関税対応 日本企業6割が特になし

関税対応 日本企業6割が特になし
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関税対応 日本企業6割が特になし

「トランプ関税」の影響は、単なる関税引き上げにとどまらず、サプライチェーン全体に広がる可能性があります。

第二としては、トランプ対策チームは、トランプ次期大統領が公約した関税引き上げなどにおいて、どれが額面通りに実行されどれが取引の材料となるのか、あるいは国別・品目別に賦課される関税率が違うのかなどに関して、正確な情報収集及び分析が求められる。また、自社の製品の対米輸出に際して、米国製品や場合によっては米国以外の外国製品との競争激化等により、どの製品が10~20%の関税の引き上げで不利となり、どの製品では不利とならないのかをチェックしなければならない。

対応策については決めかねている企業が目立った。調査期間が高関税導入発表直後だったこともあり、「特になし」が620社と65・1%を占めた。対応を取るとした企業の回答で最も多いのは「保有する原材料や在庫の量を減らす」が9・7%(93社)、次いで「設備投資や拠点開設の取りやめ」が9%(86社)で多かった。

第七としては、ユニバーサル・ベースライン関税の賦課に対する「コメント」の期間内において、日本企業として主張することがあれば意見を提出することが望まれる。

トランプ次期大統領は、第一段階の日米貿易交渉で積み残した日本の自動車・同部品、農産物、医薬品、通信機器などの自由化で大幅な譲歩を勝ち取るため、日本へのユニバーサル・ベースライン関税の賦課をそのための取引材料にする戦略を検討する可能性がある。すなわち、積み残し分の再協議のため、第二段階の日米貿易協定などの交渉を要求してくる可能性が全くないとは言い切れないと思われる。

アメリカのトランプ大統領は、9日に発動したばかりの「相互関税」の措置を90日間、停止すると発表しました。異例の判断の背景には金融市場の動揺を抑えるねらいがあるという見方が広がっています。一方、中国には追加関税を125%に引き上げると発表し、両国のあいだの応酬はさらに激しさを増しています。

このため、2万ドルの日本製の乗用車を米国に輸出すれば、通常は500ドル(20,000×2.5%:150円/ドル換算で約75,000円)の関税を払う必要があるが、10%のユニバーサル・ベースライン関税が賦課されれば、2,500ドル(20,000ドル×12.5%:同約375,000円)もの高い関税を支払うことになる。つまり、追加された関税の分だけ日本製の乗用車は米国で製造されたものよりも価格が高くなり、消費者は米国製乗用車を選ぶ可能性が高くなる。

したがって、トランプ次期大統領は日本への10~20%のユニバーサル・ベースラインの課税に関しては、原則として全品目ベースで関税を賦課する可能性がある。もしも、トランプ次期大統領が日本に対してユニバーサル・ベースライン関税の適用除外を認めるとすれば、日本が自動車・同部品や農産物及び医薬品などの自由化で大幅な譲歩を行う意向を示すことが必要になると思われる。

トランプ第一次政権時に商務長官であったウイルバー・ロス氏は2024年11月10日、カナダ放送協会とのインタビューで、カナダのエネルギー分野や鉄鋼・アルミなどの重要分野はユニバーサル・ベースライン関税の対象とはならない可能性があると答えた。その理由として、米国はカナダから大量のエネルギーを輸入しているが、これに課税しても米国の利益にはならないし、実際に、トランプ第一次政権はカナダに対して鉄鋼・アルミの課税を回避するという優遇措置を取ったことを挙げている。

ドナルド・トランプ次期大統領は、2024年大統領選挙キャンペーンにおいて、早くから世界一律10%のユニバーサル・ベースライン関税の賦課を表明していた。これが実行されたならば、日本の乗用車の対米輸出において、現行の2.5%の関税は10%の追加関税を上乗せされ、12.5%まで高くなる。

◇「特になし」がトップ、次いで「保有する原材料、仕掛品、在庫の量を減らす」 トランプ大統領の相互関税への対応について聞き、951社から回答を得た。 構成比の最高は、「特になし」の65.1%(620社)だった。10産業すべてで構成比が最高となった。導入の発表直後のため、自社への影響を精査している企業が多く、現時点では対応を決めかねている企業が多いようだ。 何らかの対応を行うとした企業では、「保有する原材料、仕掛品、在庫の量を減らす」が9.7%(93社)、「設備投資、拠点開設を取りやめる(または規模を縮小する)」が9.0%(86社)で構成比が高い。 為替に関しては、社内の想定為替レートを「円高方向に見直す」とした企業が5.3%(51社)で、「円安方向に見直す」の1.0%(10社)を4.3ポイント上回った。

例えば、トランプ氏は日本製鉄によるUSスチール買収を断固として阻止する姿勢に徹している(ジョー・バイデン現政権でも買収の是非が検討されている)が、仮にこれに絡めて日本に対して追加関税を示唆した場合、提示する関税率が低いほど実現可能性が高くなろう。つまり、自社が製鉄業とは関係なくとも、トランプ氏の不満のあおりで追加関税の影響を被りかねないということだ。企業は、トランプ氏が掲げる追加関税の数字を鵜呑みにするのではなく、その背後にある政治的狙いなどを認識し、その本気度を冷静に見極める「選球眼」が求められる。

第三として、60%の対中関税が賦課された場合の自社への影響を把握することも求められる。そのために、改めて中国で生産した自社の製品を直接あるいは間接に米国に輸出しているのかどうか、あるいはどのくらいの量を輸出しているのかをチェックすることが求められる。また、中国で生産した自社製品を第三国経由で米国に輸出している場合(迂回輸出)もその対象となる。こうした迂回輸出のケースを含め、他の日本及び外国企業のトランプ関税対策についても情報収集を行い、自社の参考にすることは有益と思われる。

企業のこういった動きや懸念に対し、筆者は、「当然ながらトランプ関税の影響を最も強く受ける可能性があるのは中国であり、『中国から米国へ輸出される製品は中国企業と外国企業とを問わず関税の対象となる』という前提でリスクを回避する意識が必要だ」と助言している。また、2023年に日本の対米貿易黒字が当時のレートで8.7兆円となり、トランプ氏が前回の大統領選で勝利した2016年に比べ1.9兆円ほど増えている。年によって多少前後するが、米国の貿易赤字国ランキングで日本は中国やメキシコの次くらいに位置しており、日本が追加関税の標的になる可能性も十分考えられる。

それ故に、過度な数字ほど冷静になって考えるべきだろう。前述のように、トランプ氏は中国製品について60%、メキシコからの自動車に200%という数字を示唆したが、その後10%、25%となった。関税政策は米国にとってもプラス面とマイナス面があるので、高関税ほどトランプ氏にとっては賭けとなる。もっとも、脅しとしてのトランプ関税は、後に実際に発動される追加関税の「プロローグ」として機能することも考えられる。脅しだから本気で捉える必要はないと判断するのは危険だ。

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