午前の為替予想は… 相互関税発動前に各国の対応に注目 米中貿易摩擦激化懸念が重石
作成日時 :2025年4月9日8時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
ドル円予想レンジ
144.800-147.200円
前日の振り返りとドル円予想
昨日のドル/円は約1.0%下落。米国の相互関税を巡る過度の懸念が後退したことによる円売りから148.13円前後まで上昇する場面も見られたが、前日高値(148.15円前後)が上値目途として意識されるとじりじりと上値を切り下げる展開となった。中国が米国の相互関税に対して強硬的な態度を示したことや、米国が中国に対して合計で104%の関税賦課を示唆するなど米中貿易摩擦の激化懸念がリスク回避の円買いを強める要因となり146.29円前後で引けた。
日本時間、本日13時01分には米国の相互関税が発動する予定となっている。関税発動を巡り日本を含む約70の国や地域が米国に接触していると報じられていることから、相互関税が当初発表されていたものよりも和らいだものになる可能性はあろう。ただし、中国政府は相互関税に対して「断固として対抗措置をとる」「米国が貿易戦争を仕掛けるのであれば、中国は最後まで受けて立つ」と表明している。世界の2大経済大国である米国と中国の貿易摩擦の激化懸念が残る限り世界経済の悪化リスクは消えないことから、リスク管理の観点から円やドルは引き続き買われやすいとみられる。ドル/円はドル買いが先行したとしてもクロス円の下落に上値を抑えられることが予想されるため、147円台に乗せると上値が重くなりそうだ。
今朝 最新のドル/円チャート
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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ドル円午前の為替予想 相互関税発動前に各国の対応に注目 米中貿易摩擦激化懸念が重石
リスクオフマーケットで、米ドル/円、そして、オセアニア通貨を中心にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も大幅下落しました。
一方、米中貿易協議は楽観視する報道が多く、トランプ大統領自身も「(対中交渉は)早晩合意に至る」などと発言していたわりに、具体的な進展が見えないことを個人的には懸念していましたが、いきなり大統領が豹変するという結末に。
トランプ米大統領は5日、中国の知的財産権侵害などを理由に2000億ドル分の同国製品に課す関税を、10日から現在の10%から25%に引き上げると表明した。
前週末の米国市場は、トランプ大統領の発表した相互関税に対して、中国が報復措置を発表したことで、世界的な貿易戦争が激化することへの懸念が市場心理を悪化させた。米国の主要株価指は軒並み5%を超える下落となった。東京市場も売り優勢の展開となり、日経平均の下げ幅は一時3000円に迫る場面があった。その後は、突っ込み警戒感から値ごろ感からの買いなどに下げ幅をやや縮める場面はあったものの、連日の大幅安によって需給状況は悪化。信用取引の買い方には追加証拠金が発生しており、損失を確定するための売りなどが今後膨らむ可能性がある。
日経平均は一時節目の31000円台を割り込む場面があったが、そろそろ下げ止まりポイントが近いのではないかとの声も聞かれ始めている。一方、9日に発動される米国の相互関税を前に、米国と各国の交渉の行方を見極めたいとする向きも多く、交渉により関税率が引き下がれば貿易戦争激化への懸念も解消されるきっかけになるだけに、交渉状況に関する報道には引き続き注意が必要だろう。
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