「ドル/円」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 宇栄原 宗平
X(Twitter) : https://twitter.com/gaitamesk_ueha
最新のマーケット情報まとめ
今日の相場状況
ドル円相場が一時144円50銭台まで下落
この水準は先週金曜日(4月4日)の安値付近でサポートとなっている
一時的に145円80銭まで反発するも、再び下値を探る展開に
下落の主な要因
トランプ政権による対中国関税の上乗せ分が13時1分に発動
米中貿易戦争激化への懸念
関税の内訳(対中国)
合成フェンタニル関連の関税:20%
相互関税:34%
中国の対米関税34%に対抗する追加関税:50%
合計:104%の関税が中国製品に課されている状況
今後の展開予想
中国側の対応次第で相場が変動する可能性
新たな対抗措置が発表されれば、リスク回避の動きが強まる
米中首脳会談などの協議が進めば、関係改善への期待から相場が持ち直す可能性
テクニカル分析
144円50銭が重要なサポートライン
これを下抜けた場合、143円、142円、141円、140円などの心理的節目がターゲットに
140円は三尊のネックラインとなっており、ここを下抜けると130円台前半へ下落する可能性も
短期的には145円を終値ベースで下抜けた場合も下値を試す展開が考えられる
今夜の注目ポイント
特に大きな経済イベントはない(FOMC議事録発表あり)
引き続きトランプ関税に関する新情報に注目
中国側の対応やその他の国の反応
結論
米中貿易戦争の激化懸念から円高ドル安の流れが強まっている。当面は144円50銭のサポートラインが維持できるかが重要なポイントとなる。中国の対応次第では相場が大きく変動する可能性があり、トランプ政権による新たな関税情報に注意が必要。テクニカル的には、140円が大きな節目となっており、そこを下抜けると更なる円高の可能性がある。
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『最新のドル/円相場を解説』
経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。

外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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ドル円 一時144円台へ下落中国へ104の関税賦課 高まる米中貿易戦争激化懸念
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は、2021年以降で初めて1バレル=60ドルを割り込んで引けた。瀬戸際での合意がない限り、トランプ政権は米東部時間の9日午前零時過ぎに中国製品に対して合計104%の関税を発動する。
S&P500種は一時2022年以来の大幅高となっていた。中国に最大104%の関税を賦課するというホワイトハウス当局者の発言を受けて、ボラティリティーの早期収束期待は打ち砕かれた。中国の李強首相は、同国には外部からのネガティブショックを「完全に相殺する」政策手段が十分にあると表明した。
金スポット価格はニューヨーク時間午後3時05分現在、前日比3.62ドル上げて1オンス=2986.90ドル。COMEXの金先物6月限は16.60ドル(0.6%)高い2990.20ドルで引けた。
なお、日本にとっては対米交渉で材料になることが注目されている為替相場も、株式市場に影響を及ぼす可能性がある。短期間に急激に為替相場を意図的に変動させるような政策は見込み難いものの、日米が協力して円高誘導を模索することとなれば、その期間や幅によっては輸出企業にもマイナスの影響が出てくる。一方で、国内には物価の押し下げ圧力が働くことで、購買力を改善させる効果もあるため、注目度は高まっていこう。
混乱が一服した後は、市場はあるべき水準(値頃感)を探ることになる。そのための手がかりとなるのが経済指標だ。最も注目されるのは、世界経済を支える役を担っている米国の個人消費だ。消費支出を表す統計(小売売上高、個人消費)はもとより、消費に影響を与える統計(雇用統計、消費者信頼感指数)なども重要度は平時よりも増すことになろう(ただし、雇用統計は景気に遅行性があるため、市場へのインパクトは大きいながらも、景気の先行きを読み誤るリスクがある点には要注意)。日本を含め、米国以外の国では貿易統計の注目度が平時に比べると高まることとなろう。ただし、3月分の統計はトランプ関税を前にした駆け込み需要により対米輸出がかさ上げされている可能性があるため、トランプ関税の影響を見極めるためには4月分以降の統計が重要となる。
金スポット価格はほぼ変わらず。一時は1オンス=3000ドルを回復する場面もあったが、午後にかけて弱含む展開となった。
外国為替市場ではドルが広範に下落。米国は中国に104%の関税を賦課するというホワイトハウス当局者の発言が意識された。円やスイス・フランなど逃避先通貨は上昇した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物5月限は、前日比1.12ドル(1.9%)安い1バレル=59.58ドルで引けた。ロンドンICEの北海ブレント6月限は2.2%下げて62.82ドル。
インベスコのアレッシオ・デロンジス氏は「米国の貿易政策が為替市場に著しいボラティリティーを引き起こしている。当社のモデルは短期的にドルに弱気な見方にシフトする可能性が高い」と指摘。「この観点からすると、長期的な為替のバリュエーションはドルが有意かつ持続的な下落サイクルに入る可能性があることを示唆している」とし、「米国が課す広範な関税はこうしたローテーションのきっかけになるかもしれない」と記した。
利下げ観測が高まる中、2年債利回りは低下した。
円は対ドルで一時1.3%上げて、1ドル=145円97銭を付けた。
こうした中、足元では原油価格の見通し引き下げが相次いでいる。ソシエテ・ジェネラルは年末までのWTI価格を57ドルと予想。ゴールドマン・サックス・グループは極端なケースでブレント原油が40ドルを割り込むシナリオもあり得ると警告している。
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