午前の為替予想は… 相互関税一旦停止 市場心理改善もリスクは残る
作成日時 :2025年4月10日7時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
ドル円予想レンジ
146.300-148.500円
前日の振り返りとドル円予想
昨日のドル/円は約1.0%上昇。米国の相互関税が予定通り発動され、中国への関税は計104%となった。これに対して中国が報復措置を発表したことで貿易戦争激化への懸念から円買いが進み、一時143.99円前後まで下落した。その後、トランプ米大統領が「報復しない国・地域に90日間の関税一時停止を承認」などと発言したことで、市場心理が急速に回復すると、148.27円前後まで上昇した。
米国の相互関税一時停止を受けて米株価指数は大幅に反発、日経平均先物も大きく買い戻されていることから、本日の東京時間もリスク志向がドル円相場の下値を支えることになりそうだ。ドル/円は昨日も含め3日間連続で抑えられた148円台前半が上値ポイントとして意識されやすい。ここを上抜けられるかが焦点となりそうだ。ただし、米国の相互関税は一旦停止されただけであり、撤回されたわけではない。また中国とは関税の報復合戦となっていることからリスクが消え去ったわけではないことは留意しておきたい。材料面では米3月消費者物価指数(CPI)が発表される。関税の影響が不透明で、CPIの結果がどこまでFRBの政策判断に影響を及ぼすかは不明だが注目はしておきたい。
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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ドル円午前の為替予想 相互関税一旦停止 市場心理改善もリスクは残る
チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メックラー氏は「市場にとって根本的な問題は、貿易不均衡に対する政権のアプローチが、病気よりも悪い治療法を試すものだということだ」と指摘。「投資家が関税の一時停止か、別の方法を検討することを望んでいるのは明らかだ。投資業界や経済界に多数いるトランプ氏支持者の中で、政権の関税政策に支持を表明する人が誰もいないのは非常に示唆的だ」と語った。
ドルは他の安全通貨に対しては序盤の下落から反転し、午後の取引では、対円で0.53%高の147.660円となった。
ユーロは0.35%安の1.092800ドル。取引序盤に、0.7%高の1.1050ドルを付ける場面もあった。
ドルは対スイスフランで0.44%安の0.85720フラン。一時、6カ月ぶりの安値を記録した。
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルは安全資産のスイスフランに対して下落した。トランプ米大統領の貿易相手国に対する広範囲な関税措置を受け、世界的な景気後退(リセッション)懸念は依然高まっている。
トランプ米大統領が前週発表した相互関税を背景に金融市場の混乱が週明けも続く中、同氏は7日、SNSへの投稿で、中国が米国産品に対する報復措置を撤回しない場合、中国からの輸入品に50%の追加関税を9日から課すと警告した。外国為替市場では、資金の逃避先としてのドル買いが先行。ドル建てで取引される商品の割高感から相場は売りが優勢となり、3000ドルを割り込んだ。安全資産としての金需要に一服感が広がったことも、利益確定の売りやポジション調整の売りを促した。
31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前週末比417ドル高の4万2001ドルで取引を終えた。午前中は一時400ドル超下落する場面もあったが、その後消費関連株を中心に買いが入り徐々に値を戻した。トランプ政権が予告する相互関税発動を2日後に控え先行きへの警戒感は根強いが、月末の持ち高調整の買い戻しも入った。
米相互関税を巡っては、米中間での報復措置の応酬が続けば、貿易戦争が本格化するとの警戒感が高まっている。トランプ米大統領は7日、SNSへの投稿で、中国からの輸入品に対する相互関税について、中国が米国産品について報復措置を8日までに撤回しない場合、9日に関税率を50%に引き上げると表明した。貿易戦争激化で世界景気が減速し、エネルギー需要の鈍化に陥るとの懸念が根強く、原油売りの流れが継続した。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、対主要通貨でのドル高を受け、3営業日続落した。
<債券> 米金融・債券市場は不安定な展開となる中、10年債利回りは1日としては1年ぶりの大幅な伸びとなる見通し。一部の国が関税回避に向けてトランプ大統領と交渉する可能性があるという楽観的な見方が台頭した。
米ホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長は6日、米テレビのインタビューで、トランプ政権が打ち出した一連の関税政策を巡り、50カ国以上が減免措置などの交渉を求めて、米国に接触してきていると述べた。各国の対応に注目が集まる中、石破茂首相は7日、トランプ氏と電話で会談。相互関税など米政権による一連の関税措置に関し、担当閣僚を指名して協議することで一致した。一方、台湾の頼清徳総統はSNSへの投稿で、台湾は米国に対し報復関税を課す計画はないと改めて表明。両国間の関税をゼロにする提案から対話を進める意向を示した。そのほか、イスラエルのネタニヤフ首相が7日ワシントンを訪問し、トランプ氏と会談した。関税問題を協議したものとみられている。関税交渉への楽観的な見方を背景とした米長期金利の上昇も、金利を生まない資産である金の相場を圧迫した。
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