本日のCPI発表など経済指標よりも、関税交渉の行方が当面の為替相場の焦点となりそう【外為マーケットビュー】
動画配信期:公開日から2週間
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
市場予想動画の要約・まとめ
市場動向の詳細
ドル円相場が144円台から147円台へと大幅に上昇し、一時的には148円27銭という高値まで急騰した
日経平均株価は31,000円付近から35,000円台まで大きく回復し、市場センチメントの改善を示した
米国株式市場では驚異的な上昇が見られた:
・ダウ平均株価:7.87%の大幅上昇
・S&P500指数:5,477ポイントまで回復し、9.52%上昇
・ナスダック100:19,165ポイントまで上昇
・ナスダック総合指数:12.16%上昇(これはリーマンショック時の2008年以来の急騰率)
各指数とも、先週の下落前のサポートレベルまで回復している
トランプ大統領の関税政策の詳細
トランプ大統領がソーシャルメディアを通じて関税措置に関する新方針を発表
基本的な10%一律関税は継続するものの、追加部分の賦課を90日間猶予する
日本に対しては24%の関税のうち、14%分を免除する措置
この猶予措置は米国に対して報復関税を課していない国や地域のみが対象
中国に対しては厳しい姿勢を維持し、中国が先に課した84%の報復関税に対抗して125%の関税を即時発効すると宣言
この発表を受けて市場は一気に「リスクオン」モードに転換した
米財務長官の発言とその影響
ベッセント財務長官がFOXニュースのインタビューで「円高は自然な流れ」と発言
「日銀も金利を上げている」という事実認識を示し、円高を容認する姿勢を見せた
この発言を受けて徐々にドル安が進行し、ドル円は一時143円台まで下落
トランプ大統領の関税猶予発表後にも会見を行い、「同盟国と交渉し、最終的に中国との交渉に臨む」という戦略的アプローチを示唆
米政権内の関税に関する議論
世界的な株価下落、特に米国株の大幅下落を受け、トランプ政権内で関税政策の見直し論が浮上した様子
政権内では対中強硬派のナバロ氏と関税反対派のイーロンマスク氏との間で意見対立
トランプ大統領はマーケットの動きとの関連性を否定しているものの、市場の反応や国内の関税反対論の高まりが政策判断に影響した可能性
まずは交渉を優先させる実務的アプローチへの転換が見られる
FRB(連邦準備制度理事会)の見解
FOMC(連邦公開市場委員会)の3月18-19日開催分の議事要旨が公表された
全参加者が「経済見通しの不確実性の高まりを踏まえ、金利を据え置くことが適切」と一致した判断
「政府政策をめぐる不確実性が高く、慎重なアプローチが適切」との見解を示した
「大多数の参加者が、様々な要因によるインフレ効果が予想より持続的なものになる可能性に言及」
「見通しが一段と明確になるまで待つ体制が整っている」との姿勢を表明
この内容はパウエルFRB議長の先週の発言内容と概ね一致しており、市場へのサプライズ感はなかった
米国債市場の状況
米10年債の入札結果が良好で、最近の金利上昇傾向に一服感
世界的に金利が上昇傾向にあり、特に米国では10年債利回りが一時4%近くから4.5%程度まで急騰していた
米国債の利回り上昇の理由については、中国による米国債売却の可能性や、米国債を使ったヘッジファンドのポジション解消など、様々な要因が憶測されている
本日(4月10日)は30年債の入札が予定されており、その結果にも注目
今後の市場見通しと注目ポイント
ドル円相場では148円付近が重要な節目となっており、これを超えられるかどうかが今後の方向性の鍵
148円を明確に超えれば149円に向けた動きになる可能性がある
今後90日間は各国との「関税交渉の進展状況」に市場の焦点が移ると予想される
本日発表予定の米CPI(消費者物価指数)の内容とそれを受けた米国債市場の反応も重要な指標となる
世界的に金利上昇傾向にある中、米国債市場が落ち着きを取り戻せるかどうかも今後の市場動向に影響
結論
トランプ大統領による関税90日猶予の発表は市場に劇的な影響を与え、世界的な株高・ドル高の流れを生み出した。この決断の背景には、株価下落や国内の関税反対論の高まりといった要因があると推測される。今後は各国との関税交渉プロセスの進展、本日の米CPI発表内容、および金利動向が市場の主な焦点となるだろう。ドル円相場では148円の節目を超えられるかどうかが今後の方向性を決める重要なポイントとなる。
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外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。

YEN蔵 氏
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。YouTubeなどで個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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4 10 FX
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