしました。そのうえで「各国は自国の不公平な貿易慣行を改革し、市場をアメリカに開放しようと躍起になっている。トランプ大統領のメッセージははじめからシンプルで一貫している。『世界の国々へ。われわれに最善の提案を示せば耳を傾ける』だ。アメリカの労働者に利益となり、貿易赤字に対処する場合にのみ、取り引きは成立する」と述べました。また、今後の協議にあたっては「同盟国や友好国を優先する。通商担当のチームが各国にあわせた貿易協定を結んでいく」と述べました。

アメリカの有力紙 ウォール・ストリート・ジャーナルは7日、IT大手のアップルがインドで生産したスマートフォンの輸入を増やすことを計画していると報じました。報道によりますと、アップルはアメリカで販売する「iPhone」のほとんどを中国で生産していることから、トランプ政権による中国への高い関税を避けるための短期的な措置だとしています。インドにも相互関税として26%が課されますが、中国より関税率が低いことからインドからの調達を増やしコストの抑制につなげるねらいだと伝えています。

トランプ大統領が、中国に対して相互関税の対抗措置を撤回しなければさらに50%の追加関税を課すとしたことについて、中国外務省の林剣報道官は記者会見で「WTO=世界貿易機関のルールに違反しており、多国間貿易のシステムを損ない世界の経済秩序の安定を著しく揺るがすものだ。中国は強く非難し、断固として反対する」と述べて強く反発しました。その上で「アメリカが国際社会の利益を顧みず、かたくなに関税戦争と貿易戦争を仕掛けてくるなら、中国はとことんつきあう」と述べ、アメリカの対応しだいではさらなる対抗措置をとる考えを示しました。また、トランプ政権と何らかの対話や交渉が行われているのかどうかについては「アメリカ側の行動には真剣に対話したいという意思が表れていない。もしアメリカが本当に話し合いたいのであれば、平等、尊重、互恵の態度を示すべきだ」と述べました。

トランプ政権はアメリカにとっての貿易赤字の大きさなどをもとに日本を含むおよそ60の国や地域を対象にアメリカ東部時間の9日午前0時すぎ、日本時間の9日午後1時すぎに「相互関税」を発動します。対象に指定された国と地域の関税率はすでに一律で課されている10%から引き上げられ、このうち日本は24%の関税が課されます。こうした中、トランプ大統領は、7日の石破総理大臣との電話会談に続いて、8日午前にはSNSに「韓国の大統領職務代行とすばらしい電話会談を行った。わたしたちは途方もなく持続不可能な韓国の対米貿易黒字や関税、アメリカ産LNGの大規模購入などについて話をした」と投稿し、韓国側と交渉する考えを明らかにしました。また「韓国以外の多くの国々とも交渉をしている」とした上で「中国も取り引きしたがっているがどのように交渉を始めればよいのか分かっていない。わたしたちは中国からの連絡を待っている」と投稿し、追加関税や対抗措置の応酬となり対立が深まっている中国との間でも交渉の余地があることを示唆しました。トランプ大統領が関税措置の導入によって貿易赤字の解消やアメリカ国内への製造業の回帰を掲げる中、今後、関税の引き下げや撤廃を求める各国との交渉がどこまで具体的に進むのかが焦点になります。

EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は7日、アメリカのトランプ政権に「工業製品への関税を互いにゼロにすることを提案した」と述べ、貿易摩擦の回避に向けて具体的な提案を行ったことを明らかにしました。アメリカのトランプ政権は輸入される鉄鋼製品とアルミニウム、それに、自動車への25%の関税措置を発動したほか、9日からEUからの輸入品に対して「相互関税」として20%の追加関税を課すとしています。こうしたなか、EUの執行機関、ヨーロッパ委員会のフォンデアライエン委員長は7日、記者会見でアメリカのトランプ政権に「私たちは工業製品への関税を互いにゼロにすることを提案した。私たちは常によい取り引きをする準備がある」と述べ、貿易摩擦の回避に向けて具体的な提案を行ったことを明らかにしました。一方、EUは今月15日に鉄鋼製品とアルミニウムの追加関税への対抗措置を発動する予定です。フォンデアライエン委員長は「対抗措置をとり、私たちの利益を守る準備もできている」と述べ、追加の対抗措置も辞さない考えを示しました。

トランプ政権が9日に発動する「相互関税」では、東南アジアの国々に高い関税率が示されています。32%と高い関税率が課されるインドネシアは、「報復関税」で対抗することはせず、交渉を通じた解決を目指す考えを示しています。インドネシアのアイルランガ経済担当調整相は7日、記者団に対し、アメリカ側の貿易赤字を減らすため、アメリカからの輸入を拡大する方針を明らかにし、来週にもアメリカを訪れて交渉に臨む意向を示しました。具体的には、大豆や小麦などの農作物やLNG=液化天然ガスなどの輸入を増やすことを計画しているということです。また、アメリカからの輸入品に対する付加価値税の軽減なども検討しているとしています。

アメリカのトランプ政権は、貿易赤字が大きい国や地域を対象にした「相互関税」を日本時間の9日午後、発動します。関税措置の見直しを求める各国との交渉の行方が焦点になる中、トランプ大統領はSNSに「中国からの連絡を待っている」と投稿し、対立が激しくなっている中国との間でも交渉の余地があることを示唆しました。

韓国の大手電機・半導体メーカーのサムスン電子は8日、ことし1月から先月までの3か月間の決算の暫定値を発表しました。それによりますと、売り上げは79兆ウォン、日本円で7兆9000億円あまりで、前の年の同じ時期より10%近く増えました。また、本業のもうけを示す営業利益は6兆6000億ウォン、日本円で6600億円あまりで、前の年の同じ時期とほぼ横ばいでした。市場の予想では営業利益が5000億円台になるとの見方も出ていたため韓国メディアは「市場の予想より善戦した」と伝えています。要因については新型のスマートフォンの販売が好調だったほか、アメリカのトランプ政権による関税措置の導入を控え、記憶用の半導体などの出荷量が急増したことを挙げています。ただ、今後の業績の見通しについては、スマートフォンの生産で半分を占めるとされるベトナムに対してアメリカが46%の相互関税を課すと表明したことなどを踏まえて韓国メディアは「本格化する関税の影響で不透明な状況だ」と指摘しています。

大手調査会社ユーガブは、トランプ大統領が「相互関税」を発表した翌日の3日から6日にかけてトランプ政権の関税政策について世論調査を行いました。それによりますと「アメリカ政府が発表した関税措置に賛成か反対か」との質問に「強く反対だ」「やや反対だ」と回答した人があわせて50%にのぼりました。これに対して「強く賛成だ」「やや賛成だ」と回答した人は、あわせて39%となっています。一方で、共和党の支持者に限ると「強く賛成だ」「やや賛成だ」と回答した人はあわせて73%にのぼっています。また「アメリカに輸入される外国製品に対する関税のコストを負担するのは誰か」との質問には「アメリカの企業と国民」と回答した人が67%にのぼり、貿易摩擦によるインフレなど関税措置が、国民生活に影響を及ぼすことに不安が広がっているものとみられます。

観光業に関する経済分析や予測を行うアメリカの調査会社、「ツーリズム・エコノミクス」は3日、トランプ政権による関税措置などをうけて、アメリカを訪れる外国からの観光客の数がことし9.4%減少するという予測を発表しました。なかでもカナダからの観光客が2割以上減少すると予想していて、「トランプ大統領の政策や発表が外国人旅行者にアメリカに対する否定的な感情を生み出しているのは明らかだ」と分析しています。またアメリカのニュースサイト「アクシオス」は4日、アメリカで最も混雑する10の空港に到着した外国人の数は先月(3月)下旬にかけての7日間では、去年の同じ時期と比べて20%以上減少したと伝えました。「アクシオス」は「貿易戦争や不安定な政治経済情勢、そして拘束や嫌がらせへの恐怖が、アメリカ訪問を思いとどまらせているのかもしれない」と報じています。

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